家族から見放された?
「でも、腑に落ちない点があるのよね。」
なっちゃんは、わたしに対して今回の状況を詳しく教えてくれた。
「1日経ってるのに、警察に桜田さんの捜索願が出されてないの。普通は有り得ないことなんだけどな。」
「それじゃ、わたしは家族から見放されたってこと?」
「その可能性も有り得るかもね。一応、他に調べてみたけど、中学生の捜索願はなかったからね。」
「そんな…。」
その言葉を聞いて、わたしは涙が出てきた。
「泣かなくてもいいよ。私がしっかり面倒見るから。」
「…ありがとう…。」
なっちゃんは泣きじゃくるわたしを慰めてくれた。
「というわけで、今から中学校に行って情報収集をやります。」
「中学校に行ってなんかわかるの?」
「もしかしたら、あなたの親が学校に嘘ついて学校を休ませてるかもしれない。そうすれば、学校だって警察に電話しないでしょ。」
「そうだね。」
「だから、学校へ行って真相を突き止めるの。」
「それじゃ、わたしの身元も判明するってこと!?」
「判明するかもしれないけど、その代わりにお父さんとお母さんは警察に逮捕されるかもね。」
「どうして?」
「保護責任者遺棄っていうのがあって、子どもを置き去りにした親は捕まっちゃうの。」
「でも、わたしを捨てた親なんでしょ。今さら親なんて思えないよ。」
「まあ、まだ捨てられたって決まったわけじゃないから、信じ込まない方がいいよ。」
「…わかった…。」
わたしは、親に捨てられたと思ってついカッとなってしまった。
なっちゃんは、さらに話を進めていった。
「あと考えられるのは、その制服自体がダミーかもしれない。」
「どういうこと?」
「桜田さんの着てる制服は、実は桜田さんのものではないかもって。」
「えっ、よくわからないんだけど?」
「要は、誰かによって着せられたかもしれないってこと。」
「何のために?」
「さぁ、なんでだろうね。そこが疑問なんだけど。」
「ふーん。」
結局、考えてもよくわからなかった。
「まあ、考えても仕方がないから学校に行きましょう。」
「そうだね。」
荷物の準備を終えて、わたしは病室をあとにした。