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【アニメ2期!】悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。〜ラスボスチートと王女の権威で救える人は救いたい〜  作者: 天壱
私欲少女とさぼり魔

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Ⅱ230.私欲少女は整頓し、


「そうですか。それは何よりです」


ジルベール宰相が、にこやかな笑顔でそう返してくれた。

城に帰った私達は早速いつものようにジルベール宰相との打ち合わせを始めた。私達がステイルの瞬間移動で帰った後、エリック副隊長と一緒に足で帰城したカラム隊長、そしてアラン隊長も今は近衛で付いてくれている。

ティアラも私と一緒にソファーに掛け、ジルベール宰相と一緒にステイルの話を聞いた。ネイトが暴力を振るわれていたことには驚いていたけれど、無事助け出して今は馴染みの町医者さんに保護されていることを説明すればほっと胸をなで下ろしていた。


「その男も、無事エリック副隊長の手で我が城に連行されました。手筈通り王族への不敬罪等とのことだったので、尋問にも同席させて頂きました」

エリック副隊長が連行してきたという情報が入ってすぐ、ネイト絡みだと気付いてくれたらしい。

やはりでしたか、とステイルが話した時から頷いていたジルベール宰相は、男の素性をしっかりと洗い直してくれていた。今度は私達の方がジルベール宰相から詳しく聞かせて貰う。


男はパット・チャップマンという名で、軽く叩いてみただけでも真っ当な仕事はしていなかったらしい。

仕事という仕事で人に言えるものがなく、恐らくは全部発明関連も含めてネイトの家から巻き上げた額で生活していたというのがジルベール宰相の見解だった。……うん、恐らくそうだろう。

ネイト家の借金額までははっきりしていない……というか、パット本人も把握していなかった。高利貸し、と言うことすら憚れるほど、ひたすら〝多大な借金がある〟という言葉で捲し立てていたらしい。ジルベール宰相が試しに、我が国での通常の利息付与について知識があるかを確認したら見事なまでにカマ掛けに引っかかったと。

流石にネイトの親は借金の額や利息くらいは把握しているだろうし、今日カラム隊長に確認して貰った方が良さそうだ。


「取り敢えず王族への不敬罪、侮辱罪、暴行罪で起訴してはいますが、余罪も確定でしょう。……それに、ネイトの発明を売っていた経路も違法の疑いが出てきましたから」

予想はしていましたが、と溜息半分に言うジルベール宰相の言葉に私まで頭が痛くなる。

やっぱりそうだった。こちらは〝予知〟にできるほど確証はなかったから調査を頼めなかったけれど、ネイト……特殊能力が施された商品は、我が城の許可を得ないと売ることができない。

けれど高利貸しすらもまともにできない男が、そんな手続きをしているとは思えない。つまりパットはずっとネイトが作った商品を違法に売り捌いていた。国外は流石に難しいだろうし恐らくは国内か。特殊能力者の国である我が国だけれど、特殊能力を持っている人間は数百人に一人。特殊能力を味わってみたいと思う人間は当然国内にも居る。何より、特殊能力が込められた商品は全て希少性・利便性共に優れた高級品でもある。ネイトは「利息くらい払えれば……」と言っていたけれど、捨て値でも普通の利息なら払いきれるくらいの品だ。

せめてもの救いは、ネイトが武器になるような品を作らなかったことか。もしそんなもの売り捌かれていたら、間違いなく大事件に発展するもの。

またどういう経路で売っていたかまでは口を割っていないけれど、ジルベール宰相曰く「時間の問題でしょう」らしい。


「たとえば。……経路を白状する代わりに、彼の王族への罪を一つ軽くするとでも言えばすぐに舌を滑らせるでしょうから」


にっこり、と。優雅に笑ったジルベール宰相は久々に怖かった。

確かにレオンへの不敬とかは別件逮捕する為の理由付けが強いし、向こうからしても王族への重罪を帳消しにできるなら願ってもないことだろう。ネイトへの長年の暴力を犯した分も含めてしっかりと償われれば私達としても文句はない。……けれど、もしかしてジルベール宰相。そうやって本来の罪へ綺麗にプラスマイナスゼロにして且つ、パットから必要な情報全て搾り取るつもりなんじゃ……。

