異世界マッチ売りの少女
短編です
もしかしたら他の作品と似たような物になっているかもしれませんが、調べてもみつからなかったので載せました
はあ、お腹空いたな、寒い
今日はマッチ売れるかな、売れないと食べ物買えないよ
神様お願い、マッチが売れるようにして下さい
パシュン
あれ?今なんか?気のせいか
ガチャ
はぁ、今日も寒いな…………
「マッチ、マッチはいりませんかあ?マッチはいりませんか?」
ハァハァ寒いよ
「マッチ、マッチはいりませんか?」
「お、おいまさか、」
声をかけて来たのは30くらいのおっさん
見かけは少し小綺麗で少し太った感じ
「マッチを買ってくれますか?」
「君はこれをどこから持ってきたんだ?」
「え?家から……」
「まさか、地球から来たのか?」
このおっさん大丈夫かな?何言ってるんだろう
「え?まあ地球からですけど」
「やはりそうか!どうやって来た?」
「あの、さっきからからかってるんですか?なんの事だか全然わかりません」
「え?あ、そうなのか、来たばかりなのか、すまなかったね」
「オジサン大丈夫?寒さでアタマがおかしく?」
「ああ、違う違う、うーんそうだなよし、そのマッチを全部買うよ」
「え!本当に?ありがとうございます!」
「ただね、お金が違う国のお金しかないんだ、この金でできたお金を君のところで換金してもらえればそれなりの金額になるよ」
「へー、金?この重さの金ってすごいんじゃ?」
「ここではマッチはそれだけの価値があるんだよ」
「ここでは?ここって昨日と同じ町のはず………………あれ?何か違う」
「わかったかな?君は家に帰れるかな?もしついて行っていいなら家にある残りのマッチももらうよ」
「えー!本当ならすごい!こっちこっちー!」
「ハハハ、今行きます」
すごいすごい全部売れる!これで何食べようかなー
「はい!オジサンここが…………あれ?どこ行った?」
そんな早く歩いてないのに、上客を逃がすかー!
「あ、いるじゃん早くこっち」
「お嬢ちゃん、こっちを見ながら帰ってごらん」
「え?うん、わかった………………あれ?急にきえた、あれ?いた」
「やはり君だけで私は通れないみたいだね」
「どういうこと?」
「ここは次元の裂け目みたいなもんだね、君の家とオジサンの世界は別なんだよ」
「えーー!うそー」
「前後に動いてごらん、私が消えたり現れたりしてるだろう?」
「本当だ、なんで?昨日までなかったのに」
「理由はわからないけど、君だけの能力みたいだね、」
「君はお腹が空いてるならうちに来ないかい?温か
い食事に温かい暖炉もあるよ」
「あ、はい!ご馳走になります!」
小太りの男の名前は バーク 元々は私と同じ地球、日本という国の人間だったが、落ちてきた看板の下敷きになり亡くなった際にこの“異世界”にやってきてもう10年だという
「バークさんは帰りたいの?」
「昔はそう思ってたね、とにかくこちらは不便で文化や文明が遅れている、魔法という物があるために科学がほとんど発展してないからね」
「魔法なんてあるなんてすごーい、あ、お代わりいいですか?」
「ハハハ、いっぱい食べてね、えっと、君の名前を聞いてなかったね」
「あ、そうだった、私はアンナ、よろしくねバークさん」
「こちらこそよろしくね、君には父親がいるかい?」
「いるけど嫌い、いつも自分はお酒飲んで」
「そうか、君には選択肢が出来たわけだ、そのままそちらの世界で過ごすか、こちらで私に協力して過ごすか、勿論協力してくれるのなら、こうやって温かい食事と寝床は用意するよ」
「え、どうしよ協力って?」
「まずはマッチを定期的に持って来てもらえばいいよ、それを私が買って君は金を手に入れる、君は金を換金して大金を得る、その繰り返しで君には大金が入り続ける」
「私がお金持ち………………?」
「そうだね、どうだい?協力してくれるかい?」
「勿論!是非!」
「そうか、こちらも有難い」
「とりあえず今日はこれまでにしよう、どうする?帰るかい?それとも泊まっていくかい?空いてる部屋はあるからね」
「じゃあ、お言葉に甘えて泊まっていきます」
「そうか、ではメイドに部屋を用意させておくからお茶でも飲んでなさい」
「はい!」
わあ、すごいすごい!お腹いっぱい食べたの初めて
温かい部屋に、このお茶も温かくて美味しい
そして私がお金持ち?マッチで?本当かな?騙されてないよね
でもこんな生活させてくれるなら騙されてもいいや
もう寒いのはいや
