春田中学校に入学
話も終わり、わたしたちは学校をあとにした。
「遥ちゃん、いつまで泣いているの。」
「…だって、わたしが誰かわからなかったんだもん…。」
「確かに、今回の話では遥ちゃんが誰だかはわからなかった。けど、逆に遥ちゃんは家族から見放されたわけじゃないのがわかったじゃない。」
「えっ…?」
「もしここで解決したら、遥ちゃんは家族なしで生活していくことになるんだよ。それでもいいの?」
「やだ、それはやだよ…。」
「そうでしょう。すぐに自分が誰なのか知りたい気持ちもわかるけど、ゆっくり焦らずに行くのも大事だよ。」
「…うん…。」
「大丈夫。遥ちゃんの家族はちゃんと待ってるから、そこは安心していいんだよ。」
「うん。」
なっちゃんの言葉で、わたしは勇気付けられた。
「なっちゃん、ありがとう。」
「おっ、泣き止んだね。よかった♪」
「わたし、頑張るから!」
「いいよ、その調子♪」
なっちゃんに褒められて、とても嬉しくなった。
「そうだ、あれを忘れてた。」
すると、なっちゃんはポケットからなにかを出した。
「なにそれ?」
「春田中学校の校章バッジです。来週から、遥ちゃんは春田中学校に通うことが決まりました♪」
「本当に!?」
「そうだよ。泣いてて聞いてなかったかもしれないけど、校長先生との話でそうなりました。」
「やったー♪」
「というわけで、これから遥ちゃんの春田中学校入学式を行います。それじゃ、胸元を空けて。」
「はーい。」
そう言って、なっちゃんは春田中学校の校章バッジを胸元の名札のところに取り付けてくれた。
「桜田遥さん。」
「はい!」
「あなたを本日付で春田中学校の生徒として認めます。」
「ありがとうございます♪」
こうして、わたしは来週から春田中学校に通うこととなった。
「よし、気晴らしにお出かけしようか♪」
「うん♪」




