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【不死の力で世界最強】永遠の魔法  作者: ららららら
序章 垣根の上に立つもの
9/92

戦闘



家のように大きなブラックウルフ「ラドン」

デルガビッズの力の極一部と契約した魔物であり、普通のブラックウルフとは体格も知能も一線を描く存在へ昇華されていた。


ただのブラックウルフ1体なら圧倒できるケビン

しかし、相手がネームドと呼ばれる契約者の魔物であれば、話は別であった。




「・・・ぐがっ!!」


ラドンは拳を振り払う。

その拳に叩きつけられたケビンは、空中をグルグルと回転して、打ち付けられた衝撃を流して着地する。

そして、着地すると同時に、ケビンは炎の槍をラドンへ受けて放つ。


炎の槍は目にも止まらぬ速さでラドンへ向かう。



「爆ぜろ!!サラマンダー!!」


ケビンが叫ぶと同時、飛翔する炎の槍は、ラドンへ向かう途中で90度に進行方向を上部へ変える。

そして、上空まで昇った炎の槍は、空中でピタリと静止し、大きな音と共に破裂する。


破裂した炎の槍から、炎の雨がラドンに降り注ぐ。

ラドンと共に、一面を業火で埋めるケビン


しかし、ケビンは仕留めたとは思っていない。

燃え盛る炎を前にして、再び炎の槍を生み出した。



「・・・なかなかの精霊だ」


業火の中からラドンの声が響く。

そして、パーっと風が吹き荒れると、森を焼いていた炎が一気に吹き飛んでしまう。


「デルガビッズは風と炎の邪神、その眷属たる我に炎は効かん」

「・・・さて、どうかな?」


ケビンは、ラドンの言葉に笑って応える。

まだ何かを隠している素振りを見せていた。


確かに、ケビンの精霊の属性は「火」だ。

火の中位精霊であるサラマンダーとケビンは契約をしていた。


しかし、火属性ではなく、火そのものであるデルガビッズ

その眷属であるラドンには、火属性攻撃の通りが悪いことはケビンも理解していた。



・・・それを表に出す必要はない。

ハッタリはかましてかまして、かましまくる。

そのハッタリの一つでも通れば、そこに突破口が見えてくる。

冒険者時代のケビンの窮地を救ってきたのは「ハッタリ」であった。




そんなケビンの態度を鼻で笑うラドン


「ふん、ここまで来て、その言、素晴らしき勇気だ」

「ハッタリだと思ってんのか?」


鼻で笑うラドンを、ケビンは鼻で笑い返す。


「・・・主を待たせるのは忍びない。終わりにしよう」

「簡単に終わると思うか?」

「お主に地獄の炎を見せてやろう」


ラドンはそう言うと、大きな腕を空へと振り上げる。

そこには、黒い大きな炎の塊がパッと現れた。


まるで、闇そのものが炎のカタチをして揺らめいでいた。

その黒い炎の塊を見たケビンの額には汗がブワッと湧き出てくる。



「サラマンダー・・・全開だ!!」


咄嗟に、ケビンは両手を開いて目の前に突き出す。

その先には、バスケットボールサイズの炎の玉が現れた。

生み出された炎の玉は、だんだんと膨らんでいく。


ケビンの背丈よりも大きく膨らむと、その炎の塊は蛇のような姿を描き始めてきた。



「・・・無駄なことを、デルガビッズの力、その身で味わえ」


ラドンがそう呟くと同時に、黒い炎がケビンへと放たれる。

それを迎え撃つ格好で、ケビンは蛇の姿をした炎を放つ。





**********





微かに赤く照らされている森の中を、1人の少年が駆けている。

森の中を走ったせいか、泥だらけの格好をしていた。

彼が向かう先は、赤く煌めいていた場所だ。



・・・嫌な予感がする。




カイルはどこか焦燥感に駆られていた。

ケビンの身に何か起こったのではないかと思っている。




・・・あれは火?

