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第20話: 一変した2人

第20話: 一変した2人




優雅「おはようござま〜す」

千夏「おはようございます優雅君! あとは真冬ちゃんだけだね」

生徒会室へ入ると真冬以外の全員が既に揃っていた。

昨日は話を終えた後真冬の質問に答えながら一緒に帰った。

今まで真冬としっかり話してこなかったから、喧嘩せず普通に話すと調子が狂う。

智幸「優雅、ちょっといいか?」

考え事をしていると会長にちょいちょいと手招きされ呼ばれる。

優雅「なんですか?」

智幸「昨日結局どうだったんだ? 上手くいったか?」

葵「真冬さんと話せましたか?」

会長と葵先輩は食い気味に小声で聞いてくる。

優雅「まぁなんとか納得はして貰えました。 とりあえず普通に話せるくらいまでには」

智幸「そうか……良かった。 ずっと心配だったんだよ」

葵「ずっと隠しているより知ってもらう方が良いですからね。 良かったです」

昨日真冬と話し合おうと思ったキッカケはこの2人だ。

確かあれは準備期間1日目の放課後……


葵「実は真冬さんが今いじめから助けてくれた恩人を探しているとずっと聞きこみ調査をしていて私にも聞いてきたんですよ」

優雅「真冬が……ですか」

葵「はい、会長も聞かれませんでしたか?」

智幸「あぁ、丁度今日聞かれたな。 今まで気にしてなさそうだったのに急に探し始めるな」

もう探すのは諦めたものかと思っていたが……まさかこの期に及んで探し始めるとは。

葵「恐らくもう真冬さんには私と会長が正体を知っている事がバレています。 近いうちに関係者に聞きこみ調査をしていきいずれしっぽを掴んでくるはずです」

優雅「まぁそうですよね……やっぱり隠し通すのは難しいか」

口止めはしているがバレるのは時間の問題だろう。

葵「そこでです。 優雅君にはちゃんと自分の口から真実を真冬さんに話して欲しいんです。 いつまでも誤魔化し続けて誤解されるよりちゃんと真実を話して和解した方がいいと思うんです」

優雅「そうは言っても俺の言う事なんてきっと真冬は信じちゃくれませんよ。 そもそもアイツ俺の事嫌いだし……」

葵「……知ってますか優雅君。 真冬さんは前ネックレスを見せてくれて内面を見てくれてさり気ない気遣いのできるこの人が好きと言っていました」

優雅「そうだったんですか。 でもあれは管智の案で……」

葵「でも優雅君が真冬さんを思う気持ちは本物です。 貴方達2人に今足りていないのは話し合いだと私は思うんです。 真冬さんにちゃんと話をしてみたらどうでしょうか?」

……確かに葵先輩の言う通りだ。

なんでも最初から自分で決めつけて真冬とちゃんと話もしていない。

優雅「……分かりました。 俺、真冬とちゃんと話し合ってみます」

葵「ふふ……良かったです。 そう言ってくれて」

智幸「沢村と同意見だ。 勘違いで嫌われてるなんて良くないしな」

葵「会長もそう思いますか。 そしたら後は2人っきりで話し合う場所ですね」

優雅「……あっ、それだったらいい場所が……」


そうして俺は水優に科学室を貸してもらいそこで真冬と話し合ったって訳だ。

智幸「じゃあ真冬と打ち解けられたのか? 前みたいにすぐ喧嘩とか無くなると俺らも嬉しいんだが」

葵「そうですね。 真冬さんの態度はどうでしたか?」

優雅「そう…ですね……。 思い返してみれば誤解を解いた後はなんだか優しかったですね」

いつもなら『じゃあ私帰るから。 あんたもさっさと帰りなさいよ』とか言ってきそうなのに昨日に関しては「まだ聞きたい事があるから途中まで一緒に帰らない?」と言われた。

いつもならありえないのでそう考えると俺に対して優しくなったのか……?

