第０節 第０話 世界の変革
第０節 第０話はこの物語の説明です。
今の世界の成り立ちの説明ですので、興味ある方はご一読ください。
なお、用語の説明等も含まれております。
物語が読みたい方は読み飛ばしていただいても結構です。
では本編をどうぞ。
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今より時は大きく遡る。
この物語の主人公が産まれる、約１０００年前の出来事。
人々は一塊の物質を発見する。
直径３ｍを超えるその物質は、どこから齎された物なのか……。
ある者は言う、宇宙からの飛来物であると。
またある者は言う、地球からの贈り物であると。
別の者は言う、神からの賜り物であると。
深く……暗く……赤く光る物質は、怪しくも禍々しく輝いていた。
そして人々を魅了していくのだった。
研究者達はその物質をギフトと仮称した。
研究者達は長い観測の結果により、ギフトには膨大なエネルギーを内包していることを突き止めたのだ。
そして科学はついにそのエネルギー……ギフトエナジーを取り出す段階まで漕ぎつけたのだ。
人々はその革新的物質、ギフトに魅了されていく。
科学者たちはギフトに魔性を見出し、熱狂していく。
その熱量たるや、その昔に起こった産業革命を彷彿とさせるものであった。
人々は魔石を魔石とし、そこから取り出されるであろうエネルギー体を魔素と命名した。
それから更に研究は進み、いよいよ本格的に魔石から魔素を取り出す実験が開始された。
しかし、悲劇は起こる……
いや、起こるべくして起こったのかもしれない……
『魔石崩壊』
実用実験中に、ドクリ……ドクリと脈打つ魔石。
それはまるで胎児の鼓動……
生命の鼓動の様だったと当時の研究者は語っていた。
そして、突如として魔石が暴走を始めたのだ。
魔石は制御不能となり、徐々にその姿を崩壊させていった。
初めからそうなることが決定されていたかのように崩壊してゆく魔石。
その崩壊が進むたびに、エネルギーを暴力的にまき散らしていく。
そしてその崩壊が完了する頃には、内包されていた魔素が世界中を覆いつくした。
世界中にあふれた魔素は、世界中の全てのモノを汚染していく。
生物・非生物はもとより、機械までも。
世界が魔素により汚染されて１０年の時が過ぎた。
人々は魔石の研究を一時中断し、魔素の中和に躍起になっていた。
汚染された生物は、その姿形を変えていった。
あるものは獰猛となり、あるものは巨大化し、あるものはその姿が崩れていた。
それは生物全てで起こりえたのだ。
そう、人でさえも。
野生動物が魔素に汚染され、凶悪な魔物となった。
人が汚染され誕生したのが魔人である。
その魔物と魔人が相互に汚染を広げていった。
そして人類は更なる恐怖に怯える事となる。
機械魔の誕生。
機械は魔素の力を浴び一つの生命体となった。
当初はタダの機械の成れの果てだった。
しかし、スーパーコンピュータを取り込んだ機械魔は己を進化させていった。
時には魔物を取り込み、時には人を、時には魔人を、時には機械魔を……
当初人類は魔物と魔人によりその人口を減らしてきた。
対抗するために銃火器を使用するも、何とか均衡を保つのが精いっぱいであった。
そして進化を遂げた機械魔は世界を席巻していった。
通常の銃火器では全く対応できず、人類は更にその人口を減らしていった。
それは魔物も魔人も例外ではなかった。
機械魔はその勢力図を広げ、ついには世界の覇者となったのだ。
それから５００年。
つい人類は悲願を達成する。
機械魔討伐に成功したのだ。
それを願って幾星霜。
代を重ね、人々は知恵を振り絞った。
そして人々はついに新たなる時代へと突入したのだ。
旧世代機械技術（ロストテクノロジー※以後ＬＴ）を失った人類が、新世代機械技術（ニュージェネレーションテクノロジー※以後ＮＧＴ）を作り上げ、勝利した偉大な年となった。
それから更に１００年。
ＮＧＴはさらなる飛躍を遂げる事となった。
ついに成し遂げたのだ。
魔石のエネルギー利用を。
それにより人々は永遠の課題であったエネルギー問題を克服することになった。
ただし一つだけ問題が発生した。
その魔石の産出方法であった。
なぜならばその産出先は機械魔だったからである。
人々は機械魔に初勝利したものの、常勝していた訳ではない。
辛くも勝利し、得られた貴重な魔石を元に研究が進められてきたのだ。
手に入れた魔石を元にさらなる研究を推し進めていった。
その先に人類の明るい未来があると信じて。
そして、魔石の研究結果で得られた技術が技能である。
残念ながら人々は魔素の汚染を完全に逃れることはできなかった。
僅かながら体内に魔素を取り込んでおり、それが長時間蓄積されることによって技能が発現されるのだ。
その期間は約７年。
その蓄積は新生児の方がより多く、おそらく母親からその蓄積を引き継いでしまうというのが定説となっていた。
技能が発現すると魔素の汚染はある程度抑制できると研究でも証明されている。
そして、子供は生まれてから７年の後、一つの診断を受けることになる。
それが適性診断である。
ＮＧＴの進歩により、その人物が持つ技能を確認できるのだ。
そしてそのスキルに沿った一番適性のある職業が判断されるのだ。
それにより、人々は自身の適正に沿って職業に就くようになった。
これは減りすぎた人々を効率よく配置するための策の一つでもあった。
技能の中には機械魔との戦闘に役立つものも数多く発現した。
それにより人々はさらに機械魔との戦闘を激化させていったのだ。
機械魔との実戦部隊として戦った彼らは狩猟者と呼ばれ、後の英雄となった。
そしてその時立ち上げられた組織が、狩猟者連合協同組合である。
人類が機械魔に対する反撃を行い始めてから約４００年後の世界……
この物語はそんな狩猟者にあこがれた一人の少年の物語である。
