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【不死の力で世界最強】永遠の魔法  作者: ららららら
第1章 カイル
29/92

魂喰らい




ーーーインフォメーションーーー

・スキル『迅速』を発動しました。

・スキル『眷属契約』とリンク発動します。

・スキル『迅速』の効果が上昇しました。


ーーーーーーーーーーーーーーー



『迅速』によって強化を受けたカイルは物凄い素早さでユグへと飛びつく。

その小さな両肩を掴んで地面へと押し倒すと、素早く自分の足でユグの足を地面へと押し付けていた。

ジタバタと暴れるユグだが、地面に押さえつけられているため動けない様子だ。



「がぁ!!」

「大人しくしろ!!」


「てめェ・・・こんな幼女を押し倒すとは!!とんだァ性癖だなァ!?」



「ユグちゃんから出て行け!」



カイルの叫びに対して、ユグはその可愛らしい表情を邪悪に歪める。



「何が楽しい!?」

「けけけけけけけけ!!おめェは馬鹿かッ!?」

「っ!?」



嗜虐心に染まった笑みを見せるユグ

カイルはユグの顔から下に視線を動かしていくと、彼女の腹部から緑のクネクネした剣が生えており、その剣先がカイルの腹部を貫いていた。



「ぐ・・・これぐらい・・・で・・・」


カイルは喉の奥から込み上げてくる熱いものを吐き出す。

それがユグにかからないようにと、顔を横に背けていた。



そんなカイルの口と腹部から吹き出す血の量を見て、剣をねじ込むユグの表情はさらに愉悦に染まっている。



「おらっ!!叫んでいいんだぞ!!我慢なんてすんじゃねーよ!!」


ユグはカイルの顔を愉しそうに見つめながら叫ぶ。

そして、彼女の腹部から現れた剣がグリグリとねじ込むようにしてさらに深く刺しこまれていく。




「けけけけけけけ!!てめェ!どんだけ悪人なんだァ!!この剣がてめェを殺せて嬉しいって泣いてんぞォ!!」



ユグの中の精霊が高らかに笑う。


「うるさい・・・いいから・・・とにかく・・・ユグちゃんの中から出てげぼうぅ」


カイルが血を吐き出しながら言うと、そんな彼の顔がだんだんと風船のように膨らんでいく。



「ごぼぅ・・・あぶ・・・あぶる!?」

「けけけけけけけけ!!!肉体だけじゃねェ!!てめェの魂ごと・・・ぶっ壊してやんぞォ!!」



ユグが叫ぶと同時、カイルの顔だけでなく、その全身が一気にプクッと膨らんでいき、やがて空気を入れ過ぎた風船のように破裂した。




ーーーインフォメーションーーー

・『不老不死』が発動しました。

・『超再生』が発動しました。



ーーーーーーーーーーーーーーー





「っ!?」



カイルが目を覚ます。

すぐに地面から起き上がると、彼の目の前にはユグの小さな背中があった。


そして、カイルが再生した気配を察したのか、すぐに険しい顔のユグが振り返る。



「・・・ふざけんなァ、こらァ」


可愛らしい容姿を驚愕に染めていた。

木っ端微塵に肉体と精神を粉砕した人間が元通りに再生している。

異世界においても異常な光景である様子だ。



「何がどうなってやがんだァ!!」


ユグが叫びながら腕を振り上げる。

すると、地面から真っ黒なツタが無数に姿を見せ、再生を終えたカイルに向かって雪崩のようになって押し寄せてくる。



「っ!?」


目覚めたカイルだが、まだまだ晴れない思考で目にしたのは無数のツタ

先端は槍のように鋭く、貫かれれば大怪我は必至




「ぐ・・・!」



刹那の間、カイルは判断する。

いちいち、再生力に頼っていては、その合間にユグと精霊に逃げられる可能性がある。

そう判断したカイルは手札を眺め、想定していたカードを組み合わせて放つ。




・・・これだ!!




