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【不死の力で世界最強】永遠の魔法  作者: ららららら
第1章 カイル
28/92

精霊戦



ーーピローン♪



カイルの脳裏にメロディが響く。

戦闘開始のゴングと同義であり、彼の目の前には「手札」が浮かび上がる。




ーーー手札ーーー

『ファイア・ボール』

『迅速』

『プロミネンス』

『黒狼爪』

『ライトニング・アロー』


ーーーーーーーー




・・・ダメだ。

このカードじゃ





カイルは手札を眺める。

その中は攻撃系のカードばかりであり、カイルが事前に用意していたカードは含まれていなかった。




・・・時間を稼がないと



カイルは、ユグを精霊から解き放つために、とあるカードを準備していた。

そのカードを手札に加えるまで、とにかく、精霊を逃さないように戦うしかないと考えている。




「その目だァ・・・気に入らねェ・・・俺様にビビっていやがらねェ!」



カイルは宙に浮かぶユグを見つめている。

腰を低く構え、咄嗟の攻撃に備えられるようにしていた。

ある種の怯えているような格好に見えるが、カイルの目に怯えは見られない。

その瞳が気に入らないと、精霊は怒号を放つ。





「っ!?」


カイルは自分の足に何かを感じるとギョッとした表情を見せていた。

地面には、ラフレシアのような花が咲いており、その花びらの上に立たされていた。

ブヨブヨとする花びらの感触は、鳥肌が立ちそうなぐらい気持ちの悪いものである。


カイルが気付かない内に、精霊が彼の足元へ召喚魔法を放つなど造作もないことであった。




「メルルちゃ〜ん!そいつ!喰べていいよォん!!」



カイルの脳裏にユグの声が響く。

同時に、ラフレシアのような植物からドロドロとした黄土色の液体が溢れ始める。


その液体がカイルの足に触れると、湯気が立ち込め始めた。

カイルの靴が一瞬で溶けると、肌を焼き、肉を溶かし、骨を露にさせている。


カイルを拘束しつつ、穏やかに、確実に、彼を葬ろうとしている。




「けけけけけけけけ!わりィィがなァ!せっかく手に入れた聖杯だァ!傷はごめんだからなァ・・・そのまま溶けて死にやがれェ!!」



ユグに怪我をさせたくないのは、どうやら精霊も同じようだ。

カイルを拘束しつつ、穏やかなる死を与えようとしていた。



・・・ね、眠い

これは…やばい



カイルは強烈な眠気に襲われる。

ドロドロと溶かされているのだが、まるで痛みを感じない。

むしろ、どこか心地よさすら抱いていた。



だんだんと意識が朦朧としてくるカイル

飲み込まれるような睡魔に対して、彼の再生力は発揮されない様子であった。




「だ・・・ダメだっ!」


カイルは最後の意識を振り絞って、自分の足元へ向かって手のひらを向ける。




ーーーインフォメーションーーー

・スキル『ファイア・ボール』を発動しました。

・スキル『紅の証人』を発動しました。

・墓地から『ファイア・ボール』を手札へ加えました。


・スキル『ファイア・ボール』を発動しました。

・スキル『紅の証人』を発動しました。

・墓地から『ファイア・ボール』を手札へ加えました。



ーーーーーーーーーーーーーーー





ーーカイルは『ファイア・ボール』を連射する。

1枚のカードを繰り返し利用できているのは、彼が装備フォルダにセットしているカードの効果によるものだ。




ーーー『紅の証人』ーーー

レアリティ:レジェンド

レベル:⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎

タイプ:装備

効果:以下2点

①☆5以下の火属性魔法の発動条件を一部無視できる。

②☆2以下の火属性魔法を発動及びリリースした後、墓地から同名のカードを手札へ加えることができる。


ーーーーーーーーーーーー






ーーカイルは手から小さな火の玉を次々と放ち、地面に咲くラフレシアへと放つ。

花びらが燃え散り、爆ぜる火花がカイルの皮膚をも焼く。


それでも構わないと言った様子で、カイルは自身を焼きながらも『ファイア・ボール』を連射していた。




「て、てめェ!!自分ごと焼きやがるつもりかァ!?」



ユグは慌てた様子で叫ぶ。

その視線の先には、自らの炎で己の肌を真っ黒に焼きながらも、手の平から炎を吐き出し続けている少年がいた。




「・・・きょえええええぇぇぇええっええええ!!」



地中から絶叫が轟く。

耐えかねたラフレシアは花びらを一斉に閉じると、まるで蕾のような格好へとなる。


口から吐き出すようにして、カイルは地面に放り出されていた。

足は骨だけになっており、全身には自分が放った『ファイアボール』の余波による火傷が激しい。


着地したカイルは産まれたての子鹿のようにプルプルとしており、起きあがろうとするがうまく立てないようである。

ガクリとなると、彼はその場で四つん這いになりながらも、目の前で蕾のようになって震えているラフレシアを睨む。



・・・トドメだ!



