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第12話: 問題児達の意外な一面

第12話: 問題児達の意外な一面



優雅「ふぅ……そろそろ眠たくなってきたな」

学校から帰ってきて早々に風呂や飯を済ませた俺はずっとゲームをしていた。

やはり金曜日の夜と土曜日は最高に楽しい。

優雅「もう5時か……秋とは言えもうそろそろ明るくなってくるし寝るか……」

外を見てみるとちょっと明るくなってきていたのに恐怖を感じ、俺はそろそろ寝ることにした。

優雅「玄関ちゃんと鍵かかってるかな……? ん? 何だこれ」

玄関の鍵かちゃんとかかっているか確認しに行くとポストに謎の手紙が入っていた。

黒い封筒に差出人不明とか意味不明すぎて怖いんだが…

優雅「とりあえず開けてみるか……」

そう思い俺は謎のマークの書かれた封筒を開け、中に入っていた手紙を読んでみると、


『拝啓、ごきげんよう我が眷属。 其方はどうお過ごしでしょうか。 我はシャドウパンサーズとの決戦に控え日々鍛錬に励み究極魔法を会得しようとしております。 さて、其方との盟約であったお茶会のスケジュールだが我の完璧な…』


俺はそこまで読むと手紙をゴミ箱に捨て、布団に入り眠りにつくことにした。


ピンポーン…ピンポーン…

優雅「……ん、朝……いや、昼か。 誰だこんな時間に……」

気持ちよく寝ていたがインターホンの音で目が覚める。

ピンポーン…

優雅「うるせぇなぁ……スルーしてもいいけど一応出るか……」

俺は寝起きで重たい体を起こし、下に降りてインターホンを確認する。

するとそこには……

優雅「……なんでここにいんだ?」

疑問を感じながら玄関のドアを開けると、

朧「ちょっと遅いですよ! もう14時ですよ!一体何をやって……って、なんでパジャマなんですか! 絶対今起きましたよね!」

優雅「そうだけど……なんでお前がここにいんの?」

そこには珍しくコスプレしていない真っ当な私服姿の朧がいた。

朧「なんでじゃないですよ! 今日遊ぶって約束したじゃないですか!」

優雅「したっけ……? あぁ、そういやしたな!」

この前ファミレス行った時にそういや約束したな。

朧「寝坊した挙句約束忘れてたんですか! はぁ……とりあえず良いですから準備してきてください。 準備出来たら行きますよ」

優雅「行く……? どこにだ?」

朧「……え? 読んでないんですか? 今日の予定を記した手紙を入れたはずなのですが……」

優雅「手紙……? …………あっ、」

俺はそう言われて寝る前の事を思い出す。

朧「……? 何やってるんですか優雅?」

俺は玄関に置いてあるゴミ箱を漁り1枚の紙を取りだし、

優雅「……お前の手紙ってこれか?」

朧「それですよ! なんでゴミ箱に捨ててるんですか!」

優雅「なんでって言われても……こんな訳の分からん怪文書なんか読んでられるかよ。 しかも何だよシャドウパンサーズって。 えっとなになに、日々鍛錬に励み究極魔法を……」