カイルの視線の先にあるカード

それは、死んでいる間にドローしていた"防御"カードだ。




ーーー『イージス・ファイア』ーーー

レアリティ:スーパーレア

レベル:☆☆☆☆☆☆

タイプ:防御

属性:火

発動条件:☆3以下の火属性魔法を任意の枚数だけリリースする。

効果:セットゾーンに『カウンター・ファイア』をリリースした枚数分だけセットする。



ーーーーーーーーーーーーーーーーー






ーーーインフォメーションーーー

・スキル『ファイア・ボール・マシンガン』を発動しました。

・スキル『紅の証人』を発動しました。

・スキル『ファイア・ボール・マシンガン』の発動条件を達成しました。

・手札に『ファイア・ボール』トークンを5枚生成しました。

・スキル『イージス・ファイア』を発動しました。

・手札から『ファイア・ボール』トークンを5枚リリースします。

・手札から『ファイア・ボール』を1枚リリースします。

・セットゾーンに『カウンター・ファイア』を6枚セットしました。

・スキル『紅の証人』が発動しました。

・墓地から『ファイア・ボール』を1枚手札に加えます。



・スキル『カウンター・ファイア』が自動発動しました。



ーーーーーーーーーーーーーーー




迫りくる黒いツタの雪崩を前にして、カイルの目の前に炎の玉が浮かぶ。

それはパンっと破裂すると、小さな無数の炎の棘となって散弾のように向かってくるツタへと飛翔していくと、迫る害意を焼き尽くしていく。



「てめェの防御力だけはよォ!!褒めてやんぜェ!!だがなァ!!その魔法!!いつまで続けられっかなァ!?」


「・・・っ!?」




ーーーインフォメーションーーー

・スキル『カウンター・ファイア』が自動発動しました。

・スキル『カウンター・ファイア』が自動発動しました。



ーーーーーーーーーーーーーーー



「オラオラオラオラァ!!」

「・・・」




ツタの勢は止まらない。

地中から止めどなく溢れるようにして姿を見せる。


カイルの目の前に、二つ目と三つ目の『カウンター・ファイア』が浮かびあがると、彼の意思を問わずにツタの迎撃を始める。

炎の棘は、カイルの前方だけでなく、地中や上空、背後にも飛び散っていく。




「ちっ!!ことごとく・・・!!」


ユグは下唇を噛み締めながらカイルを睨む。

カードが自動的に迎撃しているだけであり、死角からの攻撃に反応し、フェイントに騙されないだけである。

しかし、そんな事情を知らない精霊からすれば、カイルは巧みに魔法を操り、的確に迎撃しているように見えるだろう。





ーーーインフォメーションーーー

・スキル『カウンター・ファイア』を自動発動しました。


・通常ドロー

スキル『黒狼爪』を手札に加えました。



ーーーーーーーーーーーーーーー




カイルの目の前に四つ目の『カウンター・ファイア』が現れる。

彼の前後左右、上下から迫りくるツタへ的確に炎の棘が飛ぶ。



・・・くそっ!!

