第5話
『■は何度でも■■■■。ヤヨイを■■■■■為に』
「……ヨイ……ヤヨイ!聞いているのか!」
「へっ?」
「まったく、もう一度言うぞ。これから戦うのは反政府軍の本隊。危険な任務だから充分気を引き締めて行け」
「うん!わかった!」
「そこは『はい、承知いたしました』だ……」
陸人はヤヨイのいつもの様子に辟易(へきえき)した。
「真賀浜隊長」
「何だ、利垣心」
「僕達では反政府軍本隊には勝てません。更に西部司令部も反政府軍に占拠されている状態です。本部に連絡を入れた方がよろしいかと」
「何故お前がそんな事を知っている?」
陸人は心をいぶかしんだ。
「……僕の秘密の情報網です」
心は苦笑いをしながら答えた。
「……わかった。お前を信じよう。お前が悪事を働くとは思えないからな」
陸人はそう言うと無線機器の下へと向かい本部に連絡を入れた。
「……ですが……!」
陸人はなにやら相手と言い争っている様だ。
「……そうですか」
陸人は無線機器をおいて心達の下へとやって来た。
「真賀浜隊長、どうでしたか?」
「……死ぬ気で……西部を奪還しろ、だと」
それを聞いた心は目を丸くした。
「なっ……!西部に向かえば挟み撃ちにあって勝機など無いというのに……!本部はいったい何を考えて……!」
「やるしか……無いだろう……」
陸人は手を握り締めた。
「本部に……本部に直接向かいましょう……。皆で理由を問いただせば……」
「それは軍法違反だぞ?」
「皆で死ぬよりはましです。そうでしょう?真賀浜隊長」
心は陸人の心を見透かした様に言った。
「……ははっ、そうだな」
陸人は隊員達の前で状況を説明した。陸人の様にいぶかしむ者もいたが、それでも死ぬかもしれない、いや、ほぼ確実に死ぬ状況を前に反対する者はいなかった。
陸人達は本部への道を歩いて行った。
「あ、軍人さん」
ヤヨイは両翼に広がる軍人を目にした。
「(何故ここにこんなに軍の人間が……?)」
陸人がそう思った時、両翼から突然弾丸の嵐が降り注いだ。
「かはっ……!」
「あっ……」
陸人達は弾丸の雨に沈んでいった。
「ヤヨ……」
陸人は最期に倒れ伏した隣のヤヨイに手を伸ばした。
「真賀浜……隊長……」
ヤヨイも陸人に手を伸ばす。二人で手を握りあった。それがヤヨイ達の最期の記憶だった。