智幸「でも真冬の事だから今日来たらいつも通りの態度になっていそうなイメージがあるな」

葵「確かに……私も優雅君に優しくしてる真冬さんとか想像できません」

優雅「俺も出来ないっすよ。 もうずっとキツい物言いでしたから」

朧「何をコソコソ3人で話してるのですか?」

会長と葵先輩と話していると朧が気になった様子で近づいてくる。

葵「お、朧さん! 別に何も話してないですよ?」

千夏「嘘だ! 葵ちゃんは嘘をつく時両手を後ろで組む癖があるんですよ」

葵「!? そ、そんな癖が!?」

千夏先輩に指摘されて葵先輩は組んでいた腕を慌てて外す。

千夏「で、何話してたんですか? 恋バナですか!? 恋バナですよね!」

智幸「なんでそんなに食い気味なんだ。 別に優雅の苦労話を聞いてただけだ」

優雅「そうそう。 別に千夏先輩が気になるような話じゃないっスよ」

千夏「え〜つまんないの〜」

朧「そうだったのですか。 そういえば優雅に聞きたかったことがあったのですが昨日の放課後どこに行ってたんですか?」

智幸・葵「「!?」」

優雅「……えと、ちょっと用事があってな。 なんかあったか?」

朧「いえ、一緒に帰ろうと思ってたんですけどいつまで経っても戻ってこなかったんで先に帰っちゃったんですよ。 真冬も結局戻ってきませんでしたし」

優雅「あぁ、真冬は俺とうぐっ!」

智幸「あーごめんな朧! ちょっと優雅に用があるから!」

会長はそう言いながら俺の口を抑えて朧から引き離される。

優雅「なんすかいきなり」

智幸「何言いそうになってんだお前! 色んな人に知られると困るって言ってたのに喋る気か?」

優雅「はっ! そ、そうだった……!」

危うく流れで口を滑らせるところだった……危ない危ない。

葵「でも今更隠す必要あるんですか? もう真冬さんにも知られてますし隠す必要は無いのでは?」

優雅「それは……うん、まぁ確かにそうかもしれないすね」

朧「えっと……やっぱり何かあったんですか? コソコソと話してますけど」

俺達の行動を不審に思った朧は疑いながら問いかけてくる。

智幸「あぁいや、なんでもないから気にしないでくれ。 それよりも優雅に聞きたいことがあったんだろ?」

朧「はっ、そうでした。 実は聞きたい事がありまして……」

真冬「すみません遅れました!」

朧がこれから話すというタイミングで真冬が焦った様子で生徒会室へ入ってくる。

朧「あ、おはようございます真冬」

千夏「遅かったですね真冬ちゃん。 寝坊ですか?」

真冬「ちょっと色々あって手間取っちゃって……もう始めてました?」

智幸「いや、まだ始めてないぞ。 まぁ真冬も来た事だしそろそろ会議するか」

葵「ですね。 時間に余裕を持ちましょうか」

すると会長は会議の内容をホワイトボードに書き始める。

優雅「なぁ朧」

朧「ん? なんです?」

優雅「お前さっきなんて言おうとしたんだ?」

朧「あぁ……まぁもう会議始まりますしまた後で話しますよ。 急ぎの用事じゃありませんし」

智幸「よし、じゃあ会議始めるぞ。 お前ら席に着け!」

優雅「あ、ちょ……」

会長の合図でみんなが席に座り、朧に話の内容を聞けなくなってしまった。

一体なんて言おうとしてたんだ……

葵「今日はいよいよ天翔学園祭です! 改めて今日の動きについて簡単にまとめますと、ホームルームが終了後生徒会執行部はすぐに体育館に集合。 優雅君が放送で全学年を体育館へ移動させ他の人でセッティングをしてその後はリハーサル通りオープニングから各クラスのクラス発表になります。 放課後は2日目の準備を行います」

