なっちゃんの家へ
買い物も終わり、わたしたちはデパートをあとにした。
「さてと、ある程度遥ちゃんの必要なものは買えたかな。」
「なっちゃん、本当にありがとう♪」
わたしはとても嬉しかった。
家族でもない人なのに、わたしのことをここまで面倒を見てくれることに本当に嬉しかった。
ずっとなっちゃんのそばにいたい、この時わたしはそう思ったのだ。
「それじゃ、次は私の家に行こうか。」
どうやら、これからなっちゃんの家に向かうらしい。
「なっちゃんの家に行くの?」
「そうだよ。もしかして、嫌だった?」
「ううん。むしろ、なっちゃんの家だから安心したの。」
「あら、どうして?」
「てっきり、どっかの施設に預けられるかと思って…。」
そう言うと、なっちゃんは真剣な口調で話し始めた。
「実はね、最初は遥ちゃんを施設に預けるって話になってたんだ。中学生だから、自分でなんとかできるだろうってことで。でも、記憶を無くした遥ちゃんにそれはかわいそうだろうと思って、私はそれに反対したの。その結果、施設に預ける代わりに私が遥ちゃんの面倒を見ることにしたわけ。」
「そうだったんだ…。」
「案の定、施設に行くのが嫌だったみたいだね。」
「うん…。」
まるでなっちゃんは、わたしの気持ちをわかってるような感じだった。
そうでなければ、わたしはこのまま施設に預けられて、なっちゃんとは離ればなれになっていたのかもしれない。
わたしは、なっちゃんに思っていたことをすべて打ち明けた。
「わたし、このままなっちゃんと一緒にいたい…。」
「えっ…?」
「だって、なっちゃんのそばにいると安心できるもん。わたしのことをとても心配してくれるし。」
「遥ちゃん…。」
「だから、わたしから離れないでね…。」
「大丈夫だよ。心配しないでね。」
その言葉を聞いて、わたしは嬉し涙が出てきたのだった。
「しかし、会って2日でここまで心開いてくれるなんて、私もうれしいな。」
「えっ…?」
「今まで、いろんな子と接したことあるけど、大体は警戒してあまり心開かない子ばかりだったから、遥ちゃんみたいにすぐに心開いてくれる子は珍しいなって。」
「そうなんだ…。」
「遥ちゃん、私に対して心開いてくれてありがとう。」
「なんか照れるな…。」




