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時計の針のその先で  作者: 原案・著:露 脚本:岩永明
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第4話

 今日は白駒隊の部隊がいつもより騒がしい。白駒隊全軍で当たる大きな作戦があるからだ。

 白駒隊の部隊の前に陸人は腕を背に回して立つ。その横にはヤヨイ。

「諸君!今日の作戦は頭に入っているな!」

「「「はい!」」」

「今日から内乱を抑える為、反政府軍本隊と交戦を行う!反政府軍の場所は伝えた通りだ」

「「「はい!」」」


「う~、そわそわしちゃうね……!」

 ヤヨイは手を握って足踏みをした。

「ヤヨイ、変な事はするなよ」

「わっかんない!」

「お前な……」

「まあまあ隊長さん、ヤヨイの今までの活躍は見ましたでしょ?」

 進がヤヨイ達の下(もと)へとやって来た。

「……まあな」

 陸人はそう言いながら軍帽を被り直した。

「じゃあ行きますか!」

 ヤヨイは敬礼をした。

「だから意味も無く敬礼をするなと何度言ったらわかる……」

「へへっ」


「てりゃー!どんどん切っちゃうよ~!」

 ヤヨイは楽しげに反政府軍の返り血を浴びている。

 だが白駒隊に分が悪い様で隊全体は圧されている。

「まずいな……」

 陸人は思案する。この状況をどうするかを。

「真賀浜隊長、一旦西部司令部へ避難されてはどうでしょう?」

 心が陸人に進言する。

「そうだな……。総員!聞け!俺達はこれから西部司令部へ避難する!」

 陸人の言葉に近くにいた隊員達は避難を開始し始めた。

「ははっ!た~のしいね~!」

「ヤヨイ!お前もさっさと戦線離脱しろ!」

「はぁい……」

 ヤヨイは残念そうに刀を下げた。


 陸人達を待っていたのはレジスタンス達によって占拠された西部司令部だった。

「何て事だ……」

 前にはレジスタンス。後ろからもレジスタンス。陸人達は挟み撃ちにされ絶体絶命だ。

「くそっ!」

 戦うしかない。しかし隊はこのピンチに混乱し、統率が取れなくなっている。

 そんな中……

「ね、真賀浜隊長」

「何だ」

「私、戦うね。誰かが先陣を切らないとみんな戦えない。そうでしょう?」

「……」

 陸人は迷った。確かにヤヨイの言う通りだが、それはとても危険な役目。陸人は……ヤヨイを失いたくなかった。

「ヤヨ……」

「じゃあ私、行って来るねー!」

「ヤヨイ!」

 ヤヨイは敵陣のど真ん中に突っ込んで行った。

「あはは!さぁ!誰が私と戦う?」

 ヤヨイは刀を振りかざしてレジスタンス達を切っていく。

「……っくそ……!皆!ヤヨ……841に続け!」

 ヤヨイ達はレジスタンス達相手に奮闘したが、戦況は覆せ(くつがえせ)なかった。

「あっ……」

 ヤヨイの胸元にレジスタンスの刃が刺さる。刃を抜かれよろめくヤヨイ。傷口からは血が止めどなく溢れてきた。

「あーあ……ここ……まで……か……」

 ヤヨイは地面に倒れ伏す。

「……ヤヨイ!ヤヨ……!…………!」

 ヤヨイが最期に聞いたのは自分を呼ぶ陸人の悲痛な声。それを最後にヤヨイの意識は途切れた。

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