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第6話: 藤井千夏は恋愛したい!

第6話: 藤井千夏は恋愛したい!



「藤井先輩! 僕と付き合って下さい!」

「いやぁ……それは無理な話ですよ。 私はみんなに愛されているアイドルですから誰か一人を愛するなんて……」

「流石は藤井先輩! みんなからモテモテですね!」

「ふっ……いやぁ、それ程でもないですよ」

「第45期生徒会執行部、第2のメンバー藤井千夏ふじいちなつ! 絶世の美少女にしてこの生徒会の花! まさに最強で無敵の……」

優雅「すいません。 邪魔しちゃ悪いかなって思って黙ってたんですけど流石に我慢出来ないので言いますね。 1人で何やってんすか?」

智幸「俺も同意見だ。 何をやってるんだ藤井?」

私が気持ちよく演説していたというのに会長と優雅に阻害される。

千夏「何って言われましても……私の魅力を語ってただけですけど?」

智幸「その、あまりこういうことは言いたくないんだが……あんま人前でそういうことはしない方がいいと思うぞ?」

優雅「だからって一人二役して一人語りってなんか藤井先輩悲しい人っすね。 何か悩みでもあったんすか?」

千夏「あるよ!」

優雅「うぉっ!? ちょっと急に大声出すのやめてくださいよ……」

私の1人芝居をバカにされたので怒りをあらわにしながら優雅にずいと距離を詰める。

千夏「会長も聞いていたでしょう? この前出かけた時の皆さんの惚気話を……皆は好きな人だので盛り上がっているというのに私は入学して2年も経つのになんの色恋沙汰も無し……これっておかしくないですか!?」

優雅「いや、そんな事俺に言われましても……というか俺そのお出かけ誘われてないんですが?」

智幸「お前も誘おうと思ったんだが真冬が嫌だと言って聞かなくてな……葵がお土産を買ってたからそれで我慢してくれ」

優雅「真冬……全くあいつは……それに比べて葵先輩はわざわざお土産買ってきてくれるなんて優しい人だなぁ…」

千夏「優雅君のお土産の話なんて今はどうでもいいんです!!!」

優雅「えぇ!? いや、どうでも良くはねぇよ!」

私の訴えを他所に呑気に話し始めた会長と優雅君に苛立ちを覚えながらも熱心に今の現状を伝える。

千夏「良いですか? これは実に大変なことなんです。 先輩である私が後輩の恋バナについていけないとは恥! 2年もこの学校にいるのになんの色恋沙汰も無いなんておかしいじゃないですか! モテない優雅君ならこの気持ち分かりますよね?」

優雅「モテないは余計です。 でもまぁ藤井先輩ってまぁモテそうですし分からんこともないですけど……」

智幸「だがそこまで気にすることか? 別に恋愛なんて人それぞれなんだし気にしなくても…」

千夏「いいえ! これは一大事なんです!」

今の現状を全く理解出来ていない恋愛初心者の2人に私はやれやれと言いながら、

千夏「いいですか? 自分で言うのもなんですが私って結構可愛いじゃないですか?」

智幸・優雅「「おっ、そうだな」」

千夏「なので真冬ちゃんや葵ちゃんみたいに私も色んな人からモテモテでもおかしくないんですよ!」

智幸・優雅「「おっ、そうだな」」

千夏「なんだったら実は優雅君と会長も私の事好きなんじゃ……」

智幸・優雅「「あ、それはない」」

千夏「何でですか!!! というかさっきから上の空で聞いてるのになんで返事だけはハモるんですか!」


第45期生徒会執行部、第2のメンバー藤井千夏ふじいちなつ

葵とは中学生から一緒の学校で葵が生徒会に入ると同時に千夏も生徒会へと入部した言わば葵と1番中の深い人物である。

また、顔は広く色んな知り合いがいるが恋愛に発展しないため本人は不満に思っている恋愛脳モンスターである!


