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異世界転移先で王様と勇者が殺されたんだけど、何か質問ある?  作者: 楓紅葉
異世界で殺人現場に居合わせたんだけど質問ある?
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フラグ

「いやぁ、石井先生、半端なかったな。まぁ、お前も逆の方に半端なかったけど。」


などと、笑い転げているこいつは神尾晴彦、ただの馬鹿だ、もとい悪友だ。いま、この部屋には晴彦を入れて7人いる。俺らのまとめ役の学級委員長真二、真二の彼女でブレーン役の麻由子、陸上部最速女子エースの詩織、優しくて力持ちサッカー部ゴールキーパーのピエール、馬鹿担当晴彦、ムードメーカーの麗奈、そしてザ・凡人大輔、つまり俺だ。ちなみにピエールは本名ではなくただのニックネームで、彼は生っ粋の日本人だ。何でもサッカーの有名選手に憧れて、ボールをキャッチする度にボールにキスをする行為を真似ていたところ誰からともなくその世界的ゴールキーパーの名前で彼を呼ぶようになったという。本人もまんざらではないらしい。


「そのまま笑い死ね。」


俺は本心からの言葉を晴彦に投げかける。


「晴彦、あんまり大輔をイジメないで。」


俺の天使、麗奈が止めに入る。しかし彼女も若干笑っているように見えるのは気のせいだろうか。


「だってスキル被るって・・・しかもそれだけって・・・。」

「そういうお前だってスキルは直感だけだったろ。」

「ふっ、俺の直感はすべてを見通すシックス・センス、いや、それを超えるセブン・センスと言っても過言でもない。」

「ってか、使い方もわからないくせに。」


そう、俺達は順番にステータスを報告した後すぐにゲスト棟に連れて来られて軟禁状態だ。建物の中に監視はいないようだが外には騎士団が10人体制で見張っている。一応護衛とは言われたが監視が任務だろう。各個人部屋にはブザーがあり、質問や必要なものがあれば押してくれとのこと。俺達は今真二の部屋に集まっている。ちなみにスキルの使用は禁止されている。と、言ってもまだ使い方は習っていないので、禁止されなくても・・・。どちらにせよ翻訳スキルの俺には関係ない。


「使い方といえば、やっぱり魔法は憧れるよな。詩織、使い方とかわかりそうか。」

「おい、晴彦。禁止されてるんだぞ。変な事言ってまた問題起こすなよ。」


真二が言った、「また」と、言うのはさっき、晴彦が遊び半分でブザー押して、用件を聞きに来たメイドさんに「あなたに会いたいからブザーを押しました」と馬鹿な事を言い出してあった一悶着を指す。


「その節はどうも済みませんでした。」

「・・・その顔、どう見ても悪いと思ってないよね?」

「まぁまぁ、気楽に行こうよ。折角にの異世界生活、楽しまなきゃ損だろ。」

「正論な様な違うような、どっちにしても晴彦に言われると腹が立つ!!」

「それわかる。」


それはみんなが同意するところのようだ。しかし晴彦は気にしてる様子もなく、


「で、どうなん?使い方わかりそうか、詩織?ピエールでもいいけど。」


俺達の中で魔法のスキルが現れたのが2人。風魔法の詩織、土魔法のピエール。それとは別に地形探索の真二、生命反応探知の麻由子も魔法っぽくね?というのが俺達の見解だ。ちなみに麗奈は食材解析らしい。料理上手な麗奈にはピッタリなスキルだ。


「うーん、どうだろう。ここで『風よ』とか全力でやってみて出ないと恥ずいし、カマイタチ的なのでて晴彦の首を飛ばしてもあれだから、あんまり考えない様にしたほうがいいと思ってるんだよね。

「俺はお前になら殺されてもいいと思ってるんだぜ。」

「・・・」

「僕はなんか魔力を感じる気がするよ。」


ピエールが晴彦のおバカ発言を華麗にスルーして答える。


「魔力かぁ。いいよな魔法。」


つい、俺の口から本音が漏れる。


「まぁ、大輔とハルと私は諦めるということで。」


麗奈が励ましてくれようととどめを指しに来る。


「諦めるって麗奈はの食材解析だって魔法っぽくね?」

「うん、でも、食材解析しても魔法発動してる気しなさそうじゃない? 塩何gとかって魔法って言うより化学っぽいし。」

「まぁ、ねぇ。」

「ま、どっちにしろダブりの翻訳よりは役に立つでしょ。」

「おい、晴彦。」

「まぁまぁ、とりあえず当面の問題はこの世界でどう振る舞うかだよね。石井先生のステータスは飛び抜けて凄かったけど、僕たちだって騎士団相当の力はあるようだし。外の監視を見る限り彼らも僕たちを脅威に思っているのは間違いないだろうし。」

「っていっても、圧倒的に情報が足らないから石井先生帰って来てから話聞くしかなくね?」


そう、石井先生はまだこの棟に来ていない。俺達の代表として大臣っぽい人と情報交換中らしい。


「石井先生がいてくれて本当によかったよな。まぁ、ステータスの不公平さは許せないが。」

「おい、大輔、本音が出てるぞ。」

「いいんだよ、俺はどうせモブだし。」

「大ちゃん、それは違うよ。人はみんな自分の人生の主人公なんだから。」


ピエールがサラっと良いことを言ってる気になってるが俺の心には響かないようだ。


「と、とりあえず先生が帰ってきたら情報を共有して貰いましょう。」


それから1時間後、俺達が食堂で晩御飯を食べようとしたとき石井先生は帰ってきた。


「みんな、異世界に来て不安だと思う。でも、先生が絶対みんなを守るから、すこしの間だけ頑張ってくれ。」


石井先生の目には決意の光が宿り、それは暗に『魔王は俺が倒す』と、言っている様に聞こえた。


「俺の直感があれはフラグだと言っている。」


晴彦がこそこそ話しかけてきた。


「馬鹿なこと言うなよ。」


そうは言ったものの、俺の心にも一抹の不安が広がっていくのを感じた。

名前:坂本麗奈

職業:料理人

レベル: 1

力: 15

体力:20

魔力:31

器用さ:39

素早さ:32

スキル:翻訳 食材解析

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