女性警察官“なっちゃん”
「それじゃ、桜田さん。あなたの着ている制服と胸元の名札の写真を数枚撮ってもいいかな?」
「うん、いいよ。」
「これで学校が絞れればいいけどね。」
女性警察官は、わたしの制服と名札の写真を撮り始めた。
そして、撮ったカメラを他の人に渡して調べるように頼んだ。
「ところで、聞いてもいい?」
「なあに、桜田さん。」
「お姉さんの名前はなんて言うの?」
わたしは、なんとなく女性警察官の名前が知りたかった。
「私は、大久保奈津子。これからお世話になると思うから、よろしくね。」
「それじゃ、大久保さんって呼べばいいかな?」
「大久保さんってちょっと堅いなー。“なっちゃん”でいいよ♪」
「なっちゃん?」
「それでOK♪」
「それじゃ、なっちゃんって呼ぶからね。」
「どうぞ。」
わたしは、これからなっちゃんのお世話になるようだ。
「ところで、桜田さん。腹減ってない?」
「うん、さっきからグーグー鳴ってるみたい。」
「なにか食べる?」
「うん、ミートソースのスパゲティが食べたいな。」
わたしは、無意識に特定の食べ物の名前を口に出した。
それを聞いて、なっちゃんは驚いたみたいだ。
「桜田さん。それって、あなたの大好物なの?」
「わからないけど、不意に頭に思い浮かんだからしゃべってみたの。」
「そうなんだ。とりあえず、ミートソースのスパゲティは用意するね。」
「ありがとう。」
もしかして、ミートソースのスパゲティの名前が出たってことは、わたしはこれが大好物なのかもしれない。