あのカードが引けない…




カイルは手札を覗く。

通常ドローで状況を打開するカードを引くのを待っていた。

どこか虚空を見つめるカイルの目に焦りの色がうかがえる。


それを、対峙する精霊は見逃さない。

カイルの焦燥を、彼の限界が近いものだと思っているようだ。




「けけけけけけけっ!もう限界ってかァ!?てめェの魔法力は誉めてやるぜェ!!人間ッ!!!」


ユグは高らかに笑う。

すると、さらにツタの激しさは増していく。



ーーーインフォメーションーーー

・スキル『カウンター・ファイア』が自動発動しました。

・スキル『カウンター・ファイア』が自動発動しました。



ーーーーーーーーーーーーーーー




最後の『カウンター・ファイア』を発動させたカイル

続け様に迫るツタに対して、炎の玉が浮かび上がることなく、そのまま鋭利な先端がカイルの首元を目指して迫り来る。



ーーーインフォメーションーーー

・スキル『パリィ』トークンが発動しました。


ーーーーーーーーーーーーーーー



1本だけ風の刃が切り裂いて阻む。

しかし、迫っているのは1本だけではない。


まるで雪崩のようにして、無数のツタがカイルを飲み込むように迫っていた。




「がっ!?」



しかし、ツタはカイルを飲み込むことも、貫くこともせず。

彼の体をギュッと締め上げていた。



「ぐ・・・あ・・・」


無数のツタに飲み込まれていくカイル

気付けば、彼の顔だけが、ツタの中から姿を見せるだけになっていた。


そんな芋虫のようにツタに包まれるカイル

彼の眼前に、ユグがヌッと地面から生えるようにして現れた。



「・・・このまま殺しても復活すんだろォ?なァ?」


ガンつけるようにカイルを睨むユグ

そんな彼女へ、カイルは毅然とした態度を貫いていた。



「ユグちゃんから・・・出てけ!!」

「けけけけけ・・・てめェの再生力は厄介だァ」


「出てけよ!!今すぐ!!ユグちゃんから出てけ!!」


「魔力をかなり使うがァ・・・てめェはこうでもしないと殺せそうにねェからな・・・」

「出てけ!!!ユグちゃんを苦しめ・・・っ!?」


カイルの中で得体の知れない恐怖が生まれる。

目の前のユグに宿る精霊から発せられるナニカは、生命の根源たる恐怖を呼び起こすものであった。



スッとユグはカイルの額に手を当てる。

そして、ニヤリと歪な笑みを浮かべた。



「・・・てめェの魂を滅すんだァ!!壊すんじゃねェ!!消すんだよォ!!分かるかッ!?」

「が・・・あぁああああ・・・あぁあぁあああああああああ!!」


「けけけけけけけけけけ!!!いい声だァ!!!けけけけけけけ!!!」



ユグがそう叫ぶと同時、カイルは何かを吸い出されるような感覚がした。

まるで自分の存在そのものが、ナニカに飲み込まれていくような、そんな恐怖だ。




「あがああぁあああぁあああああっ!!!」

「後悔してもおせーぞォ!!」




ズルズル




「がヵぁああああああああっ!!」




ドロドロ





存在そのものが飲み込まれていく。

ズルズルとドロドロと全てが飲み込まれていく。



だんだんと自分が小さくなっていく感覚がする。

グルグルと螺旋を描き、小さくなっていき、最後には消滅する。


そんな感覚がしていた。




・・・終わる。

僕が、終わる。




ユグの中の精霊が放った魔法

それは魂の消滅だ。


カイルの肉体に不死性を感じた精霊は、カイルの肉体ではなく、その魂そのものを滅することにした。

そうして放った『魂喰らい』は、対象の魂を地獄へと招くものである。




・・・溶けていく。



・・・溶けていく。



・・・僕が溶けていく。



・・・溶けて、混ざる。



・・・グルグルと混ざる。



・・・溶けて、みんなと、混ざる。




・・・ダメ?


・・・僕はダメ?



・・・なんで、仲間外れに、する、の?



・・・なんで、僕は、ダメなの?