カチカチッと身体の筋肉が強張っていくのを感じる。爪の先が冷たい。改めてジルベール宰相の手腕を思い知る。


「勿論、公平且つ公正にネイトの家への借金と、二度と彼らに近付けないようにもするつもりではありますのでご安心ください」

「しっかりとネイト個人への暴行と恐喝分の罪は償わせろ」

「勿論ですとも」

一番謁見しにくいネイトへの暴力。そこをしっかりと締めておけというステイルに、ジルベール宰相も即答だった。

最初にネイトの事情を話した時、彼が強制的に発明を作らされていることや借金をかたに脅されていると話した時。ジルベール宰相も眉間の皺が刻まれるほど怒ってくれていた。人の親だから余計にネイトへそんなことをする伯父が許せなかったのだろう。もうその時から、ネイトが暴力を振るわれているんじゃないかとも心配してくれていた。


「もし、可能でしたらネイトからも今まで伯父にどのような物を売ってきたかの確認をして頂けますでしょうか」

急ぎではないので今度どなたかお会いした時にでも。と付け加えてくれるジルベール宰相に私達も頷く。

今日もカラム隊長がご両親に話をしに行ってくれる予定だけれど、きっと今回はそれだけで手一杯だろう。息子さんが伯父にずっと暴力を振るわれて尚且つ強制労働させられていましたなんて、それこそ何も知らなかったご両親には衝撃が強すぎる。

カラム隊長ならきっと穏便に話してくれるとは思うけれど、やっぱりネイトのことを考えると今夜の内にその追求までするのは酷だ。週明けには会う約束をしているし、その時に頃合いを見て話しをしてみよう。

明日はきっと家で安静にするだろうし、それから二日休みを挟んで次会えるのは週明け。次に会った時にはもう、彼を縛るものは何もない。……そう、ゲームと違って。

ネイトの話を一段落終えてジルベール宰相から学校についての報告と打ち合わせへ移りながら、改めてネイトのゲーム設定を思い出して顔に力が入ってしまいそうになる。

ゲームで語られるネイトの過去。彼は親の借金を盾に伯父へ発明を作り続けていた。それは、彼にとっての悲劇の序盤。その後の彼には更に悲劇が待っている。先ず、借金返済生活が始まって数年後のある日。


両親が、人身売買へ売られてしまう。


……もう、この時点で酷い。

勿論売ったのは彼の伯父であるパット。ネイトは、借金のかたに両親が連れて行かれるのを目の当たりにしたと語っていた。しかもその時に両親を取り戻そうと暴れた結果、彼は右腕を失うほどの大怪我を負った。「この腕を見る度にあの時の悪夢を思い出すんだ」と語る彼はずっと手袋だった。

ゲームでの彼は右腕の肘から先は機械だった。残った左手だけで彼は自分の腕まで発明してしまったのだから本当に天才だ。私もネイトに会った時は何度も彼の腕が機械じゃないことを確かめた。ご両親も健在なことを聞いたときは本当に安心した。


我が国では人身売買は違法だけれど、ゲームのフリージア王国では女王の圧政で治安最悪だった過去があるし、ネイトの過去も、きっと違法であれば売り放題だったに違いない。第二作目ファンも、第一作目で治安最悪独裁国家を作ったプライドのせいでネイトの両親は売られたと間違いなく思っただろう。

ネイトがご両親を失ったのはゲームではラスボスプライドの支配下時代ということだろうか。現実ではジルベール宰相を始めとして国でもしっかりと取り締まりが行われているからそんなことにならなかったのだとすれば納得も行く。…………またラスボスプライドだ。


そして、てっきり借金の所為で両親が売られたのだと思い続けたネイトだけれど実際は違った。ネイトの才能を独り占めする為にパットがネイトの両親を人身売買に売ったのが事実。

それをゲームで知った時のネイトは酷く狼狽していた。自分の所為で、自分の才能の所為で両親が連れて行かれてしまったと自分を責めていた。そして自分一人だけが残された彼は伯父から〝親の残した借金〟の為に再び毎日のように発明を作らされる日々が始まる。最初は自分の腕、その後は本当に自身が機械のように作るだけの生活だったらしい。


そしてフリージア王国の学園創設後。勿論、ネイトは最初こそ学校になんて行かせる貰えるわけもなく、飼い殺しにされていた。

そんな中である人物が訪れる。その人物はネイトへある〝条件〟を提示して、助けてあげようかと提案した。既に伯父によって発明の為に生かされていたような状態のネイトにとっては天の救いのそれに彼は飛びつき、それからは伯父の元を離れて学園へと入学することになる。

伯父はネイトを大金ですんなりとその人物に事実上売った。ネイトは、自分を助けてくれたその恩人に凄く感謝していて学園でも〝条件〟の元に発明を作っては〝彼女〟へと献上し続けていた。……そう。


