人生リスタート
人生をやり直したい。
誰もが一度は考えたその願い。
「たのし♪」
一度は経験した小学生。
何もかもが簡単で、すんなりいく人生に爽快だった。
中学生。
高校生。
すべてが順風満帆。
大学生。
幼馴染の恋人と一緒に旅行に来ていた。
初夜。
彼女に指輪を渡した。
泣かせてしまったが、とても気分が良かった。
嬉しかった。
「ねえ」
社会人一年目。
にしてすでにエリート社員。
妻とも幸せに暮らしている。
「見て見て」
引っ張り出してきたアルバム。
「懐かしいー♪」
ぺらぺらとめくるページ。
小学生の時の僕は、まさに大人びていた。
その隣に写る妻は、とても子供っぽく活発そうな笑顔をしていた。
「ねえ」
微笑む妻。
僕を見た。
「——貴方は何回目?」
ドキリとした。
けれど妻は幸せそうな顔。
「私、三回目♪」
指を三つにして言った。
「何回でも一緒に居たいなあって」
抱き着いてくる妻。
それは僕もだ。
「……僕は二回目」
「じゃあ私の方が先輩だあ」
優しい抱擁だった。
「他にしてみたいことってある?」
その問いに。
僕は胸が熱くなった。
「いくらでも」
僕たちは笑い合った。
そうしてまず初めに願った。
子どもが欲しい。
って。