第14話: 天翔学園祭ジンクスとハートのカード
第14話: 天翔学園祭ジンクスとハートのカード
「えー今日から天翔学園祭の終日準備期間だ。 クラス全員で協力し合い真剣に取り組んでくれ、いいな?」
智幸「……」
今日からとうとう天翔学園祭の終日準備期間だ。
学園祭本番である木曜と金曜に向けて月曜から水曜までの3日間でクラス展示やステージ発表を完成させるのがこの終日準備期間の目的だ。
そして……
「せんせー、今年は『ディスティニーコンビナンバー』のカード無いんですか?」
「ん? あぁそうだったそうだった。 実行委員から渡されていたのをすっかり忘れていた。 よしお前達、このクジ箱の中にカードがランダムで入っている。 1人1枚とってってくれ」
「っしゃぁーーー!!! 今年こそハートのカードを引いて彼女を…!」
「ちなみに今年は恋愛運を司るハートのカードが多いようだぞ」
「「「おぉぉぉお!」」」
俺の勝負所……剛志に言われたこのディスティニーコンビナンバーでハートのカードを引くことだ。
剛志が言うにはハートのカードを引いて、更に書いてある番号が葵と同じ番号であれば晴れてジンクス通り結ばれるとの事だ。
「おぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!!!! ハートじゃなかったあぁぁぁぁぁ!!!!!」
「あ、私ハートだ! 番号は…17か」
「お金のカード…これは金運か」
各々が楽しそうにカードを引いていき盛り上がりを見せる中、俺はとてつもなく緊張している。
やばいゲロ吐きそう……こんなに緊張したのは生徒会長を選ぶ選挙ぶりだろうか。
何せ剛志と話した予定だとまずここでハートのカードを引けないとこの学園祭で葵との交流はゼロに近しくなる。
何とか引かなくては……頼む、こればっかりは祈るしか……
千夏「……い、おーい! 会長? 聞いてますか〜?」
智幸「はっ! な、なんだ藤井書記! 何かあったか?」
考え事をしていて藤井に呼ばれたことに気が付かなかった。
千夏「次は会長の番ですよ。 後ろがつっかえてるので早くしないと」
智幸「あ、あぁすまん! すぐ行くよ」
気がつくともう俺の番になっていた。
「お、智幸か。 お前は生徒会長として忙しいから健康運や幸運のカードを引けるといいのかもな! 」
智幸「は、ははは…そうですね」
うるせぇ黙れ! 何フラグ立ててくれてやがるんだこのバカ教師は!
「さぁドンと引たまえ! それとも会長はあんまこういうの興味なかったかな?」
智幸「え? あ、まぁそうですね……僕会長ですしこんな事やってる暇あまりなくて…はは…」
「まぁそうだよな! だったらネタみたいなカード引けるといいな! その方が面白いだろうし」
んなわけねぇだろゴリラ教師! これ以上フラグを立てるな!
「智幸まだぁ? 後ろが詰まってるんだけど」
智幸「あ、すまん! 今引くから……」
俺は天に祈りながら急いでカードを引く。
すると右手にあったカードの形は……!
「おぉ四つ葉のクローバーカードか! それは幸運を司るカードだぞ」
智幸「や、やったぁ〜……わぁい……」
俺の青春、終了。
葵「あ、会長に千夏さん。 随分と遅かったですね」
優雅「珍しいですね。 先生の長話っすか?」
智幸「す、すまん……ちょっと朝のホームルームが長引いて……」
千夏「まったく、会長が早く引かないからですよ?」
朝のホームルームを終えて、生徒会役員はクラスでの準備とは別に生徒会の準備の為生徒会室へ集まる。
葵「とりあえずみんな座ってください。 今後の動きについて説明しますから」
葵がそう一言告げると全員が席に着く。
葵「さて、まず今日この後は教室展示の準備に必要な物品を各クラスが取りに来ます。 それの受け渡し作業がありますので会長と優雅君と朧さんは体育館で受渡し作業を、私と千夏さんと真冬さんは外にある物置小屋で受渡し作業を行います。 ここまで大丈夫ですか?」
優雅「大丈夫ッスよ」
葵「そしたら受渡し作業が終わったら各自クラスへ戻って良し。 そして15時になったらまた生徒会室へ集合して生徒会室から貸し出した物の受け取り。 そしたら今日1日何も無かったか会議で話し合います。 こんな予定ですが異論や意見ある方いますか?」
朧「異論ありませんよ」
智幸「みんな問題なさそうだな。 それじゃあ各自今葵に言われた持ち場につこう」
