彼女が居やがってる
『止めろ!彼女は嫌がっているじゃないか!』
『実は俺、あなたが好きなんです』
何事もなく、続けた展開。なんか男女の交際のきっかけな一文と、それが発展してきたわけの一文。
「みたいな感じで、交際からS○○展開する感じのエロ漫画が一般的で、テンプレ的な、ありがちなわけだよね。結局、変わらない」
「君はなぜ、私にそんな話を振るのですか?」
例えばそれが、王子様的なものから始まったストーリーであってもさ。
「どっちも最終的に○○Xするのってどうなんだろう?ねぇ、弓長」
「難しいテーマですね。できれば、三矢さんに話を振ってませんか?瀬戸くん。私の評価が下がります」
ここはゲーム会社。その一員の1人、瀬戸博はこーんなしょうもなく、意味の分からない話。しかし、誰だって通ることをする。
「ちぇー、弓長に彼女がいるから。イラッときたという」
「別にその価値は各々が決める事でしょう?鶴見さんは、社蓄として際立って有能なのでお付き合いしているに過ぎませんよ」
「……メスの家畜みたいな表現だね」
「男女の在り方、その形。誰だって自由でしょ?ま、概ねそれで合っています。メスの家畜で」
そんな酷いことを口にするイケメンの弓長と、クソエロガキがそのまま大人になった容姿を持つ瀬戸では女性の価値観が大きく異なる。弓長の場合、その人の生き方や性格、志のような、内面もある。ただ、瀬戸は物凄く、可愛さや大人っぽさ
「普通に巨乳、○ッチ、可愛い、表情といった外面を僕は重視していると紹介していいよ」
「どこらへんが普通なんです?」
………ともかく、そーいうわけだ。恋愛における、年齢差ある法律にも異議を唱える馬鹿である。
「三矢さんと酉さんはいませんでしたね。まったく、出張とは」
「あー、弓長!席を離れないでー」
仕事に集中できない弓長は瀬戸から離れる。懸命&懸命。変な噂も立ちかねない。そんな瀬戸と弓長の会話をなんとなく、聞いていたというか聞こえていた、隣の林崎苺が瀬戸に声をかける。
「まー、弓長さんは女性問題に興味ないよ」
「林崎ちゃん」
「で。行き着く展開はエロ展開になる感じの話がなんだって?」
「ああ、聞いてくれるんだ。嬉しい」
この林崎苺。この会社内では1,2の容姿だと思う、胸はとにかくデカイし、ナンバー1。隙あればセクハラだってやってみせる瀬戸、話を振りながら立ち話のまま。
「どーせ、おっぱい揉まれるなら絡んできた人にされてもいいじゃない。もうストレート、見開きで」
瀬戸はダイレクトに、豊満な胸に両手を伸ばす。
「いやいや、嫌がる気持ち持っているのに、胸なんか揉ませないよ」
それを完全に読みきって、後ろに下がりながら手で瀬戸の魔の手を払いのける。それでも僕はメゲナイ。セクハラだって言われても、ちゃんとセクハラしてから、男がいたという事実残して、この世を去ろうという気迫でもう一度、トライ。
「僕は好きなの!それでエロ展開を進めてもいいじゃないか!あっさりとエロ展開に行ってもいいじゃん!」
もうしょうがないって感じの林崎は、スカートだったらパンツ丸見えの大サービスで、小さい瀬戸の頭を思い切り踏みつけてあげる。当然であるが、瀬戸の両目を塞ぐように踏んであげる。セクハラVSパワハラの、イチャつくバトルを展開する。
「林崎ちゃんの足の匂い、クンクン」
「凄く前向きだねぇ、瀬戸くん。独房に入っても元気にやっていけそう」
まぁ、林崎はこーいう瀬戸の精神力には、かなり評価している。凄いと同じ、気持ち悪い異端。まったく好きになれないけど、評価というものはできる。
打っても、蹴っても、蔑んでも、瀬戸は相手が女性なら喜びに変えるど変態。もう手遅れ過ぎる。
「やっぱりさ。好きと嫌は対義語だから、イメージが良くないでしょ?」
「僕はそれでも良いから、胸揉ませてください」
「うん、瀬戸君は嫌」
林崎、逆に瀬戸を床に押し倒して、林崎なりの答えを伝えた。
「お互い、この人なら、自分を差し出せるという愛があって美しいんじゃない?エロも重要だけど」
「あー」
「だから、男性と男性同士もいいし、女性と女性同士もいいんだよね」
「そうだった。僕のせいで、キャラが薄いけど。林崎ちゃんと安西ちゃんは同性愛の賛成者だったね。たまに僕も、BL系のイラスト描いてあげるもんね。僕、キツイんです」
せっかく、纏めかけた話を崩してしまう。この会社にいる連中は
「お2人共、まともじゃないですね」
弓長は溜め息をついて戻ってきた。ケーキを左手に。右側には……
「お邪魔してます。鶴見豊です」
「鶴見さんから皆様への差し入れだそうです」
「鶴見さん。ケーキなんて持ってきてくださって、ありがとうございます。苺ショートあります?」
ケーキに喜ぶ林崎。弓長からケーキを受け取る。
一方で、彼女を会社に連れ込んじゃう、リア厨プレイに噛み付く瀬戸。
「ズルイぞー!そんな彼女がいるなんて!僕は踏まれたり、殴られたりなのに!」
「嫌だったんです?」
「嫌がっている女の子からの進展ください!」
「そーですか。じゃあ、しますね。嫌がらせます」
大胆かつ、瀬戸の幻想を一気にぶち破ってしまうように、弓長は空いた両手で鶴見の首に手をかけて、離さないよう、逃げないよう、キスを。みんなの前でしてしまう。
「あっ」
「え」
目を焼き付けて、見いってしまう。体験している鶴見も動揺が走っちゃう始末だ。
「はい。ご褒美はこれだけです」
「え!?ご褒美って、これですか!?」
「今日はこれで済ませますよ」
「ちょ、ちょ、ちょ……なんでそんなに上手くいくの!?嫌がれよ!そしたら僕が……助けてエロ展開がーーー!」
泣き喚く瀬戸を可哀想な目で見ながら、ショートケーキをもう頂いている林崎。それとは決定的な差があることを伝える弓長。
「彼女が居やがってるんで」
「シャレですか。上手くないですよ」
「……一言多いですね、鶴見さん」
そんなやり取りですら、友達を超えたところにいる感じが瀬戸には伝わった。セクハラの数々、それも未遂なのに嫌がられるのに、弓長はセクハラOKとかズルくね?なにこの差
「うわーーーん!なんだよ、イケメンって!!」
「……そこじゃないと思いますよ」
弓長もケーキを頂いて、一休みする。