記憶喪失
「お嬢ちゃん、起きて! こんなところで寝たら風邪引くよ!」
誰かがわたしを起こしてるようだ。
その声でわたしは目を覚ました。
「やっと起きたみたいだね。」
目を開けると、そこには一人の男性が立っていた。
「あれ、わたし…。」
「お嬢ちゃん、なんでこんなところで寝てたの?」
男性はわたしに質問を投げかけてきた。
「…わからない…。」
「わからない!? お嬢ちゃん、学校の制服を着てるみたいだけど、学校はどこなの?」
どうやら、わたしはどこかの学校の制服を着てるらしい。
しかし、その制服がどこの学校のものかがわからない。
「ごめんなさい、全然わからない。」
「わからない!? それじゃ、自分の名前もわからないってこと!?」
自分の名前、言われてみれば思い出せない。
「全然出てこない…。」
「でも、胸元に付いてる名札の名字、お嬢ちゃんの名字じゃないの?」
男性に言われ、胸元に付いてる名札を確認してみた。
「桜田? これがわたしの名前?」
「その名字に見覚えはないわけ?」
「全然…。」
「どうやら、お嬢ちゃんは記憶喪失になったみたいだね…。」
「記憶喪失?」
「とりあえず警察に行って、お嬢ちゃんが誰なのか調べてもらおう。」
「う、うん…。」
こうして、わたしがどこの誰なのかを確かめる旅が始まるのだった。