この世界の、ラスボスに。


パットに続き、ネイトはまた騙されていた。

アムレットがネイトルートに進むとその過去の真実も明らかになる。

先ず、彼がラスボスに提示された条件は「私がとても気に入る発明を作ったら両親を買い取り直してあげる」だった。勿論、ラスボスにそんなつもりは最初から微塵もない。ネイトにいくつでも発明を献上させ続けることだけが目的だったのだから。

けれどネイトはそれを信じ続け、発明を作っては彼女に献上していた。そうでなくても、伯父に支配されていた地獄から助け出してくれた人なんだって慕って。そして、一番の残酷な真実は




ネイトの伯父を唆したのも、元はといえば彼女だった。




ネイトがいつものように空き教室でアムレットと過ごしていた時、偶然隣の教室から彼はその真実を聞いてしまう。

両親が売られたのは伯父が自分の才能を欲しがったからということ。そして、当時ネイトの家に通っていた伯父が一人愚痴るのを見かけ、「そんなに邪魔なら良い方法があるわ」と唆したのも彼女だったということ。

両親の目があってずっとはネイトを自分の監視下に置けなかった伯父に、彼女の提案は甘く映った。当時、まだ何も持ち合わせていなかった彼女は、自分より不幸な人間を作っては見下すのが何よりの生きがいだった。

ネイトが聞き耳を立てているとは知らず「ちょうどあの男も売る方法に困ってて」「私の方が上手く売れるし」「ずーっとあの子が惨めで不幸な姿が見ていられるの」「本当に思い出せて良かったぁ、お陰で便利な物ばっかり」と語る声は自慢げですらあった。富と権力を得た後の彼女にとってネイトを助けたのは自分の私腹を肥やす為の〝贅沢な買い物〟だった。


自分が陥れた子供が、何も知らずに自分を恩人と思い込む優越感。ゲームでも学園で攻略対象者以外の生徒を虐めたり家来のように扱ったり、友達になったふりをして近付いて最後は陥れて指差し笑ったり。特に酷い被害者がネイトを含めた攻略対象者だっただけで、学内でも恋人親友家族関係破綻なんて彼女にとっては日常的なお遊びだった。

両親を買い直してくれるつもりというのが嘘だったこと、助けてくれたと思っていた恩人が本当は地獄の元凶だったということ、ずっと利用され続けていたこと、自分の所為で両親が連れて行かれたのだということを一度に知ったネイトは絶望に突き落とされた。

ラスボスが伯父を唆したのは偶然の出会いからだったとはいえ、あまりに残酷過ぎる。アムレットが必死に貴方は悪くないと言っても、信じていたものに裏切られてひたすら崩れ落ち泣き続ける彼の姿は本当に目も当てられないほど悲惨そのものだった。

他の攻略対象者ルートでは最後まで彼は「あの人のこと悪く言うなよな!」とラスボスを慕い続けていたのだから。

けれど、もうその心配もなくなった。パットは既に捕まったし今の我が国ならそう簡単に人身売買も……、……あれ。……そういえば。


『〝商品リスト〟を探し回っているという大元が、学内にも手を伸ばしているとすれば』


……あちゃぁ……。

ふと、また別案件を思い出して頭が重くなる。そうだ、ネイトのことを解決しても彼の問題はまだ残っている。

思い出した途端、ついジルベール宰相と話をしながら額を片手で押さえてしまう。

すぐにジルベール宰相達から「どうかしましたか」と尋ねられるけれど、今話している内容とは関係ないし「ちょっと気が抜けてきちゃって」と首を横に振った。

ファーナム兄弟と一緒に思い出した攻略対象者。彼についても恐らくそろそろ放置できないところまで来ている。今もこうして順調にジルベール宰相とヴァルに追い詰められている最中なのだから。

ジルベール宰相曰く、もう議題にかけるのも時間の問題と言っているし今日ヴァルも不良生徒を見なくなったと話していた。このまま放っておけば鎮火はできるだろうけれど、それで彼が暴走しないとも限らない。明日の放課後にはヴァルからも報告が色々聞ける筈だし、場合によっては早速彼とも関わらないといけない。だって彼までもが


行方不明になった後では遅いのだから。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] やはり今作のラスボスは設定のままかな。転生者が入り込んで善良に生きてる……ってことは無さそうだ [一言] 最後の攻略者は既に対応済みか。たぶん一筋縄ではいかないのだろうけど
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