朧「ちょ……ちょっと、目の前で読まれるのは恥ずかしいのでやめてください……。 もう捨てていいですから……」

朧は今更恥ずかしくなってきたのか顔を赤らめ俺の持ってた手紙を取りゴミ箱に捨てる。

優雅「次からはスマホで連絡くれよな。 意味わからんからこれ」

朧「連絡しましたけど既読つかなかったんですよ。 だからここまで来たんです」

スマホを確認してみると1時間前に、

『優雅? 生きてます?』

『絶対寝てますよね?』

『おい、起きろ』

『不在着信』

その後は『ネットで物申すマン』のスタ連が続いている。

優雅「俺一回寝るとマジで起きないんだよ。 目覚まし時計とかつけたのに目が覚めたら吹き飛ばして破壊してる時あるし」

朧「なんですかそのよく分からない自慢は……とにかく早く準備してきてください。 ここで待ってますから」

朧はそう言うとズカズカと玄関に入り腰掛けスマホをいじり始める。

というか……

優雅「なぁ、結局どこに行くの? ゲームするんじゃないの?」

朧「えぇ、ゲームするんですよ? ゲーム機を持ったら私の家に行きますよ」

優雅「……お前ん家……?」


優雅「お邪魔しま〜す……えっと、返事無いけど上がっていいのか?」

朧「いいですよ。 今は親がいないので家主は私ですし」

朧は恋愛漫画にありがちな『家には私しかいないので〜』みたいなセリフを言い、玄関で立ちつくす俺に早くしろと催促してくるのでとりあえず手を洗わせてもらう。

ふむ……思えば女子の家に遊びに来るなんていつぶりだろうか。 小学生以来か?

普通であればドキドキするシチュエーションなのだろうが……相手が相手なので微塵もそんな気持ちはわかない。

まぁ……朧だしな。 中二病で天才のくせにバカって事くらいしか知らんし。

優雅「はぁ……もっとまともなやつだったらなぁ……」

???「何がまともだったらなの?」

優雅「!?!?!? ま、真冬!? どうしてここに!?」

手を洗い終えると突如として後ろから真冬に話しかけられる。

真冬「そんなのこっちが聞きたいわよ……私は行かないって言ったのにしーちゃんが家に押しかけてきて……って、そんなのはどうでもいいわ。 とにかく、あんたがしーちゃんに変な事しないように監視役として来たのよ」

優雅「監視役か……まぁ安心しろよ。 何故だかわからんが朧には微塵もそういう感情はわかないからさ」

真冬「はぁ? あんたもしかしてしーちゃんに魅力がないって言いたいの!?」

優雅「え? い、いや、そういうつもりじゃ……ただ心配しなくても大丈夫ってことを言いたかっただけで……」

真冬「ふん、とにかくしーちゃんがあんたに優しくしてるからってあまり調子に乗らない事ね」

真冬はそう言い放つと2階に上がっていく。

なんだアイツ、めんどくせぇな……

朧「優雅ー、手洗い終わったなら早く上来てくださいよ〜」

優雅「はいはい、今行くよ」

朧にさっきから催促されているので俺は駆け足で階段を上がる。

朧「優雅こっちですよ。 さぁ、この前のリベンジです!」

朧に呼ばれた部屋に入ると、スマブラがいつでも始められる状態になっていた。

優雅「お前も懲りねぇなぁ。 いいぜ、今日もぼこしてやるよ」

朧「ふっ……あまり見くびらない方がいいですよ? この数週間特訓しましたからね」

優雅「ほう?」

朧はコントローラーを置くと、手をポキポキとならし、更に首もコキコキと見せしめのように鳴らすとまだ戦ってもいないのにドヤ顔で俺を見てくる。

朧「その余裕に満ちた顔……グチャグチャにして捻り潰してあげますよ!」

優雅「随分と自信あるんだな。 何かコツでも掴んだのか?」

俺が朧にそう聞くと布団の上で座っていた真冬が、

真冬「私達と特訓したのよ。 そう一筋縄ではいかないはずよ」

真冬ってスマブラ知らないんじゃなかったのか……?