千夏「2人は意識が低いからモテないんです。 私の授業をしっかりと聞けば(きっと)モテるようになるのでしっかり聞いてて下さいね!」

優雅「はい、先生! 」

智幸「は、はい……」

千夏「ふふん! 優雅君いい返事ですね!」

朧「……あれは何をしてるんですか?」

葵「さぁ? 私が生徒会室に来た時にはもうコレでしたので……まぁ黒板に書いてあるとおり恋愛教室らしいですよ」

恋愛を軽視している2人をイスに座らせて、私は2人に恋のABCを教える為授業を開く。

後ろにいる朧ちゃんと葵ちゃんは恋愛を知り得ていると見越し、見学をしてもらうことにした

智幸「お、おい優雅……俺こんな事になるなんて聞いてないぞ!」

優雅「俺だってこんなの受けたくないですよ。 でも藤井先輩の事だからきっとすぐ飽きるのでとりあえずここはノリに乗っておきましょう」

千夏「何コソコソ話してるんですか? ほら、1問目ですよ」

コソコソと話をしていた優雅君と会長に見せるように黒板をペシペシ叩き、書いた問題を読ませる。

優雅「えぇっと……『第1問。 恋愛において重要な要素はなにか。 3つ答えなさい』だって?」

千夏「はい。 恋愛は重要な要素が沢山ありますがその中でも極めて重要だと思う要素を3つ答えて下さい。 これが分からないようじゃ恋愛マスターには程遠いですよ!」

私は伊達メガネをクイッと上げながら胸を張り自信満々にそう……

優雅「聞きました会長? 恋愛マスターですって。 俺と同じで一切モテて無いくせに俺達にあんな自身満々に張り切っちゃって……ぶふっ! 面白過ぎるでしょ…!」

千夏「優雅君? それ以上バカにするんだったらありもしない噂ひろめてあげるからね?」

優雅「す、すみませんでした……クソッ! こんなの不当な権力の行使だ!」

私をバカにして吹き出した優雅君を脅して黙らせると会長が考え終わった様なので、

千夏「会長、考え終わったようなのでどうぞ答えて下さい!」

智幸「え? まだ考えてたんだが……そうだな、愛情と優しさと思いやりか?」

千夏「なるほど……会長らしい答えですね。 では優雅君は?」

優雅「金、顔、金」

千夏「最低です! 冗談でもいいのでもっと真面目な回答してくださいよ! 正解は『相手を尊重する心、信頼、気持ちを言葉にする』です! というかお金が2つ入ってるじゃないですか!」

私が優雅君に説教すると優雅君は何を言っているんだと言う顔で、

優雅「知ってますか藤井先輩。 愛ってお金で買えるんですよ。 愛だけあってもお金がなきゃ愛を育めない、でもお金があれば愛も買えるし育める……つまりこの世の中は金が全てって事です」

千夏「そんな訳ないでしょ! そんな…訳……そ、そうなの……?」

朧「そんな訳ないでしょう! 騙されてはいけませんよ藤井先輩! 今のは全て優雅の妄言です!」

千夏「で、ですよね! 全く優雅君ったら……」

優雅「お? 聞き捨てならないな朧。 お前だって金持ちは好きだろ? お金がなけりゃ恋愛なんか出来ないんだぜ? それに顔だっていいに越したことはないさ」

朧「うるさいですよ優雅! 私は別にお金が無い男性だろうと私を心の底から愛してくれるのであれば文句はありません!」

朧ちゃんは優雅君にそう言い放つ。

優雅「……で、本当は?」

朧「……お金持ちとイケメンは嫌いじゃないです」

智幸「朧お前……」

葵「朧さん……」

朧ちゃんの発言に私含め会長と葵ちゃんが冷ややかな視線で朧ちゃんを見つめる。

朧「な、なんですか! 私だけ悪いみたいな視線はやめてください! どうせ会長や藤井先輩や葵先輩だって美男美女のお金持ちの方が好きですよね!」

智幸「別に俺はそんな事は……いや、待てよ?お金持ちという事はそれ即ちそれまでのたゆまぬ努力が実を結んでその結果財産を得たということ……あれ? やっぱりお金持ちの方がいいのか……?」