智幸「今日はクラス発表のみだから比較的楽だとは思うがトラブルは付き物だからみんな気を引き締めていくぞ。 いいな?」

千夏「任せてください」

朧「心得ました」

真冬「わかったわ」

優雅「うす」

智幸「よし、じゃあ会議は以上だ。 みんな頑張ろうな」

千夏「はい! じゃあ私は早いですがクラスに戻ってますね」

会議が終わり千夏先輩は一足先にクラスへ戻る。

優雅「じゃあ俺も戻ろうかな」

真冬「あ、優雅ちょっと待って」

千夏先輩に続いて俺もクラスへ戻ろうと廊下に出た所を真冬に呼び止められる。

真冬「あんた今日は昼飯持ってきたの?」

優雅「昼? いや、今貯金してるから買えるけど買わないで夜まで我慢するかな。 どうかしたのか?」

真冬「それずっと言ってるわよね……そういうのはケチるべきじゃないと思うんだけど……まぁそんな所だろうと思ってあんたの昼飯作ってきてあげたの。 はい」

優雅「……は?」

真冬はそう言うとカバンから弁当箱を出して俺に渡してくる。

優雅「えと……え? 何? これ貰っていいって事?」

真冬「だからあんたの昼飯作ってきてあげたって言ってるでしょ。 要らないなら他の人にあげるからいいけど」

優雅「いるいる! いや、有難いんだけど急にどうしたんだと思ってさ……」

真冬「お礼よお礼。 今まで色々して貰ってたから私なりの恩返し。 じゃあ後でね」

真冬は俺に弁当を渡すと満足気に生徒会室へと戻っていく。

なんだろう……今まで態度がキツかった人から優しくされるとなんか気持ち悪い。

前の真冬なら『アンタ今日も昼飯ないの? 買えるならちゃんと買って食いなさいよね。 だから不健康なのよ』とか言われてただろう。

優雅「……まぁいいか。 せっかく作ってきてくれたんだし有難く頂こう」


真冬「良かった渡せて」

どうせ優雅の事だから昼を持ってきてないだろうと思ったら案の定持ってきていなかった。

まぁ持ってきてたら渡せなかったし持ってきてなくてよかったけど。

朧「渡せて? 何か優雅に渡してきたんですか真冬?」

優雅に弁当を渡して生徒会室に入るとしーちゃんにそう話しかけられる。

真冬「優雅にお弁当をあげたのよ。 アイツ今日も持ってきてなかったらしいからね」

智幸・葵「「!?」」

朧「優雅に…お弁当? 急にどうしたんですか真冬? いつもなら優雅に『昼飯くらいケチらないでちゃんと用意しなさいよね!』とか言いってそうなのに」

真冬「そっか、しーちゃんにはまだ話してなかったわね。 昨日私の恩人と直接話して来るって言ったじゃない?」

朧「そうですね。 そういや結局誰だったんですか? 先輩とかでしたか?」

真冬「いや、それが蓋を開けてみれば正体は優雅で色々となんでこうなったのかの経緯を話して貰ったのよ」

朧「へぇ〜真冬の恩人の正体は優雅だったのですか…………え? ん? ちょっと待ってください。 優雅が真冬の恩人?」

しーちゃんは戸惑いながら私にそう聞き返してくる。

真冬「えぇ。 私も恩人が優雅だって分かった時はざんね……少し戸惑ったけど説明して貰ったら全て辻褄があってて納得しちゃったわ」

朧「え…っと、ちょっと待ってください。 アレだけ真冬が大好きだと熱弁していた恩人の正体は優雅だったのですか?」

真冬「だからそう言ってるでしょ? まぁまだ優雅に聞けてないことあるんだけど……」

朧「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇえぇえ!? ゆ、優雅が真冬の恩人だったんですか!?」