優雅「ふぅん……まぁいいや、とりあえず始めようぜ」

朧「そうですね。 では、始めるとしましょう!」

かくして自信に満ち溢れた朧との大接戦が始まり……


優雅「はい雑魚ォォォーーーー!!! どうした? グチャグチャに捻り潰すんじゃなかったのかなァ????」

朧「この男! 勝つ度に毎回うるさいですよ!」

大接戦を繰り広げるかと思えた朧との勝負は3戦とも俺の圧勝で終わった。

朧「次こそは私が勝ちますからね。 さぁもう一度……」

あれだけ意気込んでおいて負けた朧は、さっきから負ける度にこのセリフを言っている。

優雅「もういいだろ? 勝負はついたも同然だろ。 ほら、別ゲーやろうぜ」

朧「勝ち逃げは許しませんよ。 私が勝つまでは絶対にやめません!」

優雅「お前も勝ち逃げする気満々じゃねぇか」

頑なに負けを認めたくない朧を適当にあしらっていると真冬が、

真冬「じゃあ優雅、私と勝負しましょう」

優雅「……え?」

真冬はそう俺に告げると布団から立ち上がり朧と交代する。

朧「確かに真冬なら勝てるかもしれませんね……任せましたよ!」

真冬「えぇ、任せてちょうだいしーちゃん」

優雅「お前スマブラ知らないんじゃなかったのか? 本当に戦えんの?」

真冬「あんたとしーちゃんが前生徒会室でやってた時あったでしょ? あの後にしーちゃんに誘われてやったら意外と面白くてね。 私も最近やってるのよ」

真冬がこういうゲーム好きなのは意外だな……格闘ゲームとかやらなさそうなイメージがあったんだが……

真冬「それに、現実と違って合法的にボッコボコに出来るのって気持ちがいいものだしね」

……前言撤回、やっぱりコイツは格ゲーしかやってなさそう。

優雅「まぁいい、じゃあやろうか」

真冬「そうね、始めましょう」

朧「頼みましたよ真冬! 優雅をボッコボコにしてやってください!」

朧の熱い声援の中、俺は真冬と対戦を始めた。


優雅「ここ左だろ……」

真冬「やるわね……これでどうかしら!」

優雅「来ると思ったよ、これでおしまいだ!」

真冬「くっ……負けた……」

朧「でも惜しかったですよ真冬! 後ちょっとで勝てましたよ!」

真冬との勝負は接戦を繰り広げ、激闘の末何とか勝つことが出来たが……

優雅「一応聞くけど真冬お前まだ初めて3週間とかだよな?」

真冬「だから言ったでしょ? この前あんた達がやってるのを見て始めたって」

優雅「だとしたらお前上手すぎるだろ。 俺なんか1年くらいやってんのに……」

真冬「RPGとかはやってるけど格闘ゲームは初めてなんだけどね。 いずれアンタにも勝てるようになるわ」

真冬は俺を指さしそう意気込む。

というかコイツきっと全般的になんでも出来るタイプだ。

勉強も出来るし運動も出来るしゲームもできると来たか……

朧「じゃあ次は私……」

優雅「ま、待て。 そろそろ別のゲームやらないか? ずっとスマブラっていうのも飽きるし」

朧「そうですか? 私はまだ飽きてないですけど……まぁそう言うなら別のゲームやりますか。 今持ってくるので待っててください」

俺の提案を承諾した朧は別のゲームを持ってくるため下に降りる。

真冬「……」

優雅「……」

また真冬と二人きりになってしまった……

と、ここで俺は前葵先輩に言われたセリフを思い出す。


葵『優雅君、貴方が気負う気持ちも分かりますがいつまでも下を向いていてはいけませんよ。 今の優雅君には歩み寄る勇気が必要です』


優雅「……な、なぁ、真冬はRPGやるって言ってたけどどういうのやるんだ?」

またキレられるかと思いながらビクビクしながら真冬に話しかけると……

真冬「ん? そうね……最近はゼルダとかペルソナやってるわよ」

優雅「お、奇遇だな。 俺もゼルダとペルソナはやってるぜ。 ゼルダは全クリしちゃったけどペルソナはまだ途中でさ」

真冬「ペルソナってこの前でた新作? それなら私も今やってるわよ」

優雅「そーそれ! 意外と頭使うからムズいんだよな。 早く終わらせてマリオRPGリメイクやりたいんだけどさぁ」

真冬「そういえばマリオRPGのリメイクが出たとか聞いてたわね。 面白いの?」

優雅「面白いよ。 俺家にスーファミあるからそれで原作やったんだよ」

真冬「今時家にスーパーファミコンあるの!? しーちゃんも持ってないのに」

優雅「まぁ色々とやりたいゲームがあってさぁ……」

……あれ? 意外と話せてる……?

