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【アニメ2期!】悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。〜ラスボスチートと王女の権威で救える人は救いたい〜  作者: 天壱
頤使少女とショウシツ

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Ⅱ277.頤使少女は肩身を狭め、


「ネ、ネイト……?二日、ってまた無理をするつもりじゃ……」

「は?ちげーし‼︎最初はそりゃあ作るの時間かかったけど、もう慣れたし余裕にきまってるだろ‼︎」


動揺のまま確認してしまう私に、ネイトは至近距離から大声で返した。

今までてっきり無理をしてのハイペースだと思っていたのに、彼の主張だとまるで本当に余裕の期間に聞こえる。発明の特殊能力について把握済みのステイルや近衛騎士達だけでなく、理解の深いレオンもこれには目が丸い。唯一表情が変わらないのはハリソン副隊長くらいだ。

まさか稼ぎたくて最短を嘘ついているのではないかとそれでも疑ってしまう。……徹夜で二日でも、充分早過ぎるけれど。


「二日に一つ、……俄かには信じられないけれど。なら、最速だったらどれくらいで君はコレをゼロから作り出せるんだい?」

「一日。ッです」

詰まりながら返すネイトの言葉に、とうとうレオンは絶句した。

口が僅かに開いたまま瞬きせず固まっている。……うん、無理もない。レオンも我が国と貿易を行なっているアネモネ王国の王子として、発明の特殊能力の常識は知っている。

最速で一週間が常識の中、一日なんて子どものハッタリにしか聞こえない。三日や四日なら徹夜して無理したんだなと思えなくもなかったし、攻略対象者であるネイトが天才なことは私もわかっていた。……けど、こんな最速なんて聞いていない。


ゲームでも、ネイトは毎日発明をしていた。

授業をさぼって発明しては、ラスボスに喜ばれようと献上し続けていた。貢いでいたといっても過言ではない。けれど、ゲームなんてキャラのイラストは決まったパターンのどれかだし、登場の度に何の発明をしているかなんて毎回は説明されなかった。未来型ロボットみたいにポイポイとリュックから発明を取り出してはアムレットに見せたり渡してくれる場面くらいだ。


「うん……うん、……嘘ではないみたいだけれど……」

レオンの動揺が少しだけ水漏れのように溢れている。

滑らかな笑顔が今は若干ヒクつき、頭が重そうに片手で支えていた。レオンを動揺させるなんて、ネイトも恐ろしい子だ。

そしてネイト本人は全くわからないように目を獣のように大きく開き、首ごと動かして私達を見回している。レオンがこの場にいなかったら「なんだよ」の一言くらい叫んでいたかもしれない。

今度はステイルが額を押さえながら、視線をネイトに向ける。


「ネイト。……参考までに伺いたいのですが、今まで件の伯父へ提供する為に毎日発明をしていたのですよね?具体的には一週間でいくつ作らされていたのですか」

「五個。遅れると殴られるから少し減らして嘘ついた」

もう……何と合えば良いのか。

思わず言葉も見つからずに行き場のない手で胸を押さえてしまう。

尋ねた本人であるステイルだけでなく、部屋全体の空気が重くなる。私情のみで動けるのなら今すぐ独房にいる彼の伯父へ怒鳴り込みにいきたい。

平然としているネイトに真実を言って良いのか本気で悩む。

普通は最短で一週間もかかる発明を五つも。それを長期間かけてネイトに強いてきたなんて信じられない。もともとネイトの発明と才能がチートだからこそ可能だったけれど、本来なら一ヶ月に一個でも平均だ。本当にネイトが過労死しなかったのは奇跡だ。わかっていた筈のことだけれど、本当にネイトは自身の才能と能力を伯父に吸われ続けていたんだなと痛感する。


「一週間に五個、ひと月で二十は固い……か。……因みに、伯父に君はどんな発明を提供していたかも聞いて良いかな?」

レオンの声が独り言のような小ささのまま、更には低い。

顔を俯け気味になってしまった様子に余程衝撃だったんだなと思う。テーブルに両肘をついたまま組んだ指先が微弱に震えている。

様子が妙なレオンに、ネイトはまた慌てるようにリュックをまさぐった。どうやらまた他にも発明を持ってきてはいるらしい。

レオンもネイトに対して怒っているわけじゃないけれど、ネイトが王族の異変に戸惑うのも無理はない。途中で探すのが歯痒くなったのか、次々と目に付く発明をリュックからテーブルへ置いていった。私達にも見せてくれた発明の品々から、まだ煙幕弾とか閃光弾まで出てきて、流石に騎士目線では武器になるそれを無言でカラム隊長とエリック副隊長がテーブルから回収していた。

うっかり持ち込んじゃったのか、護身用か、……もしくはレオン王子に会うからこそ警戒して持ち込んだのかは考えないでおこう。本当にこの子が人を傷付ける武器を作る派じゃなくて良かった。ここで発明の武器なんて見つかったら、また大変なことにもなり得たもの。

