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第16話: 謎深まる救世主

第16話: 謎深まる救世主




葵「皆さん準備期間1日目お疲れ様です。 一日を通して何か異常や疑問点等ありましたか?」

智幸「俺は特になかったな」

優雅「俺も特にないっスね」

千夏「私達も同じくないです!」

1日目の準備期間が終わり、私は生徒会室へメンバーを集めて1日目の振り返りをしていた。

葵「大丈夫そうですね。 そしたら今日はもう早いですが解散にしましょう。 この後生徒会室に残って作業する人はいますか?」

優雅「あ、僕ちょっと得点集計表を作成したいので少し残ります」

葵「分かりました。 他はいないようなのでじゃあこれにて解散とします。 皆さんゆっくり休んで明日また頑張りましょう」

千夏「了解です! ではお疲れ様です!」

朧「では私もこれで失礼します。 お疲れ様です」

真冬「あ、しーちゃん待って! 私も一緒に帰るから! それではお疲れ様でした!」

智幸「あぁ、お疲れ様みんな。 じゃあ俺は体育館と倉庫の鍵を返してくる」

葵「分かりました。 じゃあ私は優雅君のお手伝いでもしてましょうかね」

優雅「え、いや、大丈夫ですよ。 葵先輩の手を煩わせる程の仕事量じゃ……」

葵「いいですからほら、USB貸してください。 2人でやった方が早く終わるじゃないですか」

優雅「わ、分かりました……」

私が説得すると優雅君は申し訳なさそうにしながらUSBを渡してくれる。

葵「コンピュータ関連の事はよく分かりませんがいつまでも優雅君に甘えていられませんしね。 私も見て覚えます」

優雅「確かにせっかくパソコン2台あるんですし2人は出来る人がいると便利ですよね。 俺としては真冬か朧に覚えてもらいたいんですがね……」

優雅君はそこまで言うと言葉が詰まったように黙り込み俯く。

…………

葵「……優雅君、真冬さんと朧さんとは仲良くやれてますか?」

優雅「……え? な、なんですか急にそんのこと聞いて?」

葵「別に聞いてもいいじゃないですか。 ほら、どうなんですか? 」

優雅「そう…ですね……朧は入部当初は喧嘩もしましたが今では結構仲良くやってます。 真冬は相変わらず俺の事嫌いみたいですが最近は結構話を聞いてくれるようになりました。 まぁまぁ仲良くやれてますよ」

葵「……私は最近優雅君を見ていると以前よりも生き生きして見えます。きっと何かあったんですよね?」

優雅「えっ……な、なんで……」

葵「ふふ、何となくですよ。 図星でしたか?」

私がからかうように笑うと優雅君はため息をつきながら語り始める。

優雅「俺は……真冬とは絶対に分かり合えないと思ってたんです。 まず話を聞いてくれないしすぐに突っかかってくるし。 でも……この前話してて思ったんですよ。 もしかしたら歩み寄ろうとしていなかったのは俺の方なんじゃないかって。 真冬は俺の事が嫌いと言いつつもいつだって文句を言いながらも助けてくれた……俺は……」