というか……

真冬「あの展開は良かったわよね〜。 王道展開ってやっぱりテンション上がるよね、最近ダークファンタジーやってたから尚更実感したわ」

優雅「王道展開だとゼノブレイド2が良かったな。 もう1回記憶無くしてやりたいもん」

真冬「ふん、どーせアンタのことだから女キャラ目当てなだけでしょ」

優雅「だから俺の事なんだと思ってるんだよお前は」

真冬とは喧嘩ばかりしててちゃんと真冬と話す機会なんて今まで全然無かった。

だからこそこうして他愛も無い話してをしていると今まで知らなかった一面を知れる。

.......もしかしたら俺は……言い訳ばかりを並べて逃げていただけだったのかもしれないな。

朧「お待たせましたね。 みんなでやるゲームがこの位しかなくて……? 何かありましたか優雅? そんなニコニコして」

優雅「え? 別にニコニコなんかしてな……」

真冬「ただでさえ気持ち悪いのに急に笑ったりしないでよね薄気味悪い」

優雅「んだとおま……」

お前ふざけるなよと言いかけたがグッとこらえる。

落ち着け俺、ここでいつもキレるから毎度毎度喧嘩になるんだ……ここは紳士な対応をしようじゃないか。

優雅「失敬失敬。 今後貴殿を不愉快にさせないよう気をつけるよ」

真冬「え、キモ。 突然何? めちゃくちゃ気持ち悪いんだけど」

朧「ゆ、優雅? 何か変なものでも食べましたか……? なんか気持ち悪いですよ?」

……うん、今のは間違いなく紳士ではなく変なやつだったな。

朧「とにかくパーティゲーム持ってきたのでやりましょうよ。 もちろん真冬も参加ですよ」

真冬「えぇ……こいつ交えてパーティゲームなんて冗談じゃないわよ……」

優雅「お前俺が嫌いなのはわかるけどもうちょい言葉考えたらどうだ。 せめて俺のいない所で……」

真冬「それは陰口でしょ。 私は嫌な事は裏からグチグチと言うんじゃなく本人に直接伝える主義なの。 本人のいない所で陰口や嫌がらせなんて弱い奴のすることよ」

優雅「それは……まぁ分からなくもないが……」

朧「はいはい、口論はそこまで。 早くやりますよ」

俺が真冬のセリフに気圧されているとゲームの準備を終えた朧が急かしてくる。

優雅「……ん? これって4人用のゲームじゃねぇの? 俺ら全員合わせても3人しかいないから出来なくないか?」

朧がつけたゲームを確認してみると4人用のゲームだったので、俺が朧にそう質問すると朧は不敵な笑みを浮かべ、

朧「ふふふ……一体いつからここにいるのが3人だと錯覚していたのですか?」

優雅「何言ってんだ。 どう考えても3人しかいないだろ。 中二病も程々に……」

???「ここだよッッッ!!!!!」

優雅「うぉぁぁぁぉぉぁッッッ!?!?!?」

朧がまた中二病を発症してるのかと思い適当にあしらっていると、突如クローゼットが勢いよく開けられると同時に大声が聞こえ俺は驚く。

そしてそこには……

優雅「って、藤井先輩!? 何でここに……」

千夏「ふぅ……遅いよ2人共! どれだけ私の事待機させるんですか! 優雅君来たらすぐに話振ってねって言ったじゃん!」

朧「すみません……スマブラで熱くなっちゃって……」

真冬「私はいつになったら藤井先輩にふってあげるのかな〜って思って見てましたけど」

どうやら会話から察するに俺が朧の家に来た時には既に隠れていた様だが朧がすっかり忘れていて出るに出れなくなっていたようだ。

千夏「まさか人の家遊びに来て10数分クローゼットの中で息を殺してる事になるとは思わなかったですよ」

優雅「なんでわざわざクローゼットの中になんて隠れてたんですか……」

藤井先輩にそう聞くと藤井先輩はニヤニヤして、

千夏「だって優雅君って基本的にクール……では無いけど驚いたりした所見たこと無かったから脅かしたくなっちゃってさぁ。 それにしてもいい反応でしたね、『うぉぁぁぁぉぉぁ!』って! あはははは!」

