わたしのからだは異常なし
警察署を出て、なっちゃんと一緒にクルマで病院へ向かった。
「病院行くのが怖い?」
「…うん…。」
「心配ないからね。」
「頑張る…。」
心配するわたしをなっちゃんは励ましてくれるのだった。
病院に到着し、すぐにわたしのからだの調査が行われた。
「それじゃ、桜田さん。制服を脱いで、そちらの入院服に着替えてください。」
お医者さんに言われて、わたしは入院服に着替えた。
その後、CTスキャンなるものを受け、わたしのからだに異常があるかを調べた。
検査を終えて、次は問診へ。
とある診察室に移動すると、そこには女性のお医者さんがいた。
「それじゃ、桜田さん。こちらにおすわりください。」
言われるがままに、わたしはお医者さんの前の席に座った。
「では、これから問診を行います。」
「はい、お願いします。」
「桜田さんは、目が覚める前の記憶は何もないですか?」
「まったくないです。」
「名前、誕生日、家族の名前とかもわからない?」
「全然出てこないです。」
「そうですか…。」
お医者さんはウーンと考え込んでいた。
「それじゃ、次の質問。桜田さんは、食べ物は何が好き?」
今度は、わたしの好き嫌いに関する質問を始めた。
「好きなものは、ミートソースのスパゲティかな。」
「嫌いなものは?」
「なんだろう? そう言われて思い出そうとしても、全然出てこないや。」
「それじゃ、食事の時にならないとわからないかな?」
「たぶん。」
結局、質問から新たな手掛かりが出てこなかったみたいだ。
しばらくしてから、先ほどのCTスキャンの結果が出たようで、お医者さんはその結果を報告してくれた。
「桜田さんのからだに異常は特に見られませんね。脳とかに腫瘍もないし、からだ全体に変なところはないし。」
「そうですか…。」
「どうして記憶喪失になったかは不明ですが、桜田さんのからだは健康なのでそこは心配しなくてもいいですよ。」
「ありがとうございます。」
わたしはあまり腑に落ちなかったが、変な病気が混じってなかった点では一安心した。
「でも、今日は念のために検査入院しましょうか。」
「わかりました。」
問診が終わり、わたしは病室へ案内された。