「アンナ様、お風呂の用意ができましたのでお入りになって下さい」
「え?お風呂?いいんですか?お風呂なんて…………」
「勿論です、ではこちらへ」
ひえー!お風呂とかどこのお金持ちよ
「ふああああ、さいっーーーこうね!はああああ気持ちいい〜」
ため息しか出ない〜こんなの味わったらもう戻れないよ
あ〜この石鹸いい香りがする
バークさんってお金持ちなのね、でも突然この異世界に1人でって大変よね苦労したんだろうな
「アンナ様、こちらにお召し物を用意しておきましたので、こちらは洗っておきますね」
「え?あ、はいお願いします!」
服も用意してくれたんだバークさん
あんな人がお父さんだったら良かったのに
お父さん私が帰らなくて心配してるかな
明日はどうせマッチを取りに行くし…………
「はあ、いいお湯でしたあ」
「お風呂は気持ちいいよねえ、私もお風呂が大好きでねわざわざ作ってもらったんだよ」
「へー、わざわざ」
「じゃあ部屋も用意したからゆっくり休んでね」
「はい、ありがとうございます」
「では、アンナ様こちらです」
「ふわああああ!ふかふかの布団だあ!」
「ではごゆっくり」
「はい、おやすみなさい」
すごい!夢みたい何このツルツルの手触りいい服、そしてこのモコモコした布団
はあ、興奮して寝れないかも…………Zzz
翌朝
「ふごごぅZzz」
「アンナ様おはようございます」
「ふが!」
「おはようございます、こちらにお着替えを用意しておりますので、着替え終えましたら食堂へお越しください」
「ふぁ、ふぁい!」
朝ごはん!食べなきゃ!なんなのこの布団気持ち良すぎでしょ、ご飯!食べれる時に食べないと!
「おはようアンナ、よく眠れたかい?」
「すっーーーごくよく眠れた!」
「それは良かった、アンナさえ良ければずっとあの部屋を使っていいからね、ここは私と同じメイドの2人しかいないからね、アンナ1人増えても問題ないよ」
「え!本当に!あ、でも今日は家にマッチ取りに行かないと、その時にお父さんになんで帰って来なかったとか怒られて閉じ込められるかも」
「そうしたら先に金を換金したほうがいいかもね、アンナよく聞いて、必ず大人はその金を安く買いたたこうとしてくる、相場も知らない子供と舐めてかかるだろう」
「うん、そんな場所行ったことないし、正直に値段わからないから言われたままの値段で売っちゃうね」
「君の時代の西暦はわかるかい?」
「わかんない」
「まあ、1850年辺りだろう童話と関連していれば、いいかい?この時代の金の値段はこれだ、そしてこの金は18金だ、理解した?」
「うんうん」
「そして重さがこれだけあるから、値段はこれだ、計算は?」
「全然だめ」
「そのうち覚えようね」
「この値段よりも異常に安かったら売らないし今度その店では取引はしない、わかった?」
「そのお金を全部父親に渡さない、普段売っている値段程度渡せばいい、残りのお金で自分でマッチを買ってくるんだ、それも異常に高かったら買わない」
「うんうん」
「まずそれをやってみようか」
「毅然と対応するんだよ、靴も新しくして、髪も整える、少し威張るくらいでいいあの寒さと飢えの生活やに戻りたくないだろ?今やるんだ」
「わかった!」
「よし!お腹いっぱい食べてからね」
「わかったよ頑張る!お代わり!」
髪を整え、軽く化粧をし、新しい服に靴
見た目はちょっとしたお金持ちのお嬢さんの見た目になっていた
「ふふふーん」
すごい!これ私?信じられない
「おお、可愛らしくなったね、じゃあ頑張って、これが君の人生を変えるんだよ」
「うん!頑張ってきます!」
元の世界に戻ってきたアンナは貴金属を取り扱う場所へと向かう
はあ、緊張する
ダメよここが踏ん張りどころ変えるんだこの生活を
「はい、いらっしゃ…………どこのお嬢さんかな?」
「この金を換金してほしいの」
「はいはい、どれどれ…………」
主人の目は少し怪しんでる目だ
「ふむ、グラムは…………」
「これはどこの国の金貨なのかな?」
これも予習済
「お爺様から頂いたからわからないわ、ほしい物があるから売ってしまいたいの」
「ホホホ、なるほどねではこちらでよろしいかな?」
バークさんが言ってた値段とほぼ同じだわ
「はい、それで結構ですわ」
自分で、てすわなんて言って吹き出しそう
「はい、じゃあこれで、またお願いね」
「はい、では失礼します」
ハァハァハァハァ
なんとかなった?換金出来ればこっちのもんよ!