優雅「性格悪いッスよ藤井先輩……」

真冬「あんたよりは悪くないはずよ」

優雅「うるせぇよ」

朧「なんで目を離すとすぐ喧嘩しそうになってるんですか。 ほら、準備出来てるのでやりましょう」

真冬とまた喧嘩になりそうだったところ、朧がそう言ってみんなにコントローラーを渡してくる。

千夏「みんなでゲームなんていつぶりだろう……まぁ負けないけどね!」

朧「私も負ける気はありませんよ! さぁ、いざ尋常に参る!」

真冬「すごろくゲームにそんな全力になる必要あるかしら……」

朧「真冬は分かってませんねぇ……どんな勝負であっても全力で勝利を目指すのが出来る女ってもんですよ!」

真冬「そ、そうなの……? そ、それなら頑張るわ!」

俺が言う事にはいちいち難癖つけてくんのに朧の言う事だとあっさり信じすぎだろコイツ。

優雅「はぁ……まぁいい、俺もゲームは負ける気ないからな」

朧「手加減はしませんよ優雅!」

千夏「私もです! さぁやりましょう!」

そうして皆が意気込み、大接戦が始ま……


優雅「ここで妨害カード! 3マス戻りそのマスの効果を受ける! そして藤井先輩は振り出しへ戻る!」

千夏「わぁぁぁあぁぁ! うわぁぁぁぁぁぁッッッ!!!!!」

優雅「そして同時にこのカードも使用! 右隣の人と位置を入れ替えて自分はサイコロをふる!」

朧「あぁっ! ゴールまであと一マスだったのに!」

優雅「そしてサイコロをふって……はい、1が出たんで俺の勝ち」

朧・千夏「「あぁっ!!!」」

真冬「私は2位か……まぁまぁいい出来ね」

……らなかった。

大接戦になるかと思われたパーティゲームへ俺の圧勝で幕を閉じた。

朧「くっ、汚いですよ優雅! もっと正々堂々と戦えないんですか!」

千夏「そうですよ! うぅ……せっかくあと少しでゴール出来たのにぃ……」

優雅「これ以上にないくらい正々堂々だったろ」

千夏「いいや、姑息ですよ! 人のもの全部横取りして!」

優雅「横取りとは人聞きが悪い、こういうのは戦略家というのだよ」

やった事と言っても藤井先輩が苦労して手に入れた高収入の職業を俺のフリーターカードと交換したのと、あと少しでゴールできる所で振り出しに戻したくらいだ。

朧「ゴール前にいた私と位置交換しておいてよくそんなこと言いますね。 普通に勝ち方が汚いです!」

優雅「そもそも位置入れ替えカードをゲットしてからお前は泳がせてたんだよ。 そして次にゴールする可能性のある藤井先輩は振り出しへ追いやったら俺の勝ちって訳だ」

朧「ぐ……泳がせていたってのが私が思惑通り動いてたって感じして腹が立ちますね……」

真冬「そういや私には何にもして来なかったわね。 もしかして私には怖くて妨害出来なかったのかしら?」

優雅「あ、いや、お前は雑魚過ぎて放っておいても負けないってわかってたから」