今になってやっと状況を飲み込めたのかしーちゃんが驚きの声をあげる。

真冬「そ、そんなに驚く?」

朧「そりゃ驚きますよ! だって真冬がアレだけ毛嫌いしてた優雅が真冬の恩人の正体なんて……」

智幸「なぁ真冬、それ言ってよかったのか? あんま知られたくないのかと思ってて俺らは優雅にあまり言うなって念押しちゃったんだが」

真冬「そうだったんですか。 まぁ事実なんですし別に隠す必要は無いですよ」

葵「そうでしたか。 どうやら余計なお世話だったようですね。 優雅君と和解できたようで良かったです」

葵先輩は私のセリフを聞くと安心した様子でそう言ってくれる。

朧「え……じゃあ恩人に気持ちを伝えて告白してくるって言ってたって事は、優雅に告白してきたって事ですか? 」

真冬「あ、いやそのつもりだったんだけどまさか優雅だとは思いもしてなかったからそういうのは全く……」

なんだったらそんな事驚いて忘れちゃってたし……

朧「そうだったんですか……じゃあ結局真冬は優雅の事が好きって事なんですか?」

真冬「好き……かは分からない。 今まで優雅の事は面倒事ばっかり持ってきてだらしのない奴だとしか思ってなかったから急に私の好きな人の正体が優雅でしたって言われてもそういう気持ちは……」

朧「まぁそうですよね」

真冬「だからこれから優雅の事をちゃんと知っていこうと思って。 それに今迄のお礼もしたいし」

智幸「なるほど……さっきのお弁当はそのお礼の一環って訳か」

真冬「えぇ。 あまり優雅の事知れてないしいい機会かなと」

朧「まぁ優雅はヘタレで口悪いですけど根はいい人ですからね。 やっぱり私の思ってた事は間違いじゃなかったようですね」

真冬「そうね……根が良い奴ってのはよく分からないけど、今だとしーちゃんの言ってた事が分かるわ」

葵「ふふ……前まで真冬さんと優雅君は険悪で朧さんと優雅君は喧嘩ばかりしててどうなる事かと思っていたらいつの間にか仲良くなりましたね」

智幸「だな。 ずっとギスギスしたままかと思ってたからひとまず安心したよ」

キーンコーンカーンコーン

会長と葵先輩が感傷に浸っているとチャイムの音が鳴り響く

朧「チャイム! は、早く戻らないと。 では皆さんまた後で!」

しーちゃんの声がけに私は頷き、急ぎ足で教室へ戻った。


智幸「はぁぁぁ〜……」

千夏「どうしたんです会長? ステージ準備してる時からそんなクソデカため息なんか吐いて」

智幸「まぁちょっと色々あってな……」

千夏「色々……?」

優雅と真冬の件……上手くいって本当に良かった。

ずっと解決して欲しいと思っていた事だから真冬の優雅に対する誤解が解けて本当に良かったと思う。

だがそればっかりに夢中になっていて大事なことを忘れていた。

そう……今日は天翔学園祭1日目……もうこれから1日目が始まろうとしている。

だと言うのに俺は未だに沢村の持っているカードも番号も知らない。

せっかく優雅からハートのカードを譲ってもらったって言うのに……

うん……このままじゃダメだ。

剛志が言うにはジンクスはハートのカードかつ同じ番号でなきゃいけないらしい。

まずは沢村の持っているカードがハートなのか、そして番号は何なのかが分からないことにはどうしようもない。

だが真正面から聞いたらもうそれは告白しているのと同じだし……クソっ、一体どうしたら……

千夏「ねぇねぇ真冬ちゃん。 会長がさっきから頭抱えて何やら悩んでるんだけど何か知らない?」

真冬「会長? いえ、特に……朝会議した時は普通でしたしそれまでに何かあったんですかね?」

朧「ん? どうしたのですか?」

千夏「あ、朧ちゃん! 実はなんか会長の様子が変で……」

どうしよう。 どうする遊木智幸!

何故猶予があったのに今更俺はこんな事で悩んでいるんだ!

あぁクソ! いつもの俺の悪い癖だ。

もうこうなったら沢村の友人から聞くしか……だが俺は沢村の友人など知らないし……それにまず沢村の持ってるカードがハートなのかも分からないし……

智幸「お、落ち着け俺……こういう時は素数を数えるんだ。 2、3、5、7……」

真冬「なんか会長がブツブツ数字を読み上げ始めたのだけど……」

葵「ん? 皆さん固まって何してるんですか? そろそろ優雅君が放送をかけるので準備を…」

千夏「あ、葵ちゃん! 丁度いい所に!」

葵「丁度いい……? 何かありましたか?」

千夏「ほら、アレを見てください。 なんか会長がさっきからあそこで独り言を……」

智幸「53……59……61……」

葵「本当ですね……一体何を……?」

朧「私達もさっぱり……それに53とか59とか数字を数えてるみたいですね。 何かの番号でしょうか?」

千夏「番号……あ! そういえばみんなのコンビナンバーカードって何番なんですか?」

智幸「……!」

落ち着く為に素数を数えていると藤井書記がそんなことを沢村達に聞き始める。

いいぞ藤井! その調子で沢村の番号を聞き出してくれ!

