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ニート生活を謳歌させてくれ

 連続投稿!

 鍋でことこと温まっているのは親子丼のような味付けをしたおじや。深い皿にうつして、はふはふ食べるのがまた良い。

「はー……美味しい……」

 思わずため息。落とした卵が絶妙な半熟で、我ながら良くできている。朝からナイスだ私。

 畑で採りたての野菜、お隣のおじさんが狩って来てお裾分けしてくれた新鮮なお肉、豊富な調味料。おかげで今日もご飯が美味しい。だらしなく顔が緩んでいる自覚はあるけれど、どうせ一人暮らしだから気にしない。

 食べることが何より好きな私にはとてもいい生活。自然が人より強いから食べ物もなんだか元気な気がする。

 さて、私は今、絶賛ニート中である。

 二十年ほど前に荒稼ぎをしたので、毎日外食して少し贅沢する程度なら、あと三十年は大丈夫なくらい手元にお金があった。節約してるから追加でもう十年はいけるかもしれない。

 食べる事と読書と畑いじりだけが楽しみのニート生活はなかなかに充実している。ご近所付き合いも良好。よきかなよきかな。

 ちょっと不安なことといえば、私は純粋な人間ではなく、珍しい魔法使いとエルフのハーフだから寿命も長く魔法も使えて、見た目は魔力が一番多い二十五歳で止まっていること。エルフなんて伝説レベルの少なさだから激レアどころかウルトラレアってもんだろう。

 そして実年齢は現在四十歳。四十年間彼氏なし。なんたること。

 と嘆きながらもパートナーのいないぐうたら独り身を謳歌している。ニート楽しい。

「ごちそうさま」

 空になった皿を前に手を合わせる。鍋にまだ残っているから、もう少し野菜と肉を加えて昼に食べよう。

 さて今日は何をしようかな、と鼻歌を歌いながら皿洗いを終えたところでドンドンとドアを叩かれた。

「はいはーい」

 手を拭いてローブを羽織り、裾をずるずる引きずりながら玄関へ。玄関先にある鏡をちらりと見ると、寝癖がまだ少し残っていた。……まあいいか、多分ご近所さんだろうし。

「お待たせしましたー」

 木のドアを押し開け、にっこり笑いながら相手を出迎える。人付き合いに笑顔は大事。笑ってればなんとかなるからね。

 しかし私の武器とも言える笑顔は出迎えた相手を見て凍りつく。

 相手は近所のおばさんでもおじさんでもなかった。


「突然の訪問失礼します。ラタ元治癒術師のお住まいでしょうか。国の命により城にご同行願い」


 はい無理!

 鎧を着た金髪碧眼イケメンがにっこり微笑み、こちらを見ながら仰った内容を最後まで聞かずに力一杯ドアを閉める。三つある鍵を全部かけ、さらに不可侵、防音の呪文をかける。この間十秒。久々に素早く動いた。

 息つく暇なく玄関から離れ、家の中心に位置するリビングへ向かう。そこで不可侵の呪文を大きく展開。家を丸ごと包ませてようやく息をついた。心臓が久しく大きな音を立てている。ニートは日頃運動なんかしないんだから、無理させないでくれ。

「やっばいあれ駄目だわ。駄目なやつだ。関わったらニート終わる」

 鎧に刻まれた鳥と剣の紋章はこの国のものだ。というか城って言っていた時点で彼が一端の地元騎士なんかではなく国直属の騎士であることは明確だ。

 冗談じゃない。

「籠城か逃亡か……」

 格好つけて呟いたものの、私がやることは決まっていた。

 そろそろ大事に育てていたミンの木の実が成る時期だ。畑も捨てがたいし、ここの人たちも嫌いじゃないどころか大好きだ。まだまだ離れたくはない。

 深呼吸して動悸を落ち着かせてから立ち上がり、階段を登る。二階にある自室の窓は丁度玄関を見下ろせる位置にあった。騎士が二名の仲間とドアを叩いている。誰も二十代か三十代の若い奴らばかりだ。先ほどのイケメンが腰の剣を抜こうとしていたが、鼻で笑う。

「馬鹿だなぁ、剣で私の魔法が崩れるわけない」

 さて、ニート歴二十年の意地を見せてやろう。

 諸用によりだーーーいぶ間が空くと思います。期待せずに待っていてくださると嬉しいです。

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