葵「わ、私は……私は…………!」

千夏「あーもう! みんなダメダメです! ほら、みんな席に着いて下さい! そして私の授業を……」

私は憤りを感じ、みんなを席に座らせたところで生徒会室の扉が開かれ……

真冬「生徒会室の外まで聞こえてるわよ……全く一体何をやって……本当に何をやってるの?」

生徒会室に入ってきた真冬は私を除く皆が席に座らされているこの異形な光景に少し困惑しながらそう聞いてくる。

千夏「丁度いい所に来ましたね真冬ちゃん! 今恋愛舐め腐っている人達に基礎を教えてあげようと恋愛教室を開いてましてね……」

私が説明すると真冬ちゃんは納得した様子で椅子に座り、

真冬「なら私も聞きます。 面白そうですしね」

千夏「本当ですか!? まぁ真冬ちゃんなら別に聞かなくても大丈夫そうですけどね」

優雅「いや、真冬はしっかりと聞いておくべきだな」

真冬「何? どういう意味よそれ」

優雅「まぁとにかく聞いとけ。 そしてお前はそろそろ自分についてもっと知るべきだ」

真冬「はぁ? さっきから何を言ってんのよあんた」

千夏「まぁまぁ2人共落ち着いて。 それじゃあ改めて初めていきますよ」

意味深な事を言う優雅君をなだめ、再び授業を始める。

千夏「では第2問です! 『モテる為に必要な事とは何か?』です!」

葵「そんなのあるんですか? もしあるのだとしたら誰でも試し放題じゃないですか」

智幸「そういうものじゃないぞ沢村。 こういうのは参考程度に聞き流すのが1番だ」

朧「会長の言う通りです。 だとしてもなんなのかは知りませんが」

優雅「……ほら真冬、出番だぞ」

真冬「あんたに言われなくてもやるわよ。 はい、わかったわ」

千夏「では真冬ちゃん答えをどうぞ!」

手を挙げた真冬を当ててあげると真冬ちゃんは自信満々に立ち上がり、

真冬「答えは『ファンクラブ』です!」

千夏「……えと、ファンクラブ?」

私が困惑しながらそう問いかけると真冬ちゃんは声を大にして、

真冬「ファンクラブがあるとはそれ即ち沢山の人に愛されているということ……モテる為にはファンクラブが必要不可欠って事です!」

智幸「そうなのか……? た、確かにファンクラブがあると言うことは色んな人から好かれている証拠……なのか?」

葵「な、なるほど……ファンクラブなるものがある人はモテるんですね……」

千夏「ち、違いますよ! 皆納得しないでください! というか葵ちゃんはファンクラブあるじゃないですか!」

真冬ちゃんの言葉に納得しているみんなに私はそう注意する。

すると葵ちゃんが驚いた様子で、

葵「わ、私のファンクラブなんてあるんですか……!?」

朧「おや、知らなかったのですか葵先輩? 私達が入学した当初から葵先輩のファンクラブが勧誘を良くしてましたよ」

真冬「ふふん! つまり私と葵先輩はみんなよりも1枚上手って事ね!」

優雅「ふん…お前は誰のおかげでそのファンクラブがあるのかも知らねぇくせに……」

真冬「何か言った優雅?」

優雅「別に何も〜?」

さっきから関係の無い話をして私の話を聞いてくれないみんなに私は憤りを感じ、

千夏「もう皆! なんでちゃんと話を聞いてくれないんですか! もう皆の事なんて知りませんから!」

藤井先輩はそう言うと走りながら生徒会室から出ていく。

朧「あっ、藤井先輩! ……どうしよう出てっちゃいました。 怒らせてしまいましたかね……」

真冬「そうね……私は真面目に答えてたつもりなのだけど怒らせてしまったようね。 追いかけましょうか」

朧と真冬はそういうと走って生徒会室から出ていった藤井先輩を追いかけるため立ち上がり……

優雅「いや、追いかけなくていい」

朧「……え? お、追いかけなくていい?」

優雅「あぁ、追いかける必要は無い。 とりあえず座っとけ」

