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ニキビ同盟  作者: 四宮楓
1/3

その始まりは…

最初はこちらの作品を<香月よう子様の「春にはじまる恋物語企画」への参加作品>にしようとしていたのですが…思うところがあって、別の作品で参加いたしました。(^^;)

涙で端っこがクニャクニャになった白い不織布マスク…

外してみたら内側少し右上に、ポチンと赤く血のにじみ跡があった。


頭の中を…

さっきの言葉がリフレインして

また涙になる。

その言葉が憧れの一条センパイの口から発せられたものだから…


『見た?! 今すれ違ったヤツ。顔中ボツボツであり得なくない?』


確かに私はボツボツのニキビ顔!!

マスクだって涙だけじゃなくニキビの血が滲んでいる。


みっともなくもどうしようもない。


情けなくてしゃくり上げるとパフン!とレジ袋がぶつかった。

きっともうすぐ上陸する台風のせいだ。

私を蔑み、投げつけられたものではないはず…


『ごめん!!』


向うの方からオトコ声がして、バタバタ駆け寄って来る足音。


レジ袋を顔から剥がすと、同じ高校の制服が立っていた。

「ホント!ゴメン!! 袋、オレの手からすり抜けちゃって!!」


泣いていたのを見られたくなくて、私は顔を伏せながらレジ袋を差し出す。


「あの、オレ、マスクだめにしちゃった?」


そう言われて私、今更ながらマスクを外しっぱなしで、ニキビ顔を剝き出しにしている事に気が付いたが…

申し訳なさそうに覗き込むこの人の顔も私以上のニキビだらけで…

すこしだけホッとした。


この人、リュックのポケットの中から個包装のマスクを取り出し

「これ、代わりに使って下さい。お願いします」と頭を下げる。


ネクタイの色が私のリボンと同じ緑なので、1年生だと分かった。だとすると身長は結構高め?細身だけどモヤシじゃないから…やっぱり私の苦手な体育会系?


差し出されたマスクを受け取るのをためらっていると

「あの、1組の人ですよね。オレも西高で4組なんです。だから…それほど怪しくは、無いです」


どうしてだろう…


私はその時に思わず吹き出してしまった…今泣いていたばかりなのに


「オレ、なにかマズいこと言いました?」


それが癖なの?

カレはその時も、指を数あるニキビの一つにやって、ポリポリした。


「それ!」


「えっ?!」


「ダメなんですよ。掻破するの」


「ソウハ?」


「掻いて破るって書くの。ニキビを酷くさせてしまうんです」


「あぁ… そういう字なんですね… 引っ搔いちゃダメだっていうのは分かってるんです、でもつい…」


『「あっ!!」』

二人同時で声が出てしまう。


カレがまたニキビに手を伸ばしてしまったから…


私が

「これはもう罰金でも取らなきゃ直りませんね」

とため息をつくと、

カレは照れ隠しに「アハハハ」と笑った。


「笑いごとじゃないですよ、私だってニキビに苦しんでいるんです」

思わず口をとがらせると

カレは「ごめんなさい」とまた頭を下げた。


「私達、同じ高校なんだから、今度見かけたら本当に罰金取ります」


「じゃあ、オレも見かけたら罰金取ってもいい?」


「いいですよぉ。絶対私の方が勝つんだから」


「いやいや、オレ、こう見えても目ざといから、キミから取った罰金で宮殿建てちゃう!『罰金ガム宮殿』って」


「アハハ。バカみたい」


「いいや!オレ、真剣だから!」なんて、カレは腕組みしてみせる。


「宮殿どころかガム買えるお金ですら徴収させないからね」と私もいつの間にかクスクス笑っていた。


「オレ、大橋ハルって言います。字は暖房の暖です」


「私は香田紬(こうだつむぎ)です」



私は台風の風に押されたのだろうか…

こんな風に…

カレと“ニキビ同盟”を結ぶ事になったのだった。




イラストです。


香田さんのラフ案


(ニキビは描いていません(*^^)v)



挿絵(By みてみん)





短編の予定でしたが、思いのほか長くなりそうなので、少しずつ分けながら書きます。



感想、レビュー、ブクマ、評価、いいね 切にお待ちしています!!(*^。^*)

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― 新着の感想 ―
[一言]  ニキビで思い出したんですけど、自分は学生の時も含めてまだ一度もニキビになったことないですね。  何でだろ?  ニキビの大変さが気になって読んだのですが、思いのほか内容自体も面白く読めました…
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