みんな問題なさそうだったので俺はそう声掛けると、各々が葵に言われた持ち場へと向かい始める。
智幸「はぁ……朝からテンション上がらねぇな……」
葵「……?」
小声で不満を呟きながらも俺は言われた通り体育館へと向かった。
優雅「2年4組はこちらで〜す。 まだパネルを取りに来てないクラスがいましたらこちらに来てください!」
朧「パイプ椅子が必要なクラスはこちらへどうぞー!」
智幸「机やダンボール等を取りに来た人はここに来てください!」
「1年6組なんですけど……」
優雅「1年6組ですね。 1年6組はパネル6枚ですね。 持ってって下さい」
「2年4組なんですけどパイプ椅子って何個持ってけば良かったんだっけ?」
朧「2年4組さんは12脚必要ですね」
「おっけー! ごめん、助かったよ」
智幸「ラストは……3年2組か」
「すみません遅れました。 3年2組の者なんですけど……」
智幸「あ、3年2組はこの余りの机とダンボールになるんで持っていってください」
「ありがとうございます!」
優雅「……ふぅ、終わりましたね」
智幸「だな、2人ともお疲れ様」
朧「会長もお疲れ様です!」
やっと物品の受け渡しが終わり俺達は一息つき、椅子に腰かける。
智幸「ちょっとひと休憩したら俺はクラスに戻るよ。 2人も戻っていいぞ」
朧「私も少し休んでから戻ります。 大声出し続けてたんで疲れました」
優雅「じゃあ俺も休んでこ。 その方がクラスの手伝いサボれるし……」
2人はそう言うと俺の隣に腰掛ける。
朧「それにしても結構盛り上がってますね。 企画したのは私達ですが学園祭ってこんなに盛り上がるものなんですかね?」
智幸「天翔学園高校のこういう行事はいっつもこの位盛り上がるな」
朧「へぇ〜いいですね。 中学校ではやる気のある人とない人が極端に別れていてこんなに盛りあがったりしないのでいいですね」
智幸「そうだったのか。 というか朧は中3なのに飛び級してうちの高校に来たんだったな。 なんでうちの学校来たんだ? お前なら更に頭いい所いけただろ」
朧「まぁそうですね。 ハーバード大学やスタンフォード大学、日本であれば東大からも推薦が来ましたね」
智幸「めっちゃ凄いじゃないか! なら尚更なんでこんな所に……」
俺が食い気味に聞くと朧は万円の笑みで、
朧「そりゃあ天翔学園って名前がカッコイイじゃないですか! あまかけるって書いて天翔ですよ? 母校が天翔の方がカッコイイじゃないですか!」
智幸「……なぁ優雅、もしかして朧ってちょっとおかしい?」
優雅「もしかしなくてもかなり頭がおかしいです。 気がつくの遅いですよ会長、そもそも初めて生徒会室に来た時コスプレしてるようなやつなんですからまともな訳がありません」
智幸「た、確かに言われてみればそうだな」
朧「おい優雅、それ以上私をバカにするなら許しませんよ」
殺意剥き出しの朧がそう言いながら優雅へと歩み寄る。
優雅「ちょ、落ち着けって朧! 流石ここで喧嘩はよくないと思うんだ。 ほのかにも暴力は良くないって言われたろ? な?」
朧「はぁ……それもそうですね。 ほら、そろそろ戻りますよ。 いつまでもここにいる訳にもいきませんし」
優雅「そうだな。 会長はまだここにいますか?」
智幸「いや、俺も一緒に戻るよ」
2人が教室に戻るようなので俺も一緒に戻ることにし、体育館の物を片付け一緒に戻る。
朧「あ、そういえば優雅はナンバーカードの柄なんだったんですか?」
優雅「俺? 俺はハートだったぞ」
智幸「!?」
朧「私もハートでした。 やっぱりハートの人が多いんですね」
優雅「どうやら今年はハートが多いようだぞ。 運悪くなければ大体みんなハートらしい。 俺は運悪いはずなんだけどなぁ……」
そ、そうなのか!? くそ、こんな大事な時に限って運が味方してくれないとは……
朧「会長は何だったんですか?」
智幸「お、俺は四葉のクローバーだったよ。 どうやら幸運を司るカードらしい」
朧「ハートじゃないなんて珍しいですね。 まぁ会長は別に恋愛に対して興味無さそうですし面倒事避けられて良かったのでは?」
智幸「あ、あぁそうだな! 変な噂が立たずに済むしな! ははは……は……」
くっ!生徒会メンバーに沢村の事が好きだからハートのカードが良かったなんていえねぇし……
まぁでも……今まで自分から行動に移してこなかった報いなのかもしれないな。
