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短編

月を仰ぎ歩く

作者: いまり 鈴

 満月の、そのくっきりと浮かび上がった美しいシルエットに、思わず息を飲んだ。どこまでも吸い寄せられ、引き寄せられるようなその純粋で妖艶な光を前にして、立ち止まらないわけがなかった。どこぞの竹林から、光り輝く小さなお姫様が生まれ現れても、誰も疑問に思わないだろう。それくらい、今宵の月は美しい。

 ふと我に返り、スマートフォンを取り出した。鳥のさえずるアイコンをタップして、書き込もうとして、消して。その場で誰かと感動を共有できるのはとても便利で良いことだと思うけれど、その感動をわずかな文字で伝えきることなど、人間である限り不可能なことだ。悔しいながらも「今日の月、とてもいいね。素敵」とだけ打ちこんだ。

 即座に返される共感の数々に、歓喜のため息が漏れる。伝えきれなくても、同じように月を眺め、同じように好意を抱いてくれる人がいるという事実が、ただただ嬉しい。もしかして、あまり顔を出さないあの人も、私の文章を見て同じように月を眺めているんじゃないだろうか。そんな自分勝手な想像に浸りながら、帰りを待つ家族の元へ歩を進める。




Fin.

 帰り道に見上げた中秋の名月に感動しました。告白の相手はいないけど、とても月が綺麗でした。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 作品に共感しました。本当に、今夜の月はきれいですね。 [一言] 夏目漱石でしたか、I love you を「月がきれいですね」と表現したのは……。こういう月を見て、美しいと思う時、それを誰…
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