真冬「何言ってるのあんた。 藤井先輩怒って出てっちゃったのよ? 追いかけなくていいだなんてそんな……」

智幸「いや、優雅の言う通りだ。 追いかけないで座ってていい」

葵「そうですね。 2人共追いかけなくて大丈夫ですよ」

俺のセリフに賛同した葵先輩と会長もそう言ってくれる。

真冬「会長と葵先輩まで……! 良いんですか? もしかしたら怒ってしばらく生徒会に来ないかも……」

優雅「いや、ないな」

智幸「うん、ないな」

葵「えぇ、ないですね」

真冬「み、みんな……」

朧「……ほ、ほら! 藤井先輩は私達に色々と教えようとしてくれてましたし、ないがしろにした私達も悪いですし謝らないとあとが怖いとか……」

優雅「あの人は寂しがり屋だからな。 絶対ない」

智幸「だな。 怒ってもすぐ戻ってくるな」

葵「えぇ、きっと『追ってこないの?』とか言ってそろそろ戻ってきますよ」

真冬「今さっき出てったばっかりなのにそんな事ってあ……」

真冬がそこまで言いかけると扉が少しだけ静かに開けられ、そこには……

千夏「……ねぇ、なんで誰も追ってきてくれないんですか?」

優雅「ほらな?」

智幸「早かったな」

葵「そうですね」

千夏「な、なんですか皆してニヤニヤして! 私本気で怒ってるんですよ!?」

優雅「はいはい、言葉と態度が合ってないですよ〜。 戻ってきたんだったら大人しくその辺に座って……いだだだだだ! 髪を引っ張るなって! 痛い! ってどこに連れていく気だ!」

千夏「もう許しませんよ優雅君。 話が逸れたのも元はと言えば貴方が原因、ちょっと来なさい」

舐めた態度をとる優雅君の頭を鷲掴みしながら私は生徒会室を後にした。

朧「……えと、あれは放っておいて大丈夫なんですか?」

智幸「あれは……まぁ多分大丈夫なんじゃないか?」

葵「た、多分大丈夫だと思います」

朧「た、多分ですか……ご愁傷さまです優雅」

真冬「優雅なんて別にどうでもいいのよ。 アイツはもっと痛い目見るべきよ」


優雅「……あの、ここ何処すか?」

千夏「私行きつけの公園」

私は優雅君を連れて学校から少し離れた私行きつけの公園へと連れてきた。

優雅「は、はぁ……で、なんで俺はここに連れてこられたんすか?」

千夏「優雅君も最近色々と大変そうでしたし、この景色を見て心をリフレッシュしてもらいたかったんです」

優雅「景色? おぉ……凄いですねこれ。 街を一望できるじゃないですか」

そう、ここは唯一街を一望出来るスポット。

あんまり皆に知られてないけど夕方に来ると日の入りを、夜に来ると夜景がとっても綺麗な場所だ。

千夏「色々考え込んで疲れちゃったりした時に来るんですよ。 この景色を見てれば自然と心が落ち着くんです」

優雅「確かに都会ならではの綺麗な夜景ですね」

千夏「でしょ? 優雅君も彼女が出来たら連れて来ていいからね?」

優雅「は、はは…機会があれば……」

優雅君は乾いた笑いをしながらベンチへと腰掛ける。

千夏「私はいつか素敵な彼氏とここにデートしに来る予定なんですよ。 まぁ私は恋愛マスターですし彼氏なんてその気になればできるんですけどね!」

優雅「はいはい、凄いでちゅね〜って痛ッ!? 殴るのは酷くないッスか!?」

私の心にストレートパンチを繰り出してきた優雅君に私は物理的にストレートパンチをし返す

千夏「全く、優雅君は失礼にも程がありますよ」

優雅「みんな思ってることを代弁して言ってるだけなんですけどね……。 そもそも別に周りのヤツらが色恋沙汰になってるからと言って藤井先輩が焦る必要なんて無くないですか?」

千夏「そう…だね……。 実は別にそこまで焦ってる訳じゃないんですよ。 ただ……みんなに恋人が出来たら私との関係が薄まっちゃうんじゃないかなって思うとなんか……少し寂しくてですね……」