何とかして葵と同じ番号のハートのカードを見つけなければ……しかしハートと四葉のクローバーを交換したい奴なんていないだろうし……
智幸「…………」
優雅「……にしても会長いいなぁ四葉のクローバー! 俺最近運悪いんでハートよりも幸運を司る四葉のクローバーカードの方が欲しかったんすよね、会長さえよかったら交換しません?」
朧・智幸「「!?」」
俺が今後について悩んでいると優雅が俺にそんな提案をしてくる。
智幸「俺は別に構わんが……優雅お前はいいのか? せっかくのハートなのに」
朧「そうですよ優雅、そのハートカード持ってれば運命の人との出会いがあるかもしれませんのに……」
優雅「別にいいんだよ、まず俺は同じ番号の人見つけらんないしな。 って事で会長交換しましょうよ」
智幸「まぁお前が大丈夫って言うなら……」
優雅が大丈夫と言うので俺と優雅は四葉のクローバーカードとハートカードを交換する。
優雅から貰ったカードには『49』という番号が書いてある。
と、そんな事をしていると気がつけばもう1年生の教室前まで来ていた。
優雅「あざます会長!」
朧「もう1年の教室ですよ優雅、早く戻らないと怒られますよ」
朧は優雅を急かしながら先に教室へと戻る。
智幸「じゃあ俺も……」
優雅「会長会長、」
俺が2年教室へ戻ろうとすると優雅に引き止められ、周りに聞こえないくらいの小声で、
優雅「そのハートのカード、葵先輩とお揃いにしたいんですよね?」
智幸「!?!?!?」
ば、バレてたのか!? 隠せてると思ってたのに……まさか他の奴らも……
優雅「安心してください、俺以外は多分誰も知らないです。 俺も多分そうなのかなーって思っただけですし」
智幸「そ、そうなのかな……でもいいのか? 本当にこのハートのカードを貰っちゃって……」
優雅「勿論ですよ。 会長と葵先輩にはお世話になってますから俺は会長を応援しますよ」
智幸「ゆ、優雅お前……」
優雅「それに会長ならきっと大丈夫ですよ! 葵先輩もどうやらハートのカードを持ってるそうなので頑張って同じ番号の人見つけてくださいね!」
朧「優雅ぁ〜? 何やってるんですか?」
優雅「あぁ、今行くって。 それじゃあ会長頑張って下さいね! 応援してますから!」
優雅はそう言い残すと自分の教室へと戻って行った。
ありがとう優雅……! 本当にありがとう!!!
俺……お前の期待に応えてみせるからな優雅!
真冬「そういえば千夏先輩は何のカード引いたんですか?」
千夏「私は勿論ハートのカードを引きましたよ! 葵さんは?」
葵「え? あ、私もハートでしたよ」
物品の受け渡しが終わり、物置小屋の整理をしていると私に話が振られる。
千夏「やっぱり今年はハートが多いからみんなハート持ってるねぇ。 私は去年ハートのカードじゃなかったので大して気にしてませんでしたがハートなら別です! 今年こそ運命の人を……!」
葵「運命の人……? 何かそのカードにあるんですか?」
千夏「えぇ! 葵ちゃん知らないんですか!?」
葵「?」
千夏さんは驚きながらもハートのカードを取りだし、私に説明をしてくれる。
千夏「まずこのカードは『ディスティニーコンビナンバー』と言ってカードに書いてある番号の人と出会えると結ばれるっていうジンクスがあるんですよ。 そしてそれぞれカードの形には司っている運があってハートのカードであれば恋愛運、お金のカードだったら金運、四葉のクローバーカードなら幸運と色々あるのですよ」
葵「なるほど……そんなのがあったんですか……」
千夏「結構有名な話ですよ? だからみんなハートのカードが欲しがるんです。 そしてハートのカードに書かれた番号と同じ人が校内にもう1人いるから見つけて会えるとその人と結ばれるっていうジンクスなんですよ! だから好きな人と同じ番号のハートのカードをみんな探し回って交換し合うんです」
葵「だから昨年色んな人に交換してと頼まれたんですか……やっと謎が解けました」
去年も私はハートのカードを持ってて色々な人から「会長! 良ければこのカードと交換してくれませんか!?」と言われて渡していた。
そもそも去年は今よりも人手が少なくて生徒会の仕事で精一杯だったからそんなのを気にしている暇なんてなかった。
千夏「でもコレで葵ちゃんもそのカードについてのジンクスしれた訳ですしせっかくなら運命の人探してみたらどうです?」