真冬「はぁぁあ!? ちょっとあんた喧嘩売ってんの!」

優雅「な、なんだよ! 事実言っただけだろうが! フリーターカード持ってるくせに高収入の俺に難癖つけてくんな!」

真冬「はぁぁあ!? 別に好きでフリーターカードなんか持ってないわよ! あんたこそ何よ高収入って、現実だとヒキニートの癖に!」

朧「まぁまぁ、落ち着いて下さい真冬。 外道さに関しては右に出るものはいない優雅が相手ですから、ここは寛容な心で許してあげましょう」

真冬「それは……そうね。 私達は大人だからね。 しょうがないわね、許してあげるわ」

優雅「朧に関しちゃお前一応1個年下だろうが」

朧「歳なんて関係ありませんよ。 ですよね? 藤井先輩?」

千夏「そうですね。 私も年齢差は気にしないタイプですのでね! だからみんなも私に敬語なんて使わなくていいんですよ?」

真冬「そ、そうは言われましても急に敬語を止めるって言うのはなんか慣れないですよ」

千夏「まぁ少しづつ慣れていけばいいですよ。 もう私達の仲なんですから敬語はなくしていきましょう! ほら、ここから私に敬語は禁止!」

優雅「了解ッス。 じゃあ早速藤井先輩、最下位なんだから片付けよろしく。 はい、リモコン」

千夏「……やっぱり優雅君だけは敬語で喋ってください」

優雅「え、何で!?」

千夏「なんかイラッとするので」

敬語を使わなくていいと言われたので包み隠さず言いたいことを伝えたら藤井先輩が嫌そうな顔で俺見つめそう告げてくる。

朧「私は元々誰にでも基本的に敬語を使って喋るので変わりないですね」

真冬「私も……慣れていきますのでもうちょっと待ってください藤井先輩」

千夏「藤井先輩じゃなくて千夏でいいですよ!先輩はつけたいならつけてもいいですけど」

真冬「ち、ちち、ちな……千夏せんぱ……」

千夏「そ、そんなに敬語取るの難しい……?」

真冬「なんか慣れなくって……」

真冬と千夏先輩がそんな会話をしている中、俺はそろそろ帰ろうと帰り支度を始める。

朧「あれ、優雅? もう帰るんですか?」

優雅「あぁ、もう6時過ぎてるしな。 そろそろ帰ろうかと」

千夏「優雅君門限6時なんですか? 結構早いですね」

優雅「いや…別に門限って訳じゃないんだが……」

中学生の頃の門限が6時だったからその癖で今も6時を過ぎたらなんか帰らないとってなっちゃうだけなんだよな……

別に親に言えば何時でも大丈夫なんだろうけど

真冬「普段はルール守らない癖にこういうのはしっかり守るのねアンタ。 相変わらず変な性格してるわね」

.......そもそも俺はちっちゃいルールは面倒くさがって破るけど基本的にはルールに従う人間だ。

まぁこんなこと真冬に言っても理解はしてくれないだろうが.......

