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【不死の力で世界最強】永遠の魔法  作者: ららららら
第1章 カイル
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ドドール洞窟


背にした大剣


鉄の塊とも呼べるほどの大きさと厚みのある剣を、片手だけで悠々と振るうゴードン


その大剣の重さを感じさせない動きから、彼の手にした大剣がハリボテか何かだと、対峙するケビンは錯覚した。


しかし、大剣が風を斬る音には重みがあった。

ブンブンとゴードンが大剣を文字通り振り回す度に、台風のような風圧を肌で感じ、風が斬り飛ばされる音が響く。




「まさか・・・こんなところでお前を見つけるとは、ナ」


ゴードンは歪んだ笑みを見せた。

その微笑みは、炎の槍を生み出して構える臨戦態勢のケビンに向けられており、対するケビンはゾワリと肩を震わせる。

思わず寒気を感じるほどの憎悪が、ゴードンからケビンへ向けられていた。


10年以上も経過しても、決して色褪せることのない黒い憎悪

それがゴードンの中で渦巻いているようだ。



「か・・・かっかっかっか・・・男に愛されても嬉しくねーな」


ケビンはぎこちなく笑う。

飲まれてはダメだと自分に言い聞かせ、怯える心を奮い立たせるためか、大きく息を吸い込む。

そして、吸い込んだ空気を勢いよく吐き出すと同時、手にしていた炎の槍をゴードンへ向けて投擲する。



一瞬だけ、バチっと音が響く。

すると、ケビンが投擲した炎の槍が花火のように四散する。



「・・・っ、まだまだぁ!!」


ケビンは両腕を左右に広げる。

その広げた腕の先の手を大きく開くと、手のひらの先には燃えたぎる炎の玉が虚空から姿を現す。

右の手を振りかぶり、続けて左手を振りかぶる。

さらに右手、さらに左手と交互に左右の手を振りかぶっていく。

そのケビンの動きに合わせて、次々と炎の玉が、ケビンからゴードンへ向かって放たれていく。



しかし、ケビンから放たれた炎の玉がゴードンへ届くことはなかった。

ゴードンの少し前で、バチバチと音が響き、次々と炎の玉が花火のように四散していく。



「うらぁ!!!まだぁまだぁああ!!」


ケビンは大声で叫ぶ。

腕の勢いを早め、炎の玉による弾幕を濃くしていく。



「くはっ!・・・」


そんなケビンの様子を嘲笑するように吹き出すゴードン

自分の根底にある恐怖から目を背けるように大声を出し、炎の玉を無心で乱射するケビン

彼の姿が滑稽にでも見えるのだろう。


相変わらず、ケビンが放った炎の玉がゴードンに届くことはなかった。

それどころか、ゴードンの周囲の空間が、微かに紫色に帯びて見え始めていた。

時折、バチバチと稲妻のようなものが走っている。



「ケビン・・・全力でぶっ殺してや、ル!!!!」


ゴードンはそう叫ぶと同時、片腕で持っていた剣を空へ向かって大きく振り上げる。

そして、ギロリとケビンを睨むと、振り上げた大剣を、今度は勢いよく振り下ろす。



「天雷!!!」


ゴードンがそう叫ぶと同時に、空から紫色の稲妻がケビンへ向かって走る。

"龍殺し"と異名を持つゴードンの必殺技であり、文字通り、龍をも殺す技である。



ーーゴロゴロと雷鳴が轟く頃には、周囲は紫の閃光に覆われていた。



「器はゴミでも、中身は上位精霊、カ」


閃光が晴れると同時、ゴードンはそう呟く。

自身の放った稲妻の先の地面は真っ黒に焦げ付いており、その中央にはケビンが倒れている。



「が・・・がはっ!!」


ケビンにまだ息はあるようだ。

しかし、彼の全身にはひどい火傷があり、体のほとんどが真っ黒に焦げていた。


まだ生きている様子のケビンを見て、どこか嬉しそうにゴードンは笑う。

しかし、その笑みは嗜虐心に満ちていることが一目で分かるほどの歪なものであった。



「イフリートに助けられた、ナ」


ゴードンはそう呟くと、手にした大剣をゴルフクラブのようにして振りかぶる。

そして、地面に伏せているケビンの顔面に狙いを定めると、まるでゴルフの玉を打つようにして大剣を振るう。



「がっ!!」


顔面を穿たれたケビンは大きく顔を打ち上げられる。

そのままグルンと一回転すると、うつ伏せになって地面へ落下していた。



「ご・・・ほっ!」

「簡単に殺してやると思う、ナ」


続けて、先ほどと同じように、ゴルフの玉を打つようにして大剣を振り払うゴードン

今度は、ケビンの腹を穿ち、への字になって打ち上げられるケビン


そのまま、再び地面へうつ伏せに落下する。



「がっ・・・げほっ・・・ごほ・・・がは・・・」


口から血を吐き出しつつ、酸素を求めて呼吸するケビン

地獄の苦しみであることは、ケビンの悲痛な面持ちから察するに余りあるだろう。


そんなケビンの表情を見て、さらに歪んだ笑みを深めるゴードン



「この日を・・・俺はどれだけ待ち望んだこと、カ」


空を見上げ、まるで神に感謝するように目元を潤わせるゴードン

復讐を果たす機会を授けられたことに感謝の念を抱いているようだ。


そんな油断し切ったゴードンへ向けて、ケビンが最後の力を振り絞る。



「・・・地獄へ・・・行け・・・ゴードン!!」


そう叫ぶと同時、ケビンの体は真っ赤な光に覆われる。

そして、ケビンから強烈な赤い光が放たれると同時に、爆音が村に響くこととなった。




ーーーーーーーーーーーーーー




ドドール洞窟


ほぼ全体的に氷に覆われた洞窟なのだが、その地の底には煮えたぎるマグマが流れている。

そのことから灼熱と凍結の洞窟と言われており、上層は商人や一般人でも通れるほどの整備された場所なのだが、地下に進むにつれ危険度は増していき、最下層ともなれば上位の冒険者でも危険な場所である。