葵「え? なんですかいきなり」

千夏「ずっと聞こうと思ってて忘れてたんですよ。 前聞いた時は番号まで聞かなかったし……今番号って聞いて思い出しました! 別に隠す物じゃないですし教えてくださいよ!」

真冬「まぁいいですけど……私は『53』ですよ」

朧「私は確か『77』でしたね」

千夏「ほうほう、葵ちゃんは?」

来た! よくやった藤井! これで俺の作戦も上手く行く……

葵「ん〜……すみません。 何番だったか忘れちゃいました」

な、何ぃぃぃぃッッッ!?

千夏「えぇ〜! 忘れちゃったんですかぁ?」

葵「すみません……生徒会で忙しくてカードの事なんてすっかり忘れてました」

カードの事なんて……だと……!

くっ……浮かれていたのは俺だけだったのか……確かに沢村はこういう催しに乗り気なタイプじゃないのは分かってはいたが……

千夏「というかハートのカード持っててここまで興味無いのも葵ちゃん位ですよ! みんなハートのカードを手に入れるのすら必死になってるんですから」

真冬「まぁ葵先輩こういうの興味無さそうですもんね。 でもせっかくハートのカード何ですから楽しんだ方がいいと思いますよ? でも好きな人がいないとハートのカードなんてただの紙切れですもんね」