真冬「じゃあ私も帰ろうかしら。 優雅が帰るなら監視役の私も用済みだろうし」

千夏「じゃあ今日はもう解散にしますか」

朧「ですね。 家の前までは見送りますよ」

そうして今日は解散して帰る事に……

ピンポーン

優雅「……? なんだ? インターホンの音?」

各々が帰り支度を終えると下の階からインターホンの音が鳴り響く。

朧「ちょっと見てきますね」

千夏「なら私達も帰るしついて行くね」

朧の後に続き俺達も下へおりて、朧がインターホンを確認するのを待っている。

朧「……あれ、今日遅いんじゃ……」

朧が小言で呟くと朧は玄関の鍵を開けて扉をあける。

すると、そこには朧より大きい女の人と小学生位かと思われる女の子が立っていた。

???「ただいま朧! ちゃんと留守番してた?」

???「してた!?」

朧「いや……実は友達呼んで家で遊んでて……」

???「あ、そうなの? ……って、真冬ちゃんじゃない! 久しぶりねぇ」

真冬「どうもお久しぶりです。 お母さんの方も相変わらずのようで」

???「真冬ちゃんも元気そうで良かったわ。 そのお隣の子は?」

朧「あの人が藤井千夏先輩です」

???「あ、いっつも話してるあの? どうも初めまして。 私は朧の母です。 いつも朧がお世話になってるようで……」

千夏「は、始めまして! こちらこそいつもお世話になってます。 お邪魔しちゃってますけど大丈夫でしたか?」

朧の母「大丈夫大丈夫! 朧が友達を家に呼ぶなんて滅多にないからなんなら嬉しくってね」

朧「ちょ、ちょっとお母さん! 余計な事言わないでよ!」

???「お姉ちゃんお姉ちゃん、あの人は?」

朧の事をお姉ちゃんと言っていたので多分朧の妹と思われる子に俺は指をさされる。

優雅「初めましてお嬢ちゃん。 俺は君のお姉ちゃんの主君で数多の下僕を仕えるゴッドスレイヤーだよ」

朧「ちょ、優雅!? 何言ってるんですか!」

???「しゅくんとげぼくって何?」

優雅「簡単に言うと君のお姉ちゃんの飼い主だよ」

???「てことはお姉ちゃんよりすごいの!?」

優雅「そうだよ。 いっつも君のお姉ちゃんのお世話してるんだからね」

???「お兄さんすごい!」

優雅「まぁそれほどでもあるか痛ッッッ!」

朧「何私の妹に変なこと教えこんでるんですか!」

俺が朧の真似をしていると突如として頭を叩かれる。

朧の妹「姉ちゃん暴力は良くない」

朧「えぇ! いや、それはそうなのですが……」

優雅「そうだぞお姉ちゃん。 なんなら俺お前の真似してただけだし」

朧「お姉ちゃんって呼ばないで下さい気持ち悪い! というか優雅の方が年上じゃないですか!」

朧の母「優雅……もしかして君が優雅君?」

優雅「え? あ、はい。 そうですけど……」

朧をからかって遊んでいると朧のお母さんにそう聞かれ、俺は返事をする。

すると朧のお母さんは俺の手を掴み、

朧の母「会いたかったわ優雅君! 朧がずっと君のことばかり話すもんだから気になっ……」

朧「わぁぁぁぁぁぁぁぁあ! あぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!! な、何言ってるんですかお母さん!」

朧のお母さんが何か言ってたようだが朧の大声にかき消され何を言ってたのか聞き取れなかった。

朧の母「だって朧が男の子家に連れてくるなんて初めてだから嬉しくってね」

朧の妹「姉ちゃん男たらし」

朧「ちょ、どこでそんなセリフ覚えたんですか! お姉ちゃんは男たらしなんかじゃありません!」

不知火家はそんな他愛もない?会話でワイワイしている。

優雅「……なぁ、これ俺らお邪魔だよな?」

真冬「あら、珍しく空気が読めるのね。 私達はおいとまするとしましょうか」

千夏「そうですね、じゃあ帰ろうか。 すみません朧のお母さん。 私達はこれで失礼しますね」

優雅・真冬「「お邪魔しました」」

俺達はそう言って早々に帰宅する事に……

朧の母「あぁみんな! ちょっと待って!」

真冬「? どうかしましたか?」

朧の母「せっかくなんだし晩御飯でも一緒にどうかしら? 何だったら私が帰ってきた事だしまだ家で遊んでて大丈夫だよ」

真冬「い、いえ。 この前も私はご馳走になったしさすがに……」

朧「お、お母さん!? 何を言って……」

朧の母「なんだったら今日は家でお泊まり会でもしたら?」

千夏・真冬・朧・優雅「「「「!?」」」」




次の予定→第13話 科学者と生徒会役員と怪談体験


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