四時限目 呪文・詠唱
玲奈「じゃあ今回は、いよいよ呪文・詠唱について勉強します」
奈々「ついに、ついにですか!」
作者「魔法・魔術と言えば、やっぱここは外せない」
玲奈「ヘボ作者の認識はともかく、確かに外せないわね。ほぼ全ての魔術体系において、使われている技法と言って良いわ」
作者「意味があるのかすら分からない呪文に、厨二全開の痛々しい単語や言い文句。格好いいじゃないか……」
奈々「…………(ゾワゾワ)」
玲奈「奈々、私達の場合、職業上仕方ないから諦めなさい」
奈々「…………(しゅん)」
玲奈「それじゃ、講義を始めるから、しっかり聞きなさいよ」
奈々「わ、分かりました」
玲奈「これは私の勝手なイメージなんだけど、呪文は一言二言の短い文章。詠唱は呪文より長く、時には詩のようなものもある、って感じでいくから」
作者「呪文って言うと、やっぱりドラ○エとか、ファイナ○ファン○ジーとか、ゲームのイメージね。詠唱になると、やっぱり詩とか短歌みたいのがイメージにあるな」
玲奈「まあ、あながち間違ってはいないわ。ただ、復活の呪文とかはないけどね」
作者「わーい」
奈々「ところで先生、呪文と詠唱って、今の質問から考えるに違うものなんですか?」
玲奈「いや、厳密に言うと、違いなんてないわよ」
奈々「ないんですかっ!?」
玲奈「さっきのは、あくまでニュアンスの話よ。定義付けする方が、むしろ難しいと思うわ」
奈々「へ……へぇー…へぇ」
玲奈「この二つも、大まかに分けて二つのタイプが存在するわ。あくまで、私個人の意見だけど」
奈々「なんか、二つに分けるの多いですね」
そのいち、起動キーとしての
玲奈「一つは、前の講義でやった、魔法陣の起動キーとしてね」
奈々「あ、確かに言ってましたね」
玲奈「呪文の方は、起動キーの名前の通り、その一言で魔法陣が完成するタイプ。得てして、それぞれの魔術体系の中では、基本的なもの、初歩的なもの、単純なものなんかが多いわ」
奈々「初歩的ですか……。それは確かに、私にも覚えが。護符を使った術なんですけど、必ず『急々如律令』って言いますもん」
玲奈「まあ、それが起動キーって事なんでしょうね。これは、詠唱を起動キーとしている方も同じ。こっちの方は、起動キーの他に、魔法陣のパーツも含まれてるってのが、違いかしらね」
奈々「魔法陣のパーツも、ですか?」
玲奈「そう。普通、詠唱って呼ばれてる長い文章は、大威力の術や、影響範囲の広い術なんかが多いわよね。つまり、魔法陣はそれだけ複雑になってるの」
奈々「はい。前にやりましたね。私にはまだ、縁のない世界です」
玲奈「それだけ大きいと、起動キーを抜いただけじゃ、別の術の魔法陣になったり、変に不安定な分暴走したりするわ。行き場を失った魔力が暴発するだけならまだしも、術の失敗は基本的に術者本人に返ってくるから、下手したら死ぬわね」
奈々「し、死ぬん、ですか(怖)」
玲奈「うん。下手したら、水風船みたいに、パーンって」
奈々「そ、そんな話、今はいいしゃないですか。こ、怖いです(ぶるぶる)」
玲奈「だから、別の術になったり、制御不能に陥らないよう、に起動キー以外のパーツも一緒に抜いていくのよ。一番完成させやすい形まで、あえて崩してるってわけ」
奈々「私も、将来使えるようになるでしょうか?(真剣な眼差しで)」
玲奈「むしろ、なれなきゃ鷹司家は滅ぶわ」
奈々「ガクッ(チーーーーーン(お坊さんが叩く、あれの音))」
そのに、そのものが術に
玲奈「あのさ、気落ちしてるとこ悪いけど、次行くわよ」
奈々「…………」
作者「奈々ちゃーん、帰って来てー」
奈々「…………はっ!?」
作者「お帰り」
玲奈「はい、バカが帰って来たところで、もっと難しいのやるから」
奈々「さっき、あんなひどい事言われてショックなのに、もっと難しいんですか」
玲奈「呪文・詠唱そのもので、術を起動させるタイプよ」
奈々「言葉だけで、術を発動させるって事ですか?」
玲奈「そう。さっきの詠唱を思い出せば分かるけど、魔法陣の役割も全て口頭で行うの。勿論、色々な工夫が凝らされているわ」
奈々「例えば?」
玲奈「分かりやすいので言うと、音楽みたいに、音階やリズムをつけるのかな。あとは、数秘学的に、何文字・何節・何文で文章を区切るかとか。あとは単語の意味を考えて、色々組み合わせたりね」
奈々「数秘学……?」
玲奈「とりあえず、実家帰って勉強して来いバカ」
奈々「ガーーーン……」
玲奈「まあ、こんな感じかな。勿論、呪文タイプは単純で威力が小さく、時間があまりかからない。詠唱タイプは複雑で威力が大きく、時間がかかる。この点は、起動キーの場合と一緒よ。ただし、魔法陣を準備する必要がない分、運用性が高いわ。まあ、全てを言葉にする分、魔法陣を用いるものより難易度は少し高いかな。言葉にどれだけ魔力を乗せられるか、ってのも重要だから。まあ、これは起動キーにも言える言葉だけど」
奈々「せ、先生。もう頭が痛いです」
玲奈「安心しな。もう終わったから」
奈々「はふぅーーー」
玲奈「ちなみに、詠唱短縮のテクニックこ、音階・リズム・数秘学・単語の選定は、起動キーたる詠唱にも応用できるから、覚えといてね」
奈々「ひ、はゃい」
玲奈「それじゃ、これにて終了。よく休んで勉強しなよ」
奈々「…………(机に突っ伏し、辛うじて片手を挙手)」
※これはあくまで、作者(蒼崎れい)自身の考えた、自分なりの論理です。この他にも様々な解釈の仕方があります。