表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【アニメ2期!】悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。〜ラスボスチートと王女の権威で救える人は救いたい〜  作者: 天壱
頤使少女とショウシツ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1277/2398

Ⅱ265.頤使少女は訪れ、


「遅い。俺様を待たせるとは何様のつもりだ」


パタン、と本を閉じる音を響かせながら、レイが睨む。

中等部最上階にある特別教室。一度はカラム隊長引率の元に訪れたそこに、今はレイ以外誰もいなかった。

もともと中等部の貴族全員を一色単にしている特別教室は、豪華なだけでなく私達の中等部二年の一クラス分より大きくそれなりに生徒も収容されている。けれど、今はガランとしていた。

中央の席に堂々と足を組んで本を読んでいたレイ以外、見事に誰もいない。特別教室があるこの最上階は他のクラスもなく代わりに彼ら専用の食事スペースや各希望生徒に割り当てられる休息場所として個室やテラスである露台があるからそこに移動しているのかもしれない。……それにしても彼以外一人もいないというのは妙だけれども。


「他の生徒は?まさか貴方がまた追い払ったんじゃ……」

「もともと昼休みはこんなもんだ。知らねぇのか?昼休みは食堂に王族が現れる。この教室にいる貴族連中はどいつもこいつも御執心だ」

ハッ、と鼻で笑いながら馬鹿にしたように顔を歪める。

レイのその表情を捉えながら私はやっと納得できた。セドリック目当てに食堂がごった返していることは知っていたけれども、まさかこれほどとは。けれど、式典やセドリックが出席するような社交界でに招かれない人からすれば常に千載一遇のチャンスだろう。まぁ女性であればそうでなくてもセドリックを一目見るために頑張るのだろうけれども。


「俺様の取り巻き共がいつもなら纏わりついていたが、今は煩わしくなくて良い」

……そしてやっぱりレイも避けられている。

レイの性格と、清々したといわんばかりの表情を見るときっと強がりでもなく本心なのだろうとはわかる。前にカラム隊長と覗いた時も明らかに取り巻いていた子達を無視していたもの。

時間の潰し方もあの時と同じで本を読むだけというところが彼らしい。ちらりと題目を見ると、私は読んだことがない本だ。読書家のティアラなら多分読んだことあるだろうけれども。


「それより後ろの木偶は誰だ?なんで関係ねぇ奴まで連れ歩いている?」

「パウエルは私達の友人です。大丈夫よ、彼も貴方の秘密を他言したりしない信用できる人ですから」

「僕はそんなことよりも、貴方が二限前にジャンヌへ着せた濡れ衣についてお話しをお聞きしたいです。正直、それまでライアーのことも話を進ませる気にはなれません」

私に続くように悠然と喉を張るステイルの声に、思わず肩が上下する。

やっぱりまだ怒っている。人前でないからとはいえ、はっきりとパウエルの前でライアーの名前を出したステイルにレイの顔つきも険しくなった。それでも椅子に掛けた彼を見下ろすステイルの目は見事に冷ややかだ。

一度急激に狭まったレイの眉間が、数秒睨み合った後に誤魔化すようにまた戻る。くだらないと言わんばかりに鼻で笑い、翡翠の畝る耳にかけ机に両足を乗せながら開き直る。


「単なる冗談だろ?あの野良犬が面白かったから鼻つらを弾いてやっただけだ。寧ろ少しでもこの俺様の恋人という立場にしてやったんだから光栄に思え」

「全く不名誉この上ありません」

はっきりと、ここは私から言わせてもらう。

以前ならこれくらい聞き流しても良かったけれど、もう仮の姿でも私への侮辱はそのままステイルとアーサーへの侮辱にもなるから本気でやめて欲しい。

庶民としては貴族の恋人なんて夢のようなシチュエーションなのは認める。ゲームでも定番だ。けど、少なくとも今の彼と恋仲は全く嬉しくない。ゲームのアムレットみたいにロマンチックなイベントや物語があれば別だけれど、少なくとも今の性格悪なだけの彼と恋仲なんて私が庶民でも全力でお断りする。

私の全面否定に、両脇に並んでくれているステイルとアーサーも深く頷いた。そんな中、レイだけがハハハッと楽しそうに笑いながら私達を見返す。


「心配しなくてもその気は微塵もねぇ。頼まれてもならないから安心しろ」

そう言って、指で私達に向かいの席に座るように指示をする。

話は進ませないといけないから仕方なく指示通りに彼の向かいへ腰を下ろせば、普通教室とは違う少し上等な座り心地に自然と背筋が伸びた。

正面からレイの仮面に隠された方と反対側にある瑠璃色の瞳と目が合う。この勢いのままにとじゃあ誤解も解いて良いのですねと確認を取ろうとすれば、レイの低い声が私の声を上塗った。


「大体髪型からして地味過ぎる。何処の使用人だ?お前以外にそんな髪型の女見たことねぇな」


っっっ地味で結構です‼︎‼︎

ザクッ‼︎と自分でも驚くぐらいレイからの悪口が貫通する。もともと周囲に溶け込む為に目立たないようにとこの髪型にして貰ったのだし目的としては外していない。

確かに侍女に多い髪型でもあるし、私だってわかってる!学校に来ている女の子で私と同じ髪型の子にはまだ出会っていないもの。けれど地味って‼︎前世では当たり前だった〝地味〟の称号をここでよりによってレイに言われるとムカッとくる。しかも個人的にはこの髪型気に入ってきていたのに‼︎