ーーーインフォメーションーーー

・『不老不死』が発動されました。

・『超再生』が発動されました。



ーーーーーーーーーーーーーーー





「が・・・あ・・・」



カイルはパッと目を覚ます。

相変わらず、その身はツタに囚われたままであった。



「ふ、ふざけろッ!!」



カイルの目の前では、慌てふためいているユグがいる。



「てめェ!!どうなってやがんだァ!!なんで、死なねェ!!!魂を喰ってやったんだぞ!!」

「・・・」



カイルの意識はだんだんとハッキリしてくる。

手足は動かないが、震えるような恐怖は抱いたままだ。



「が・・・ごほっ!」



あまりの恐怖の余韻により、カイルは口から胃液を吐き出す。

顔は青褪めており、精霊の放った『魂喰らい』は、カイルの肉体と魂に対するダメージは皆無だが、その精神には深い傷を与えていた。



「うっ・・・う・・・」


カイルはカチカチと歯を鳴らしている。

"死"そのものを体感したような心境だ。


しかし、そんな恐慌状態となったカイルの異変にすら気付けず、ユグの中の精霊は後退りする。



「あ、ありえねェ」


相手に恐怖を抱いているのはカイルだけでない。

ユグの中の精霊もまた、カイルに対して得体の知れない恐怖を抱いていた。



「ありえねェ!ふざけんなァ!!てめェは何だ!!何だ!!!???」



とにかく騒ぎ立てることで恐怖を紛らわそうとする精霊

そんなユグを前にしても、なお、カイルはカチカチと歯を鳴らし、青褪めた顔で虚空を見つめていた。




・・・怖い。

怖い、怖い、怖い、怖い。


も、もう嫌だ。

あんなのは嫌だっ!!


死にたくない!

僕は死にたくない!!


嫌だ!!嫌だ!!




根源たる死に触れたカイルは震える。

今までの彼であれば、死に対して恐怖も絶望もない。

例え、その魂そのものが死に触れようとも、ここまで恐怖することもなかった。




「怖い・・・」



カイルは震える。

脳裏に浮かぶのは、この世界に来てからの1年だ。

村で過ごした1年だ。


ケビン、サラ、お爺さん。

ユグ、村のみんな。



失いたくない。


怖い。




ーー怖い。




「怖い?」


「あん!?」




ーー怖い。




「怖い・・・?」




ーーカイル兄ぃ、怖い、助けて




「ユグちゃん?」



カイルは気付く。

怖いと思っているのは自分だけではないことに。

ずっと助けを求めている妹の声に。




「ユグちゃ・・・ん」



カイルの目の前にいるのはユグだ。

理解不能なものを前にして怒号を飛ばしているユグだ。

しかし、そこには、微かな恐怖の色があった。



それは、ユグに憑依している精霊の恐怖ではない。



「てめェ・・・何もんだァ!?答えろ!!人間じゃねェだろ!?」

「・・・」



「おい!!聞いてんのかァ!?」

「ユグ・・・ちゃん・・・今・・・助けるから、ね」



ユグから恐怖を感じる。

それは、大切なものを失う恐怖

それは、居場所を失う恐怖



「僕と・・・同じだ・・・ね」



カイルが抱いている恐怖

それは、死の恐怖が吹き飛ぶほどの恐怖

それは"家族"を失うこと。

ユグを失うこと。



「・・・失いたくない」

「てめェ!!さっきから何をほざいてやがるッ!?」



カイルの震えが止まる。

怖くないわけではない。

死ぬことも、失うことも。


だけど、今、カイルの中で勇気が勝る。

ユグから感じた失う恐怖

その裏を返せば、カイルを大切に想ってくれているということだ。

それがカイルの中で力へと変わる。



失いたくない意思

失わないための力


その両方を、今のカイルは兼ね備えている。




「・・・行くぞ」

「あんッ!?」



・・・時間稼ぎ?

ダメだ。

すぐに助けないと、ユグちゃんが、苦しんでいるんだから。




「お前はすごい精霊なんだろ?」

「いきなりどうしやがったッ!?」



「耐えろよ?ユグちゃんに怪我、させんなよ?」


「あんッ!?」



カイルは自分を包むツタを焼き切りつつ、ユグに取り憑いている精霊の魔力を削ることにした。



「・・・多分、これ、すごくやばい魔法・・・だからな?」

「あんッ!?」




ーーーインフォメーションーーー

・スキル『紅の証人』を発動しました。

・スキル『プロミネンス』の発動条件を達成しました。

・スキル『プロミネンス』を発動しました。



ーーーーーーーーーーーーーーー



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