智幸「鍵戻し終わったぞ〜。 どうだ優雅? 進んでるか……って、ん? 何か話してたか?」

優雅「……いえ、なんでも」

コレから優雅君が話してくれそうだったタイミングで会長が戻ってきて会話が中断される。

まぁ私はもう優雅君が何を言おうとしてたのか分かりますから良いですが。

智幸「終わりそうにないなら俺も手伝おうか?」

優雅「いえ、大丈夫です、葵先輩が手伝ってくれてるので。 それにそこまでの仕事量じゃないですし」

智幸「そうだったのか。 どれどれ…沢村は何を手伝ってるんだ?」

葵「…………」

やっぱり優雅君にはあの事を言うべきなのでしょうか……

優雅「ん? どうしました葵先輩? おーい、生きてます?」

葵「あっ、はい! なんでしょう!」

智幸「いや……ボーッとしてたもんだから何かあったのかと。 大丈夫か?」

葵「え、えぇ! 大丈夫です! ちょっと考え事をしてまして……」

つい考え事をしてボーッとしてしまっていました。 しっかりしなければ……

それに優雅君は私がそこまで世話をやくほどの人じゃ……

優雅「葵先輩が考え事なんて珍しいですね。 何かあったんですか?」

……うん、何も考えてなさそうですね。

やっぱり言った方が良さそう。

葵「……優雅君、真剣な話があります」

優雅「? なんです?」

智幸「ん? もしかしてコレ俺席外した方がいい?」

葵「いや、会長もいて下さい。 会長にも協力して欲しいので」

智幸「協力……?」

私がそこまで言うと優雅君と会長も真剣に話を聞く体制へとなる。

葵「実は……」


葵「ただいま〜……」

紅莉「おかえり〜ってどうしたの? そんなに疲れた顔して」

あの後、会長を混じえて優雅君と話し合いをしたのだけれど話し合いが予想以上に長引いてしまい結構疲れた。

葵「まぁ色々とね……」

紅莉「まだ準備期間なのに大変だね。 何? 学祭準備で問題事でもあったの?」

葵「いや、学祭準備で問題は何も無かったんだけど……まぁ色々とね」

紅莉「色々って何なの? 気になるから教えてよ。 あ、無視しないでよ葵〜」

色々とはなんなんだとずっと迫ってくる紅莉を他所に、私は疲れたのでお風呂に入る事にした。

葵「…………ねぇ、紅莉」

紅莉「なぁに葵。 やっと教えてくれる気になった?」

葵「いや、そうじゃなくって。 私お風呂入るから付きまとわないで欲しいんだけど」

紅莉「え〜いいじゃん別に。 なんだったら一緒にお風呂入る?」

葵「いい加減出てって。 私疲れてるんだから早く寝たいの」

紅莉「はいはい、わかったって。 出てくからそんな急かさないでって!」

いつまでも脱衣所に居座る紅莉を外へと追いやり、私は服を脱いで身体と頭を早々に洗い終え浴槽に浸かる。

葵「ふぅ……やっぱりお風呂はいいなぁ……仕事の疲れがみるみるとれる」

あまり知られていないが私はお風呂が好きだったりする。

学祭が終わったらどこか温泉旅館にでも旅行に行きたいな。

紅莉「葵〜、晩御飯出来たよ〜。 まだかかりそう?」

葵「もう少ししたら上がるから私の分も用意しといて〜」

紅莉「はいは〜い。 今日はカレーライスだよ」

紅莉から晩御飯が出来たと言われたのでちょっと早いが私は上がる事にした。

葵「ふぅ、さっぱりした……明日も気合を入れて頑張らないと」

不安は沢山あるけど弱音を吐いてはいられない。

頑張らないと!


朧「私も協力します! 出来ることがあれば惜しみなく手伝いますからね!」

真冬「そ、それはありがたいのだけれど……突然どうしたの?」

生徒会が終わりしーちゃんと共に帰っていたのだけど、しーちゃんが突然私の探し人の捜索を手伝ってくれると言い張ってきた。

朧「実はさっき生徒会室へ行く途中で真冬と会長の話を聞いてしまいまして。 真冬の気持ちに私も共感してしまいましてね」

真冬「き、聞いてたの!? いや、別に隠すような事じゃないからいいのだけれど……本当に手伝ってくれるの? 私何もお礼とかできないけど」

朧「良いんですよ! だって自分の恩人の名前も顔も分からないなんてモヤモヤするじゃないですか!」

流石はしーちゃん、長い付き合いなだけあって私の思っていることと同じ事を思ってくれている。

ここは素直に好意を受け取っておこう。

真冬「ありがとうしーちゃん。 私は何としてでも見つけ出してこの口でお礼を言いたいの。 でもただ闇雲に探し回っているんじゃ見つかるわけもないと思って私はある策を思いついたわ」

朧「ほぅ、ある策とは?」

私の恩人を見つけるとは言っても何も情報がないんじゃ探しようもない。

そこで私はまず目撃者から話を聞こうと考えた。

ただイジメを止めてた人の目撃者なんて私をいじめてた人にしか分からない為どう聞き出そうと困っていた所だった。

真冬「しーちゃんには私が聴き込み調査をしようとしてた人に話を聞きに行って欲しいの。 まぁ知ってそうな人って言ったら私をいじめていた張本人くらいだから私が聞きに行くのは相手が困るかなって」