思わず自分の頭のお団子を両手で押さえながら、釣り上がった目をもっと尖らせてレイを睨む。毎日専属侍女のマリーとロッテが頑張ってくれている髪型を馬鹿にされたと思えば余計に腹立たしい。

最初の頃よりも話してくれるようになったのはありがたいけれど、髪型まで文句を言われたくない。これで髪紐を解いてウネウネボリュームのウェーブヘアを見せたらそれはそれで何処の魔女だとか文句言ってくるに決まってるくせに‼︎


「せめてもっと女らしい髪型にすればどうだ?艶だけは悪くねぇのが救いだな」

そう言いながら、何の気もなしに手を私の髪へ伸ばしてくる。

お団子にされた髪から垂れた数本を指で摘もうとしてくるレイに、アーサーが素早く動いたのが見えたけれどそれよりも私自ら至近距離でその手を払い落とす方が先だった。ペシンっ!と軽く弾けば、レイが驚いたように丸い目で伸ばしたまま動きを止めた。

瑠璃色の目を尖らせた私の吊り目で睨み返し、私からもはっきり言わせてもらう。


「女性の髪へ勝手に触れるのは身分関係なく無礼です‼︎」

「……面白い女だな。今は恋人ということになっているんだから問題ないだろ」

「ッッだからそれは冗談でしょう⁈」

まさかの鉄板ネタ〝面白い女〟まで織り交ぜないで‼︎‼︎

なんだか今朝から逆らったら逆らっただけレイからの好感度が反比例して上がってる気がしてちょっと怖い‼︎本人が平然としているから余計に!久々にここがゲームの世界なのだと思えてきた!

ゲームでも俺様な態度のレイへ毅然とした態度で立ち向かうアムレットが恋に落ちてたし、さっきは怒りだしたディオスを気に入ってたし、やっぱり耳を引っ張るのが彼のお気に入りポイントに引っかかってしまったのだろうかと考える。ゲームではアムレットとの恋を楽しめたけれど、こうして自分に降りかかるとちょっと厄介だ。せめて普通に友達レベルで仲良くしてくれるなら良いけれど、彼には嫌われても気に入れられても面倒だと思い知る。


「化粧くらい覚えたらどうだ?ああそんな金もねぇか」

「ええそうですね、私はお金も色気も化粧気もありません。ですからこんな私が貴方みたいなお貴族の恋人なんて誰も信じませんし似合いませんからもうディオス達に誤解を解いても構いませんね?」

「それとこれとは話が別だ」

ッッ何が別なの⁈

ぐぐっと肩が不自然なほど力が入りながら、顔を膨らませる。ステイルやアーサーも俺様過ぎるレイに業を煮やし始めたのか、表情が険しくなってくる。さっきまで黙してくれていたステイルが眼鏡の黒縁を押さえながら一歩前に出た。


「どういうことですか。まさかジャンヌに人探しだけでなく、貴方のくだらないお遊びに付き合えとでも?」

「仮にも俺様は貴族だ。そんな人間が庶民に会う理由ぐらいはあった方が都合も良い」

「いンや、ただ面白がってるだけだろアンタ」

ステイルへの答えに今度はアーサーが容赦なく叩き切る。

心なしが声の抑揚が無い上に、若干〝ジャック〟として言葉が乱れてるアーサーに私の方がびっくりする。振り返れば目も冷ややかだし見事に的を射ている。レイがそうしたいのはただただディオスへの嫌がらせだ。仲の良い友達を彼女にして奪うとかなかなか性格悪過ぎる。

む、と眉を僅かに狭めたレイも図星を突かれたことを誤魔化すように口を結んでから髪をまた耳にかけ直す。……駄目だ、このままじゃ明日まで話が縺れ込む。情報は無事貰えたし、もうさっさと本題に入って明日から別行動させて貰おう。


「それで。今のところは彼についてどの辺りを捜索させたのですか?」

「下級層だ。資料に書いてある通り城下ならそこしか考えられねぇからな。奴が真っ当な生き方をしているとも思えねぇ」

……それはどうかしら。

ライアーの話題を投げた途端、すんなりとまともな返答をしてくれたレイにそう思う。口にはできず喉の奥で飲み込んだけれど、もしかすると今まで彼がライアーを見つけられなかったのもそれかなと思う。

そのまま最後に別れた場所を中心に重点的に調べたと話し出す彼の話を聞きながら、背後でステイル達が「ここで食事でも良いか?」「いや俺は良いけど」と会話するのが聞こえてきた。

多分、パウエルにまた食べ損わせないようにする為の配慮だろう。ちゃんと彼一人の食事にならないように一緒に食べてくれるのがステイルらしい。……もしくは単にレイの話中に食事をするという意趣返しの可能性もある。

けれどレイもそれはあまり気にしないらしく私に一点集中で話し続ける。今も「最後に別れた場所を重点的に何度も」と話す彼は、眉すら微動だにせず真剣そのものだ。

流石に私の護衛中のアーサーと真剣なレイと正面から話し中の私は食事できない。


「あとは人身売買にも探りをいれさせた。といってもリストすら手に入らなかったがな」

「……言っておきますけど、人身売買は関わった時点で違法ですからね」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] >鼻で笑い、翡翠の畝る耳にかけ机に両足を乗せながら 単語が足りないような気がする。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