葵「え? いや、良いですよ。 そもそも本当に結ばれるなんて確証は無いじゃないですか」
千夏「葵ちゃんは分かってませんねぇ……好きな人がいればその人と同じ番号のカードを探して交換しに、いないのなら同じ番号の人を探せばその人が運命の人……! どっちにしても色々な人との出会いや交流があるからいいんじゃないですか! それに本当にそれで運命の人と会えたらドラマティックじゃないですか!」
葵「そ、それはまぁ……そうですね。 でもこれだけ人数のいる校内から同じ番号の人を探すって難しくないですか?」
千夏「そこはまぁ……気合いですよ!」
そこは適当なんだ……
千夏「真冬ちゃんもこのジンクスとってもロマンティックだと思うよね!?」
千夏さんが食い気味に黙々と作業している真冬さんに話しかけると、真冬さんは手を止めてこちらを向き……
真冬「もっっっちろんですよ!」
千夏「おぉっ!ま、真冬ちゃんいつにも増してニコニコしてるね……!」
真冬「もちろんです! 私はこのハートカードを使ってこの手紙とネックレスをプレゼントしてくれたどなたかは知らないけど私の王子様を探しだしてその人と結ばれたいんです!」
そういえば前買い出しにみんなで出かけた時にそんな話をしていましたっけ。
千夏「でも何の手がかりも無いんですよね?」
真冬「いえ、何も分からない訳ではないわ。 まず私をいじめから助けてくれるということは少なからず私のことを知っている人であることは確か。 私に対する嫌がらせは1年生のみがやってきていたから2年生や3年生が絡んでいる可能性は限りなく低い。 そしてクラスメイトの友達に聞いたのだけれど誰もいないはずの教室にフードを被った男が私のクラスに入って誰かの机の上に袋を置いてく所を見たという話を聞いたのよ。 その袋とは間違いなくこのネックレスと手紙が入っていた袋の事! つまりこれだけの情報で男で1年生で私の事を知っている人ということが分かるのよ」
葵「めっちゃその助けてくれた人の事調べてるんですね」
千夏「凄い徹底的に調べてるんですね……そんなに気になるんですか?」
真冬「もちろんです! 私ってやっぱりこんな性格上色んな人から嫌われちゃったりして……でもその人は私の内面を見てくれた! それに見返りを求めない人助けをしてくれるなんて……さぞいい人に違いないわ!」
真冬さんがそう熱く語っていると倉庫の片付けが終わる。
葵「よし、片付けも終わった事だしみんなもう教室に戻っていいですよ。 皆さんお疲れ様です、また放課後に」
千夏「お疲れ様です! じゃあ私はクラス展示の準備があるので戻りますね!」
そう言い残すと千夏さんは小走りで教室へと戻っていく。
葵「真冬さんは戻らないんですか?」
真冬「あ、戻りますよ。 途中まで一緒だと思うし葵先輩と一緒に戻ろうと思って」
葵「そうですか。 じゃあ戻りましょうか」
真冬「……あの、葵先輩!」
葵「ん? どうしました?」
真冬さんと一緒に教室へ戻ろうとしたところ真冬さんに話しかけられる。
真冬「聞きたいことがありまして……以前葵先輩と会長が私がいじめられていた件について対処をしようと色々と助けてくれたと聞きました。 本当にありがとうございます」
葵「そんなの気にしなくていいんですよ。 困っている生徒を助けるのが私達の役目なんですから! だから頭を上げてください!」
深々と頭を下げる真冬さんに私はそう促す。
真冬「分かりました。 じゃあ最後にもう一つだけ聞きたいことがあるんですけど……」
真冬さんは顔を上げると真剣な顔付きで私を見つめ、
真冬「……私を助けてくれた1年生について何か知りませんか?」
葵「ッッッ!!!」
真冬「本当か嘘かは分からないんですが以前会長と葵先輩は私を助けてくれた人と共に私のいじめ問題を解決したと聞きました。 コレは本当の事なんですか葵先輩? もしそうだとしたら私を助けてくれた人は一体誰……」
葵「あ、あー! すみません、私も急ぎの用事があったんでした! それではコレで失礼させていただきます!」
真冬「あ、ちょ!」
これ以上はマズイと思い、私はそそくさと退散する。
真冬「葵先輩と千夏先輩は隠し事が下手だから間違いない……。 やっぱり何か知っているに違いないわ……! 葵先輩がダメなら次は会長に聞いてみようかしら」
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