生野菜嫌いが判明
目を覚ましたら、すでに夜になっていた。
「わたし、いつの間にか寝ちゃったんだ。」
すると、ノックをする音が聞こえた。
「桜田さん。失礼します。」
看護師さんがごはんを持ってきた。
「桜田さん、今日の夕食です。しっかり食べてくださいね。」
看護師さんは、ベッドの上で食べられるように準備を始めた。
夕食の中身は、白いごはんと小皿に入った野菜サラダ、豆腐の冷やっこに焼き魚、そしてデザートのプリンだ。
早速、わたしは夕食にありついた。
「うん、おいしい♪」
「よかったよかった♪」
だが、野菜サラダに入っていたトマトを口にしたら、急に気持ち悪くなった。
「おえっ、まずい!」
「桜田さん、大丈夫!?」
看護師さんが口に入っていたトマトを吐き出すよう促した。
そして、わたしは口からトマトを吐き出した。
「わたし、トマトはダメみたい…。」
「トマト嫌いだったの?」
「わからないけど、口に入れたら気持ち悪くなったの…。」
「それは恐らくトマトが嫌いな証拠だね。いいよ、残しちゃって。」
「ごめんなさい…。」
食べ物を残すことに罪悪感を感じたわたしは、看護師さんに謝った。
「でも、ミートソースのスパゲティは良くて、トマトが嫌いって変わってるね。」
「どうして?」
「だって、元々ミートソースだってトマトから作られてるじゃない。」
「そう言われて見ると、確かにそうだね。」
「桜田さん。トマト以外の野菜は大丈夫かな?」
「ちょっと食べてみる。」
看護師さんに言われ、トマト以外の野菜を食べてみた。
「おえっ、これもまずい!」
「あらあら、こちらもダメか。」
トマトと同様に、わたしは口から野菜を吐き出した。
どうやら、わたしは生野菜全般が苦手らしい。
「それじゃ、サラダ以外を食べたらおしまいにしましょうか。」
「はーい…。」
わたしは、野菜サラダ以外をすべて食べた。
「それじゃ、お盆を下げますね。」
看護師さんは、食べ終わったお盆を下げていった。
「あとは自由にお風呂に入ってもらって、10時までにはおやすみしてくださいね。」
「わかりました。」
そう言って、看護師さんは部屋から出て行った。
このあと、しばらくしてから部屋の中にある風呂場でからだを洗い、9時前にはベッドに入り、わたしは深い眠りについた。