誰かが火を放っているのか。




カイルは森を赤く染めている場所へ注視する。

そこに、何となくだがケビンがいるような気がしていた。





ーー森を赤く照らす場所を目指して駆けるカイル

その背後から1体のブラックウルフが飛びかかる。


木々の隙間に隠れていたようであり、『夜目』のおかげで暗い森の中でも視界が良好なカイルだが、潜んでいるブラックウルフには気付けないでいた。



「ガウッ!!」



「がっ!?」



左肩から左半身を飲み込まれる勢いでブラックウルフに噛みつかれるカイル

見事に奇襲を許してしまっていた。



ーーピローン♪



ーーー手札ーーー

『迅速』

『迅速』

『黒狼牙』

『黒狼爪』

『黒狼爪』


ーーーーーーーー




「がぁぅ!!・・・や・・・られ・・・」



カイルは手札からカードを放ち反撃を試みる。

しかし、左半身を丸呑みされる勢いで噛みつかれているため、うまく体を動かすことができないでいた。




「グゥウウウウウ!!」


唸り声を轟かせながらも、ブラックウルフはカイルの左半身を噛みちぎる。

血肉だけではなく、臓器や骨がぶち撒けられると、カイルの目はグルリと白目を向き、そのまま地面にバタリと倒れてしまう。


ピクンピクンと残った手足は痙攣している。

そんなカイルをブラックウルフは見下ろしていた。

その目には、標的を打ち倒したという確信が窺える。



やがて、カイルがピクリと動かなくなり、周囲を真っ赤に染めている血の勢いも弱まっていく。

それを確認したブラックウルフはクルリと背後へ振り返る。




ーーーインフォメーションーーー

・『不老不死』を発動しました。

・『超再生』を発動しました。



ーーーーーーーーーーーーーーー




「・・・はぁ・・・はぁ・・・」


カイルは再生を終えるとスッと立ち上がる。

前後の記憶が曖昧であったが、目の前に去ろうとしているブラックウルフの背中を見つけると、彼の脳裏には一気に記憶が戻っていく。



「ガウ?」


背後に何かの気配を察したブラックウルフ

そのまま背後へ振り返ると、自分が噛みちぎった命が蘇っていることに気付く。



「ガウ・・・?ガウガウッ!!」



ブラックウルフは背後でカイルが復活していることに気付くと、すぐに地面を蹴り上げて、カイルへと再び噛みつこうとする。



ーーーインフォメーションーーー

・スキル『黒狼爪』を発動しました。



ーーーーーーーーーーーーーーー





カイルはスキルを発動させて、腕を狼のような腕へ変貌させる。

そして、向かってくる狼を腕に噛み付かせた。

スキルが発動している腕は、強度が遥かに増しているため、簡単には噛み千切られることはない。



カイルの変貌した腕を必死に噛みちぎろうとするブラックウルフ

カイルはすでに慣れた手つきで、片方の腕の爪で噛み付いている狼の頭部を貫く。

豆腐のようにススっと牙が頭部に入ると、ブラックウルフは悲鳴をあげることもなく、地面にバタリと倒れ込む。




ピローン♪



ーーーリザルトーーー

・ブラックウルフを討伐しました。

・ブースターパック『森の黒き狼』を1パック入手しました。


・パック開放結果

NEW!『黒狼心』

レアリティ:スーパーレア

レベル:☆☆☆

タイプ:特殊装備

属性:なし

発動条件:『黒狼爪』と『黒狼牙』が手札にある。

効果:ブラックウルフへ変身できる。




NEW!『ウインド・カッター』

レアリティ:ノーマル

レベル:☆

タイプ:攻撃

属性:風

発動条件:なし

効果:風の刃で相手を切り裂く。




NEW!『森の黒き狼』

レアリティ:スーパー

レベル:☆☆☆

タイプ:補助

属性:なし

効果時間:なし

発動条件:なし

効果:『黒狼』と名の付く任意のカードを、デッキから2枚まで手札へ加えることができる。



『力+1』

『敏捷+1』




・入手経験値

5


⭐︎⭐︎⭐︎レベルアップ⭐︎⭐︎ ⭐︎

レベル3→レベル4


・入手ゴールド

3