私がそう頼むとしーちゃんは少し不安げな表情を浮かべ、

朧「聞き込みをするのはいいですけど……大丈夫なんですかね? いじめなんてするような人達と話し合いなんて」

真冬「大丈夫。 私の事いじめてきてたグループは反省してすっかり丸くなったから。 とりあえず明日改めて聴き込みに行く人の名前を教え……痛っ!」

話に夢中になっていると前から人が来たのに気がつかずぶつかってしまう。

「いたた……す、すみません……」

真冬「こちらこそすみません。 話に夢中になってて前を見てませんでした」

「怪我とかありません…か……ッッッ!!! お、お前は!?」

真冬「え? 何か……って、あぁ!?」

ぶつかってしまった人の顔を見て私は思わず驚きの声をあげる。

朧「……? 知り合いですか真冬?」

真冬「知り合いも何も聴き込みをしに行こうとしてた人がコイツよ! 佐藤菅智(さとうかんち)!」

菅智「ゆ、許してくれ! 本当に悪かった! この通り俺達も反省してるんだ!」

真冬「ちょ、やめなさいよこんな所で! 」

菅智は青ざめながら土下座をし始める。

真冬「もう謝罪は貰ってる。 私はもう気にしてないって言ってるでしょ! ほら、顔を上げなさいって!」

朧「えと……何があったのか詳しい事は私には分かりませんがとりあえず顔を上げてください」

私としーちゃんがそう促すと恐る恐る顔を上げる。

すると私の周りをキョロキョロと見渡すと、

菅智「あ……あいつは一緒じゃないのか?」

真冬「あいつ……? 一体誰の事?」

菅智「一緒じゃないならいい……その、本当にすまなかったな真冬。 俺達のせいでお前を傷つけちまって……」

真冬「だからもう謝罪はいいって言ってるでしょ。 貴方達が反省したのはもう分かったから。 それよりもあいつって一体誰の事?」

菅智「え? いつも一緒にいる訳じゃないのか……? 」

真冬「?」

いつも一緒にいる……? しーちゃんとは基本一緒にいるけど他に一緒に行動してる人なんて私にいたっけ?

菅智「というかこの事は話すなって言われてるんだった……危ない危ない。 それじゃあすまないが俺は用事があるのでコレで……」

真冬「あっ、ちょっと! まだ話が……」

今会ったのだから聴き込みをしようとしたら、菅智が焦った様子で去っていってしまった。

朧「行っちゃいましたね……真冬が言っていた聴き込み調査をして欲しい人があの人なんですよね?」

真冬「えぇ、でも私の思った通りやっぱり何か知ってるぽいわね。 とりあえずまた明日問いただしてみましょう」

朧「わかりました。 ひとまず今日は別れましょうか。 では真冬、また明日」

真冬「えぇ、またねしーちゃん」

……佐藤菅智、私をいじめてきていた3人グループの1人。

毎日ねちっこい嫌がらせをしてきていたのに突如として嫌がらせが無くなった。

話を聞いても「本当にすまなかった!」「私が悪いの! 本当にごめんなさい!」としか言ってくれず何があったのかは教えてくれない。

会長と葵先輩に話を聞いた時もそうだったように恐らく理由は分からないけど私の救世主が自分の事は誰にも言うなと口封じをしているのだと思う。

なんでなんだろう……? 普通に人助けしてくれたんだから何を隠す必要があるんだろう?

まず一体どんな人なんだろう……?

男……? 女……? 先輩? 同級生?

真冬「……ごちゃごちゃ考えてても分からないわよね。 ひとまず明日に備えてしっかりと休まなきゃ!」

私の救世主……必ず見つけてみせる!




今日の活動記録 担当:書記 藤井 千夏

出席者 智幸、葵、優雅、千夏、真冬、朧

・天翔学園祭準備期間1日目!

・物品受け渡し作業

・明日の動きについて


天翔学園祭まであと3日!



明日の予定→17話 不器用な優しさ

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