最終的にネイトがリュックを根こそぎ中身をひっくり返した結果、絆創膏を初めとする発明をテーブルに並べてそこから伯父に売っていたものを分ける。

分けながら説明するネイトによると、最初の頃に色々自分の発明を見せてから売れそうな物だけ叔父が選んで、何度も何個も作らされたと。途中からは武器になるような注文を付けられたけれど、それはネイト本人が特殊能力で作ること自体ができないと断り続けたらしい。……本当に良かった。

叔父に売っていた発明は、手を叩いたら灯るランプ、望んだ通りの場所まで走り続けるミニ四輪車、足し引き計算してくれる電卓的計算機。以前に私達もアーサーとエリック副隊長の口からカラム隊長の報告で聞いた内容そのままだ。

確かにパッと見は私が依頼した発明と比べてシンプルな作りの物が多いけれど、これを叔父の希望次第で何個も何個も短期間の納期に間に合わせていたのだと思うと頭がクラついてくる。そしてネイトのこの発明が売れた理由も、よくわかる。

レオンもその一つ一つを手に取る度、貴重品のように扱って説明を聞いていた。最後の一言までネイトが口を閉じきるまで、頭が忙しそうなレオンは相槌すら打たなかった。二拍の沈黙から、再びレオンが確かめる。


「……これも、これも。……どれも、二日あれば余裕で作れるのかい?」

「一日でも‼︎」

「…………もう一つ。立ち入ったことだから、話したくなければ良いけれど。君の家はもともと一体いくらの借金があったのかな……」

心なしかレオンの声にいつもより覇気がない。

痛いほど気持ちがわかる私も、苦笑いを堪えるので精一杯だった。ステイルもお察ししますと言わんばかりに眉間に力が入らないように指で直接押さえている。

ネイトは借金の額に一度考えるように視線を浮かすと、自身もまた難しい顔になる。「確かこの間ー……」と言い彼は、どうやら現時点でも具体的金額すら把握していなかったらしい。

更にはやっぱり思い出せなかったように顔の筋肉全てに力を込めた彼は、ぐるりと首をカラム隊長へ回した。まさかの自分の家の借金なのに。

ネイトの視線に気付いたカラム隊長は両眉を上げ、目を合わせた。それから一度言い辛そうに難しい顔をすると「先日、私がご両親から話を聞いた時は……」と前髪を指先で押さえる。

そこでネイトが続きを止めずに、視線を注いでくるのを確認してからカラム隊長も手を下ろしてレオンへ向き直った。そのままご両親から聞いたと言う伯父からの借金額を当初から、現在までの金額と月毎の利子率まで正確に説明してくれたところで




レオンが撃沈した。




……いや、正確には私とステイルもだ。

私達は既に知っていたことではあるけれど、この流れで改めて言われるとやっぱりショックが大きい。レオンの反応を見れば余計に。何より話してくれるカラム隊長の表情まで苦々しかったのが全て物語っている。

頭を痛そうに抱えながら顔を完全にテーブルへ俯けてしまったレオンと私達にネイトの首が忙しそうに回り出す。けれど、もうここまで来ると釈明の余地もない。「大丈夫よ」と言ってあげたくても、その言葉すら正しくない。詳しい価値を知ってる筈がない一般十四歳の私もステイルも額を押さえたままこれ以上表情に出さないので精一杯だ。本当に知らないって怖い。


「……たった、それだけの額で……、……いや、民にとっては高いよね。わかるよ、けど…………ハァ」

とうとうレオンから溜息まで出た。

そこで民にとっては高いことも理解してくれているのが、民に密接したレオンらしい。相手が何も罪もない十三歳だからか、大分オブラートに包んで言ってくれているけれど本音を言えば「たかがそんな端金で⁈」に近いだろう。だって、その借金額なら



ネイトの発明、十個も売らず完済できる。



利子の足し程度なんてとんでもない。

利子で膨らんだ額でも、良心的な値段で売れば充分払える額だ。それをネイトは一カ月どころか叔父に強要されてずっとずっと作り続けていた。一般家庭レベルの借金と聞いた時から予見はしてたけども、ここまでだと前世の闇金だってもっと良心的だと思えてしまう。

勿論、庶民の家にとっては安い借金額じゃない。下級貴族にとってだって安いと言えないほどの額だ。本来の借金額から利子で酷く膨れ上がった所為もあるけれど、普通の一般家庭では簡単に返せない。ファーナム姉弟なら家を手放さないといけなくなったくらい。額が決して安いわけじゃない、ただネイトの発明がそれだけ高価だというだけの話だ。

特殊能力者の発明は、本当に国外では高価だ。しかもネイトが並べた発明なら、絶対に金に糸目も付けず欲しがる人間はいる。


「うん……大体状況はわかったよ。君が、どんな人間かも……。…………本当にすごい子を紹介されちゃったな……」


なんかごめんなさい。

力ないレオンの声に、彼が顔を上げる前から申し訳なくなってしまう。レオンが顔を必死に持ち上げようとする中、私は逆に額がテーブルに近づいた。

活動報告更新致しました。

本当に皆様ありがとうございます。

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