ーーーインフォメーションーーー

・スキル『ライトニング・アロー』を発動しました。



ーーーーーーーーーーーーーーー



四つん這いのカイルの背中の少し上にバチバチと稲妻が走る。

すると、その稲妻は矢のような姿を描いて、前方にある閉じたラフレシアへ飛翔していく。



「メルルちゃんっ!?あ・・・あああ!!何てことをしやがる!!女の子の顔を焼くなんざァ!!」



ラフレシアの花弁の一つがパンっと破裂する。

それが顔かどうかは分からないが、ユグの中の精霊は悲痛な声をあげていた。



「こっちはドロドロに足を溶かされてるんだから、まだ割に合わないだろ?」


カイルは自分の足を指さしながら言う。

しかし、彼の足はすでに再生を終えており、元通りの姿を見せていた。




「・・・戻れ、メルルちゃん」


精霊が言うと、スッとラフレシアは姿を消す。

そして、ギロリとユグはカイルを睨む。



「てめェ・・・タダで死ねると思うなよ・・・グチュグチュのドロドロの、ギタギタのボコボコにしてやるからなァ!」



怒号を身に浴びつつも、ゆっくりと立ち上がるカイル

そんな彼の脳裏にメロディが響く。



ーーピローン♪



カイルの手札にカードが1枚追加された。

通常ドローのタイミングのようだ。

カイルはユグではなく、手札に加えられたカードへ目を配る。



ーーー『ファイア・ボール・マシンガン』ーーー

レアリティ:レジェンド

レベル:☆☆☆☆

タイプ:補助

属性:火

発動条件:☆1以上の火属性魔法をリリースする。

効果:手札に『ファイア・ボール』トークンカードを5枚加える。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





・・・狙っているカードじゃない。

引けるまで時間を稼ぐしかないか。




カイルはラドンの背でデッキの調整をしていた時のことを思い出す。

カードを40枚以上持っていると、デッキは必ず40枚にしなければならなかった。

要らないカードを無理やり詰め込む他なく、引きたいカードを手札に加え難くなってしまっていた。




・・・とにかく、時間を稼ぐしかない。

あと、最大で15分ぐらいか。



「おらァ!てめェ!!覚悟しとけや!!コラァ!!」



サドラルファは罵声を響かせる。

ユグの顔で、ユグの声で、罵声を轟かせる。

そんな様子にカイルは嫌悪感を露わにする。



「・・・あまりユグちゃんの口で汚い言葉はやめてほしいな」



そのカイルの嫌悪感が気に入ったのか、ユグはニヤリと歪んだ笑みを見せる。

そして、その可愛らしい口から幼稚な言葉を羅列する。



「けけけけけ!!うんこ!!うんこ!!うんこ!!」


「お前、自己紹介が得意なんだな」

「あんっ!?」


「お前がクソ野郎だってよく分かったよ、どうもありがとう」

「けけけけけ・・・いい度胸だ・・・ゴミムシ野郎ッ!!」



ユグは拳を振り上げる。

すると、地中からまるで木の根のようなものが拳のカタチとなって勢いよく生えてくる。

まるでアッパーのようにカイルの顎を打ち上げると、破裂するような音が周囲に響き、血の雨が降り注ぐ。




ーーーインフォメーションーーー

・『不老不死』を発動しました。

・『超再生』を発動しました。



ーーーーーーーーーーーーーーー




「っ!?」



カイルはハッとして起き上がる。

すると、少し先にユグの背中が見えた。



「・・・どうして生きてやがる?」


ユグがギロリと目を見開いて振り返る。

その瞳には理解できないものが映し出されていた。



「が・・・はっ!」


口から血を吐き出し終えると、カイルは手札を覗く。



ーーー手札ーーー

『ファイア・ボール』

『迅速』

『プロミネンス』

『黒狼爪』

『ファイア・ボール・マシンガン』

『パリィ』


ーーーーーーーー



・・・死んでいる間にもカードはドローされるのか。



カイルは手札に『パリィ』が増えていることを確認する。

殺されてから再生を終える前の間、通常ドローのタイミングを逃すことはないようだ。




「どうして生きてやがるって聞いてんだァ!!答えろ!!」


訳のわからないものを前にして精霊はユグの口で叫ぶ。

しかし、カイルは嘲笑う表情を作り、言葉を発する。



「お前のパンチがヘボいからだろ」

「・・・けけけけけけ!!おもしれェ!!」



ーーーインフォメーションーーー

・スキル『パリィ』をセットしました。

・スキル『眷属契約』とリンク発動します。

・スキル『パリィ』トークンをセットしました。


ーーーーーーーーーーーーーーー





ユグはズンズンと肩で風を切りながらカイルとの距離を詰めていく。

そんな彼女を前にして、カイルはバッと走り出す。



「お・・・お?」



ユグの周囲をグルグルと回るカイル

止まっていては的になるという考えだろう。



「てめェ・・・そんな遅い動きでなァ!」



ユグは腕を振り上げる。

すると、カイルの動きに合わせて、彼の目の前の地面が再び盛り上がる。



ーーーインフォメーションーーー

・スキル『パリィ』が自動発動しました。


ーーーーーーーーーーーーーーー



地面から無数のツタが再び勢いよく生えてくる。

ツタは絡み合って拳の姿を描いているが、その拳がカイルへたどり着く前に、風の刃によって阻まれる。



「な!?」


驚いた表情を浮かべるユグ

そんな彼女へ向かってカイルは飛びかかる。



・・・腕力では僕の方が上なはずだ!!




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