その危険度の原因は、ドドール洞窟に住う魔物が原因だ。

灼熱と凍結の特有の環境が、地の底の魔物に独特の進化を促しており、ここでしか生息していない種族が存在している。

幸い、特有の環境で暮らす魔物が上層へ現れることはほとんどない。

しかし、稀に、地上の環境にも適応を始めた種が、洞窟の外へ姿を見せることもあり、周辺の生態系を大きく乱す原因となることもあった。


その対策には、最上位の冒険者が駆り出されることもあるほどだ。


そして、カイル達が、村から直接依頼を受けていた魔物討伐

その対象の魔物が、まさに、地上の環境に適応し始めた種族なのであった。

そのことは、カイルはおろか、ケビンやライクですら気付いていなかった。




ーーまるで氷に閉ざされているような景色の中、ガルウェインが開けた場所を見渡す。

周囲は深い氷に覆われており、青一色のような景色だ。

しかし、ガルウェインが見渡す場所だけ、景色が真っ赤に染まっていた。



「・・・全滅している」


ガルウェインは食い散らかされた跡を見渡す。

骨や肉は一片も残されていないのだが、鎧や剣などの武具だけは散乱している。

過食部だけを綺麗に食べ尽くしているようだ。



「これは・・・」

「やられているでヤンス」


ガルウェインに続いて広間へやってきたのはカイルとハクムだ。

2人もガルウェインと同じように真っ赤な景色を見渡していた。



「・・・シャアル殿の亡骸はないな」

「亡骸も何も、一片も残されてないでヤンスよ?」

「いや、シャアル殿は一般の兵士と違う武具を纏っている。それがないと言うことは、無事に逃げられたのかもしれん」


地面で散らかっている武具は、どれもボルボトスの鮮血不死兵が纏っているものであった。

強者として有名な軍団が、こうも無惨に全滅している。

つまり、この凶行を行なった相手は、並々ならぬ相手であるということだ。



「・・・さっきのやつらですか?」

「いや、流石にゴードンやカシューと言えど、鮮血不死兵をこうも一方的に倒すことは無理だろう・・・それに、この光景・・・人ではなく魔物によるものだろう」


ガルウェインの言葉を聞いて、カイルはハッとする。

言われてみれば、肉片すら残されていないのだから、人間よりも魔物の仕業である可能性が高いのは当たり前だ。


「魔物・・・」

「地下のやつの臭いがするでヤンス」


「地下?」

「何だと!?」


ハクムの言葉に、ガルウェインが大きく反応していた。



「はいでヤンス!!地下から出てきたやつがいるでヤンスよ!!」

「場所は分かるか!?」

「・・・まだ洞窟の中にいるでヤンスが・・・何かを追いかけているようでヤンス!!」


ハクムの言葉に、ガルウェインは一瞬だけ怪訝な顔をする。

そして、ハッとしたガルウェインは、いきなりハクムの肩を掴む。


「ななななな!何をするでヤンスか!?」

「その魔物はどっちにいる!?」

「お、追いかけるつもりでヤンスか!?」


「その魔物が追っているのが、シャアル殿である可能性があるのだ!!」

「そ、そんなこと言われてもでヤンス!!軍団が全滅しているなら、もう戦力にはならないでヤンスし、関わるのは危険でヤンスよ!!」

「貴様!!見殺しにするつもりか!?」


「こっちは、命懸けで助ける義理はないでヤンスよ!?」


「が、ガルウェインさん!落ち着いてください!」

「・・・む、落ち着いてはいられん!」

「そのシャアルさんは大切な方なんですか?」


「・・・」


カイルの言葉に、ガルウェインは言葉に詰まる。

その反応からして、話すことのできない事情があることは分かる。

そして、カイルの言葉に概ね肯定なのも理解できる。



「簡単にでも説明してください」


カイルは黙り込むガルウェインの瞳を真っ直ぐに見つめる。



「・・・私の家族のようなものだ」

「家族?」


「ああ、血のつながりはない。しかし、彼女の母親から、私はシャアル殿を託された。護ってほしいと・・・そう託されたのだ」

「そ、そんなこと、あっしらには関係ないでヤンスよー!」


ハクムはそう切り捨てるようにガルウェインへ言い返す。

しかし、カイルはそういうわけではないようだ。



「・・・家族」


言葉を噛み締めるようにして吐き出すカイル

そんな彼の姿を怪訝そうに見つめるのはハクムだ。



「カイル様?」

「・・・わかりました。ガルウェインさん、協力します」

「カイル様!?」


「良いのか!?相手は・・・最上位の魔物だぞ」

「急ぎましょう・・・大切な人なんでしょ?」


「あ、ああ・・・!!」

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