ーーーーーーーーーー






「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・ゴクッ・・・はぁ・・・」



カイルは呼吸を荒げながらも、目の前で倒れているブラックウルフを見つめる。

そして、自分の両手を開いて、その掌をジッと見つめていた。




「・・・僕が・・・殺したのか」


カイルの手はプルプルと震えていた。

彼はもちろん人を殺したことなどない。

それどころか、虫すらも殺した記憶なんてない。

もちろん、無意識に地を這う虫を踏み潰しているかもしれない。


だけど、他の命を自らの意思で奪うのは、この森が初めての経験であった。



「・・・相手は人間じゃない」


カイルは自分を説得するように呟く。

しかし、段々と動悸が激しくなってくる。

頭がクラクラとしてくると、立っていられなくなり、膝を地面へと降ろす格好となる。



「相手は・・・人間じゃない・・・やらなきゃ、僕が死んでた」



カイルはそう呟きながら、草と草が擦れる音を耳にする。




ーーピローン♪


ーーー手札ーーー

『迅速』

『迅速』

『黒狼牙』

『ウインド・カッター』

『黒狼爪』


ーーーーーーーー




カイルの脳裏にメロディが響く。

そして、物音のした方向へカイルが目線を向ける。


そこには小さなブラックウルフがいた。

物音は敵の気配であり、敵の気配に反応して、脳内でメロディがなると、目の前に手札が現れる。



「グルルルルル!!」


小さいとはいえ、それでも普通の狼と同じぐらいの大きさはある。

唸り声を響かせながら、自分の同胞を殺したカイルへと殺意を向けている。




「子供・・・?」


カイルは他のブラックウルフよりも小さいことに気付くと、思わず気を緩めてしまう。

その隙を、子供のブラックウルフは見逃さない。



「ガウッ!!」


急に飛び上がると、カイルの喉元を狙ってブラックウルフは飛び上がる。

しかし、子供のブラックウルフが顎を力一杯閉めた時には、そこにカイルの姿はなかった。


ーーーインフォメーションーーー

・スキル『迅速』を発動しました。



ーーーーーーーーーーーーーーー




「・・・?!」



歯と歯が勢いよく当たる音が響く。

噛み付いたはずのカイルがおらず、口に肉の感触がないことに怪訝な表情を示すブラックウルフの子供


口を切ったのか血が口から溢れていた。



ーーーインフォメーションーーー

・スキル『ウインド・カッター』を発動しました。



ーーーーーーーーーーーーーーー




そんな子供のブラックウルフへ風切り音が響く。

上半身と下半身が真っ二つに分かれて、ドサリとそれぞれがバラバラになって地面へ倒れる。



ドロドロとしたもので森の地面を真っ赤に染めながら、子供のブラックウルフは息絶えていた。


それをカイルは少し離れた場所から呆然と見つめていた。



「・・・仕方ない。仕方ないんだ。こうするしか・・・ない・・・んだ。」


カイルは深呼吸しながらも呟く。



「お前らだって・・・僕も・・・ドシルも・・・殺そうとしたんだ。だから、こうするしか・・・ない」



そう自分に言い聞かせるように呟くカイル

その頬にはスッと一筋の涙が溢れていた。



他者の命を奪ったことに対する罪悪感で胸を焦しながらも、カイルの心の中の片隅には安堵があった。

魔物とはいえ動物の命を奪ったことで涙することができる自分に安堵していた。

自分が得体の知れない何かになったのではないかという疑問が晴れて安堵していた。






ーーーリザルトーーー

・ブラックウルフを討伐しました。

・ブースターパック『森の黒き狼』を1パック入手しました。


・パック開放結果

『迅速』

『黒狼爪』

『ウインド・カッター』

『敏捷+1』

『夜目』




・入手経験値

3


・入手ゴールド

1


ーーーーーーーーーー







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