ふむ……今の話を聞くにどうやら沢村はハートのカードを持っているので確定っぽいな。

あとは番号だが……どうしたものか……

優雅「葵先輩! そろそろ時間なんで放送を……ってみんな集まって何話してるんすか?」

千夏「あ、優雅君! 実は……」

葵「あーほら! 優雅君! もうそろそろ時間だから放送をかけてください!」

優雅「え? あ、はい。 分かりました……」

藤井が優雅に話そうとすると、沢村は話を遮るように優雅に放送するよう促す。

葵「ほら、もう始まるので皆さんは位置に着いてください。 生徒が入場してきますよ」

朧「分かりました」

千夏「はぁい。 よし、頑張るぞ〜!」

沢村の指示を聞き、みんなが急ぎ足で配置につく。

う〜ん……まぁ今は考えていても仕方がないか……

葵「会長? 大丈夫ですか?」

沢村に心配をかける訳にはいかない……とりあえず学祭に集中するとしよう。

智幸「あぁ……大丈夫だ。 ひとまず一日目成功させるぞ!」

葵「はい……!」


智幸「いよいよ天翔学園祭1日目です! 皆さん、準備はいいですか〜!」

「「「「「「うぉぉぉぉ!!!!」」」」」」

葵「皆さん準備が良さそうなので早速始めたいと思います! それではまず1年1組から順にこちらに……」

優雅「……すごい盛り上がりだな」

放送室にある子窓から様子を見ているが、予想以上にみんなが盛り上がっていて俺は驚いている。

朧「そうですね。 こんな盛り上がるものなんですね」

真冬「予想以上の盛り上がりでちょっと緊張するわね……」

千夏「そっか、すっかり忘れてたけど3人とも1年生でしたね。 一日目のステージ発表は結構凄いんですよ。 ダンスや劇にミュージカルまでやるクラスがありますからね」

優雅「へぇ〜。 まぁ俺はずっとここで仕事するだけだから関係ないけど」

真冬「あんた……本当にそれで良かったの? 確かにPAは必須だしいなきゃ困るけど何も優雅1人でやる必要は……」

優雅「良いんだって。 俺はクラス発表とかするよりこっちの方が向いてるしな」

千夏「ごめんね優雅君。 私達も機械系得意だったら良かったんですけど……」

優雅「いいんスよ千夏先輩。 俺がやりたくてやってるんで」

ま、本音を言っちゃえばステージ発表をやりたくなかっただけなんだけど。

俺のクラスのステージ発表は確かダンスとアクロバティックとか言っていた。

なのでアクロバティックができる運動神経の良い奴が参加必須になり、一応体力テスト学年TOP10の実力者である俺は勿論目をつけられた。 だがまぁ俺はやりたくないので生徒会を言い訳に断ったというわけだ。

おっと、不等な権力の行使とか言うなよ? これも戦略の1つだからな。 卑怯とは言わせまい。

まぁ何せ俺は運動神経は良いけど体力がゴミムシだからダンスとアクロバティックなんてやった暁には再起不能になるだろう。

なので俺は適度に忙しく適度に暇なPAをやると名乗り出たわけだ。 おかげで仕事をした気分にもなれるしスマホをいじってサボれる。

ふふふ……流石俺。 何から何まで計算済みって訳だ。

朧「……なんか優雅がニヤニヤしてるんですが……絶対ろくでもないこと考えてますよ」

真冬「そうでしょうね。 きっとサボる事しか考えてないわよ」

優雅「失礼な。 PAの事だって考えているさ」

千夏「サボる事を考えてるのは否定しないんですね……」

智幸「それではそろそろクラス発表を始めたいと思います!」

千夏「ってそろそろスポットの準備しないと……真冬ちゃん、行きますよ!」

真冬「あ、はい! じゃ、頑張ってね2人とも」

朧「えぇ、真冬と千夏先輩も!」

2人はそろそろクラス発表が始まるのでスポットライトの所へと走っていった。

さて、俺もしごとをするとしよう。

ちなみに朧はアシスタントだ。 PAで忙しくなったり、他で人手が足りなくなった時にサポートをする役目だ。

1人でいるよりはこういうアシスタントがいた方が安心する。

はずなのだが……

朧「優雅見て下さい! ブレイクダンスですよ!」

優雅「なんだよ。 俺今ステージ照明やってるから話しかけんなって。 マイクの音量も上げた方がいいか……」

朧「じゃあ私が音量を上げときますね」

優雅「いや、俺がやるから置いといてくれ。 重低音が軽いから調整しなきゃな……」

朧「……そ、そういえば次発表するクラスがまだ来てませんね……私が呼んできましょうか?」

優雅「いや、次のクラスは音響が必要ないらしい。 照明のみだから待機でいいぞ」

朧「…………あ、そろそろ1組の発表が終わりそうですね。 暗幕を上げた方が……」

優雅「いや、こういうのは発表が終了して司会である会長と葵先輩が出てきてから半開きにしてスポットを当てた方がそれっぽくなる。 全開にすると次もすぐ発表が始まるのに明るすぎるし閉じるのに時間がかかるからな」