自分は相変わらず面倒臭い女だなと最近はつくづく思う。

好きな人が出来ればそっちを優先するに決まっている。 そうすれば私との時間は減り時が経つにつれどんどん関係が薄まっていき……最近はそんな事ばかり考えてしまう。

昔はこんな事考えた事すらなかったって言うのに……

優雅「……ん〜、そんなことは無いんじゃないですか?」

千夏「……え?」

優雅「恋人が出来ようが出来まいが友達を大事に思う心は変わらないですよ。 だって大事な人が1人増えただけですもん、なんも変わるわけないじゃないですか。ってまぁ、彼女の一人もいない俺が言えたセリフではないんですけどね」

千夏「……!」

優雅君の言う通りだ。 ……私、馬鹿だった。

何を心配してたんだろう。

千夏「ありがとう優雅君。 おかげでスッキリしたよ。 私、大切な事を見失ってた」

優雅「そうですか。 それなら良かったです」

千夏「……よし、じゃあもうスッキリしたし私は帰るかな。 優雅君も一緒に帰る?」

悩みが晴れた私は未だベンチに腰かけている優雅君にそう問いかけ……

優雅「あ、いや、生徒会室に荷物置きっぱなんで一旦戻らなきゃいけないんで……」

千夏「あ、あぁ…なんかごめん……私が急に連れてきちゃったからですよね」

優雅「いいですよ別に。 それじゃあまた明日」

千夏「うん、また明日……あっ! 優雅君!」

優雅「? なんすか?」

公園から立ち去ろうとする優雅君に私は優しく微笑みながら、

千夏「今日の私が魅力的だったからって私の事好きになっちゃダメだ……」

優雅「あっ、それは絶対無いんで大丈夫です」

千夏「ちょっと最後まで言わせてくださいよ! しかも即答なのが腹立つ!」



今日の活動記録 担当:会長 遊木 智幸

出席者 智幸、葵、優雅、千夏、真冬、朧

・藤井書記の恋愛教室

・学祭準備


藤井書記へ→書記なんだから日誌を書いて帰って下さい。





優雅「ただま〜……」

荷物を取りに生徒会室へ戻ってきた俺だったが生徒会室にはまだ藤井先輩を除く全員が残っていた。

朧「おや? また戻ってきたんですか。 一体どこに?」

葵「おや、おかえりなさい。 ……あれ? 藤井さんはいないんですか?」

優雅「あぁ、帰りましたよ。 なんか公園に連れてかれて藤井先輩は気持ち落ち着いたから帰るって言ってそのまま別れました」

真冬「公園に……? 藤井先輩は一体何の為に……?」

智幸「またアイツ日誌をすっぽかしながら帰りやがって……まぁいい。 俺達も解散する所だったんだ、優雅も遅くならないうちに帰れよ」

優雅「了解ッス」

会長の言った通りみんな帰る準備を始めていたので俺も帰る為、荷物を持って早々に……

朧「……あの、優雅」

優雅「ん? どした?」

荷物を持ったので帰ろうと思うと突如朧が制服の裾を掴み引き止めてくる。

朧「聞きたいんですが、明日って暇ですか?」

優雅「明日? いや、生徒会あるんだから暇では……」

俺がそう言うと会長がハッとした様子で俺に話しかけてくる。

智幸「危ない危ない、伝え忘れる所だったな。 明日は生徒会休みだから来なくて大丈夫だぞ。 藤井には俺から伝えておく」

優雅「あ、あぁそうなんですか。 了解です」

会長はそれだけ伝えると葵先輩と一緒に帰っていく。

朧「……では改めて聞きますね。 明日って暇ですか?」

優雅「え? いや、まぁ今の所なんの予定も無いけど……何だ? 俺ゲームしたいから雑務とかは受け付けてないぞ?」

朧「雑務では無いです。 ちゃんと大事な用事です」

すると朧は俺の顔を覗き込みながら真剣な眼差しで、

朧「……優雅が良ければ……明日私とデートにでも行きませんか?」

……え?

真冬「えぇ!? ちょ、えぇぇえ!?」

盗み聞きしてたらしい真冬が驚きの声を上げる。

いや、ちょっと待て。 驚くのはお前じゃないだろう。

優雅「えと、念の為もう1回聞くが……なんて言った? で、デート?」

朧「はい。 何度も言わせないで下さいよ。 明日暇なら私とデートしましょう」

…………え?



明日の予定→第7話 天才と天災の約束

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