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ニキビ同盟  作者: 四宮楓
2/3

雨の日の楽しみ

香田さんと大橋くんは“ニキビ同盟”としての親交を深めて行きます。

最近の私は雨を心待ちにしている。


今朝も天気予報で『午後から雨になります』と報じられて

父さんや翼はガッカリしたが、私は自然と顔がほころんだ。


雨なら…


そう、雨なら大橋くんはレーシングシューズを履く代わりに図書室へ来てくれる。


そこでカレは本を読んだり、宿題をしたりしながら、いつも負け続きの勝負を挑んで来る。

私を見つめながら…



--------------------------------------------------------------------


「ねえ、大橋くん」

図書委員の私は声をひそめ気味だ。


「ん? トイレ?」


「バカっ! そうじゃなくって、ちょっとガン見しすぎ!他のクラスの子をそんなに見てたら噂になる」


「…ゴメン 噂になったら香田さん、マズいよね」


「キミもでしょ? で、どうなの? 意中の人は?」


「う~ん オレの気持ち、気付かれていないと思う」


「それって!!…私との勝負より、ソノ子の事、見つめたほうがいいよ。どうせ大橋くんは負けるんだから」


「確かにオレ、今は負け込んでいるけど…」


と、大橋くんのスマホのアラームが鳴って、カレ、慌ててそれを止めた。


「ご飯、炊けたかな、先に調理室行ってるね」



--------------------------------------------------------------------


『ニキビを触ったら負け』ゲームで負け越した大橋くんが用意してくれたもの


それは調理室での

二人だけの手巻き寿司パーティー


具材はニキビ対策になる食べ物


“ニキビ同盟”のグループLI●Eに、大橋くんは色々と情報を上げていて…今日のメニューもその一環だ。

玄米ご飯にうなぎ、“しゃぶしゃぶ”した豚肉、たらこ、納豆、サーモン、解凍した冷食のブロッコリーにカボチャなどなど。


余り大っぴらに暖房は付けられないので、こじんまりと寄り添って野菜ジュースで乾杯する。


こんなご時世だし、ウチの高校、男子生徒には調理実習もないから…家族以外の人…しかもオトコの子と差し向かいで、いわゆる“同じ釜の飯”をすることは、なかなか無い。


そう、“ニキビ同盟”の大橋くんだから…少しは恥ずかしいけど、マスクも外した。


「あ!」


「ん?」


「香田さん、マヨ付いた 口角のあたり」


指をやってみたが

違っていたようだ。


大橋くんはテーブルの上のウェットティッシュを1枚抜いた。


「いい? ニキビには触らないようにするから」


大橋くんが前かがみに近づいて来たので…

私はなんだか思わず目を閉じた。


息遣いすら聞こえず、僅かに衣擦れの音だけ


不織布の先が、本当に触れるか触れないかくらいで

スイっ!と去っていった。


「取れたよ」


胸の鼓動が少し虚しかった。





イラストです。



紬さんのラフ案2



挿絵(By みてみん)






このふたり、付き合っちゃえばいいのに!としろかえでは思うのですが、黒楓はどうも…


感想、レビュー、ブクマ、評価、いいね 切にお待ちしています!!<m(__)m>

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