やった!やった!お金だ!お金だ!
あ、でもどうしよう
この格好で家に帰って、こんな大金持ってたら全部取られちゃう
昨日帰ってないけど心配なんかしてないだろうし
お金もどうせお酒に使うに決まってる
このまま家出しようかな
書き置きくらいしておこうか
家へ戻り書き置きをし、少しばかりのお金を置きに帰った
どうせまたお酒飲んで寝てるんだし大丈夫よね?
静かにドアを開ける
キイ
「アンナ!」
やばい!なんで起きてるの!みつかった!
「良かったアンナ!良かった!良かった!」
抱きしめてきた父親に驚いた
え?え?良かった?
「すまなかったアンナ!帰って来ないから死んだかと思ってずっと探していたんだ、ごめんなごめんなアンナ!生きてて本当に良かった!」
お父さん…………
よく見ればズボンのスソはびちゃびちゃに濡れて、髪も濡れていた先程まで外にいたと思われる
「お父さん、ずっと私を探してたの?」
「ああ!そうだよ、色んな人に聞いて知っている場所を何回探してもみつからなくてな」
「うわあああん、ごめんなさいー、お父さんー、ごめんなさいーうわあああん」
お父さん必死に探してくれたのに、私は美味しいもの食べてお風呂入って温かいベットで寝てる間
ずっとこの寒い中探してくれてたなんて
心配してくれてたんだ
「うわあああん、お父さんーお父さんーごめんなさいー」
「ああ、ああ、いいんだよアンナさえ無事なら」
アンナが泣き止んだ頃
「アンナその格好は?」
「親切な人が助けてくれたの、それで貸してくれたの」
「そうか、お礼を言わないとな」
「あ、お父さんちょっとこれ返してくるから、お父さんは待ってて」
「お父さんもお礼を言いたいな」
「お父さんは行けない場所だから」
「行けない場所?」
走り出すアンナはバークの元へ
バークの家へ着くと
「バークさん!」
「おかえり、上手くいったかい?」
「はい、これ」
「おお、よくやったねアンナ偉いよ」
申し訳なさそうな顔のアンナは
「それでね、バークさん私家に戻る」
「おや、お金持ちになるんじゃなかったの?」
「やっぱり私はあっちの世界の人間だし、お父さんもいるから」
「そうかそうか、そうだねそれがいいよ」
「ごめんなさいバークさん」
バークの姿がモヤモヤと変わり始めた
その姿は
「お婆ちゃん?」
「うんうん、アンナお父さんと仲良くね」
「お婆ちゃんだったんだ」
「うんうん、アンナ幸せにねお婆ちゃんそろそろ行かないとないけないから」
「お婆ちゃん!ありがとう助けてくれて」
「うんうん」
消えていくお婆ちゃん、それとともに家も消えていく
グス
鼻をすすりながらアンナは家へ帰る
それから異世界へは行けなくなっていた