朧「………………優雅優雅」

優雅「……よし、1組発表終了。 暗幕半開きにして……っと、会長のマイクオンにしなきゃ」

朧「おーい、優雅聞こえてますか?」

優雅「もう何なんだよ! 今忙しいから用なら後で聞くから」

さっきからしつこく話しかけてくる朧を適当にあしらうと、朧もそれが気に食わなかったのか頬を膨らませキレ気味に、

朧「何ですか! 少しくらい構ってくれてもいいじゃないてますか! 私暇なんですよ!」

優雅「俺は忙しいんだよ。 ほら、大人しくしてろって」

朧「そんな忙しいなら私を頼って下さいよ! 私はアシスタントなんですから手伝うって言ってるんです」

朧はそう言いながら俺に詰め寄ってくる。

優雅「う〜ん……いや、お前に頼るのは本当に1人じゃ手に負えなくなったらにするよ」

朧「だから何でですか!」

正直言ってこいつに頼るのは本当の最後の最後の最後にしたい。

理由は明確だ。 その理由と言うのは……

「あの〜すみません。 次発表する1年2組の音響担当なんですけど、やっぱり音楽をかけたくて……ぶっつけ本番何ですけどかける事って可能ですか?」

朧「ほほう、余興では本気を出さずここぞという勝負時に全てをかけるその心意気。 実に気に入りました! いいでしょう、さぁ我にそれを痛ァッッッ!!!!!!!!!!」

ふざけた事を言っている朧の頭にチョップすると朧は頭を抑えてうずくまる。

優雅「何やってんだゴラ、相手が困ってるだろうが。 すみませんね、コイツちょっと頭がおかしくて。 CDはある?」

「あ、あります」

そう、理由はコレ(中二病)だ。

俺と話す時は普通な癖して他の人と話したりさせるとすぐに中二病モードに入るからコイツにやらせると無駄な手間が増える。

なのでやらせるとしたら機材の音量調節やパシリだな。

優雅「……よし、行けるね。 あとは再生ボタンを押せば流れるから」

「はい! 急に言ったのにわざわざありがとうございます!」

1年2組の音響も大丈夫そうなので会長にOKのサインを送る。

智幸「……それでは準備が出来たようなので始めたいと思います! 次は1年2組の発表です!」

優雅「トラブルはあったが時間通り……完璧だな」

突然音響を使いたいと要望があったが無事に対応し1年2組の発表がスタートする。

こうなれば俺はしばらく仕事なし、スマホでもいじって暇を……

朧「ちょっと優雅! 痛いじゃないですか! 頭真っ二つに割れるかと思いましたよ!」

……潰そうとした所未だに頭を抑えた朧が俺にキレる。

優雅「生徒会の仕事の時くらい中二病やめろって言ってるだろ? ちゃんと標準語で話してくれ」

朧「最初から標準語ですよ。 私はただ私が思った事を言ってるだけです」

なるほど、つまり元から救いようがないってことか。

優雅「ふっ……まぁ朧は真っ直ぐ過ぎるけど気遣いできて頭良いからな。 俺は朧のそういう所いいと思うぞ」

朧「そ、そうですか? ま、まぁ私は学園随一の天才ですからね!」

まぁ見ての通り朧は頭良いけどバカだからこういう風に適当に褒めておけば機嫌をよくしてくれる。

チョロすぎる気がするけどまぁこいつ腕っぷしは確かだし心配はいらないだろう。

優雅「さて、1年2組の発表が終わるまでスマホゲーでもしてるか」

朧「だから聞いてました? 私アシスタントなのに優雅が仕事くれないから暇なんです。 構ってください」

そんな事言われてもなぁ……

優雅「暇なら1年2組発表してるんだから見ればいいじゃん」

朧「リハーサルで2回も見たんでもう見飽きました」

それは分かる。

俺ら生徒会は昨日と一昨日にステージ発表のリハーサルをやってる為もう全クラスの発表を2回見ている。

まぁ本番は衣装や歓声があるからリハーサルとは違うんだが……まぁ内容は同じだからな。

優雅「じゃあどうすれってんだよ。 お前の面倒見てるほど俺は暇じゃねぇぞ」

朧「何ですか面倒見るって。 私子供じゃないんですけど」

優雅「いや、子供だろ。 なんなら俺より1つ下だし」

朧「確かに子供ではありましたね……ってそんなのどうでもいいんです。 せっかく私がいるんですからスマホをいじるんじゃなくて話でもしましょうって言ってるんです」

優雅「話ぃ? まぁいいけど何も話すことなんてなくないか?」

朧「いえ、丁度優雅に聞きたかった事があったんですよ」

あー、そういえば朝なんか言ってたな。

優雅「結局何なんだ? 俺に聞きたいことって」

そろそろ1年2組の発表が終わりそうなので照明と音響をいじりながら聞くと、朧は真剣な表情で俺を見つめて、

朧「単刀直入に聞きますけど、優雅は好きな人いるんですか?」

優雅「…………はい?」




今日の活動記録:現在活動中……


・天翔学園祭1日目!




今後の予定→21話 トラブルの来訪

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