02滴 魔女と魔人
途中で説明が長々と入ります
これでいいのか…
「逃げよう!走って!!」
魔女になった私は、彼に手を引かれて走り出す。
その姿は人の形はしているもののバランスが悪く、腕は長く手は大きい。
彼は異形な手を迷うことなく強く握りその場から離れようとする。
「待てアスター! 魔女と共にいるのは危険だ!!」
「ハル爺ごめん! でも俺が見つけたんだ……彼女を最後まで守りたい!」
彼は私を守ると言いどこかに向かう。
「君が魔女に選ばれたんだね……。遅くなったけど俺はアスター、人間だ。色々と混乱してると思うけどついてきてほしい。君は今危険な状態だから安全なところへ行って話がしたいんだ」
コクコクと頷くと彼は嬉しそうに微笑んだ。
開けていた場所が見えなくなるくらいまで走った所に大きな岩が1つ。
彼は周りを見渡し誰もいないことを確認すると一声かけた。
「シオンいるか? でてきれくれ」
誰かを呼ぶと茂みから狼が一匹、目を覚ました時のこともあり一歩後ずさるが様子がおかしい。
こちらを見ると驚いたように目を見開き顔を振り、黒煙に一瞬包まれるとそこには、褐色の肌に黒灰色髪の青年が一人立っている。
人の姿になった狼は、片膝をつき顔を伏せ一言つぶやくと彼と話し始めた。
「魔女様……。アスターどういうことだ?魔女の鼓動は感じたが、魔力が森全体にあふれていてお前と一緒にいるとは思わなかった」
「話は後にしよう。彼女を探しに騎士が森にくるはずだから先に入ろう」
2人が話し終えるとこちらをみてくる。
「あー……その姿はまずいな……。皆が驚くから人の姿に戻れるかな?」
「ゔゔ……、ゔ……(どうやって戻ったらいいか……、喋れない……)」
喋ろうとするがうまく声がでず、濁った音がもれだす。
その様子を見て察したシオンは喋り方と戻り方をを教えてくれた。
「人型の魔人は普通に話せるはずだが……、声を出そうとしないで魔力に思考を乗せればいい。少し意識するだけで言葉は伝わる」
シオンの言う通りに意識してみると自分を覆う魔力を感じた。
「わた……し……は……」
少ない言葉だがそれを聞いたアスター少し驚いたような安堵した様子を見せた。
あまり意識していなかったが彼と出会ってから何も話していなかった気がする……。
自分の状態が把握できず物事が進んでいき、話すという単純なことさえ忘れてただただ流されていたが危険な存在になってしまったことだけは理解できた。
「魔人や魔物は一点魔力の濃い場所がある。それは体の一部かすぐ近くにある『魔核』、第2の心臓のようなものだ。そこに向かって覆っている魔力を流し込めばいい。だが……」
シオンの説明を聞きながら、言葉途中に行動に移す。
先程より強く意識すると頭上に濃い部分が見え、そこに魔力を両手で掬うように持ち上げると自身を覆っていた魔力が吸い込まれるようにその一転へと集まり人の姿へと戻ることができた。
しかしその姿は魔女になる前と違っていて淡い金髪は漆黒に、空のような青い瞳は灰色、肌は白く服は黒いワンピースへと変わっている。
アスターと目が合う。
変わってしまった自身に驚いてる横でシオンは呆れ溜息をついていた。
「話は最後まで聞いてくれ。魔核は急所にもなるんだ、人前で簡単に見せるものじゃない」
人に戻ったことですぐに謝罪はできたがシオンには自分の事なのだから気をつけろと怒られてしまった。
話が長くなりそうなとこで今の状況を思い出したアスターに中に入る事を提案され辺りを見回す。
しかし入ると言っても特別変わったものがなく困惑しているとシオンが岩に手を触れた。
その手から微量の魔力を流し込むと岩は静かな水面のように小さく波打ち他者の侵入を許す入口となった。
「さぁ早く入ろう」
アスターは先に入ると上半身だけこちらに戻し手を差し出してきた。
迷うことなく手を乗せると優しく笑いゆっくりと引き寄せられる。
彼の手から伝わる熱はとても心地よく、懐かしさと心の安寧をもたらしてくれた。
中は薄暗く点々と灯りがついている。
緩やかな階段が続いていて足元に気を付けながら一歩一歩降りていくと光が見えた。
アスターは走り出し、光の前でこちらを見て片手を伸ばす。
「ようこそ! 魔人の住処へ」
光に目を細めながらゆっくり近づくと中には小さな町がり天井は高く、切り取って張り付けたような晴天が箱庭のような世界に広がっていた。
小さくも美しい世界に感動しているとざわめきが耳に入った。
ふと下を見ると人々が片膝をつき、誰かの帰還を祝福しているようで2人を見るが、にこやかに笑っていて余計に分からなくなるだけだった。
「長老に会いに行こう! そこで今までの事、これからの事を話そう。皆にも君を紹介したいんだ」
彼に手を引かれて走り出す。
階段をおり真っすぐに一番大きい建物へと向かう。
アスターは走りながら皆にただいまと声をかけ、その声から人々の緊張感を和らげようとしているようにみえた。
建物の前に来ると一人の老人を中心に横一列に並んだ人達が迎えてくれた。
「魔女様……、ご誕生心待ちにしておりました」
この一言で自分に対しての礼だと気づき動揺で慌てて反応してしまった。
「違うんです! 私は何も分からなくて……今もどうしていいか分からないんです! だから……顔を上げてください」
長老達は顔を見合わせこれはどういうことだと言わんばかりの顔でアスターに説明を求めた。
私が立つようお願いすると皆戸惑いながらも立ち上がり、説明するために建物の一室で座って話すことになった。
窓の外が騒がしい。
緊張から解き放たれた人々が建物の周りに集まりこちらを見ている。
視線を向けると慌てて隠れるがどう見てもそこにいるのは分かりきっていて、その行動に意味はあるのかと思いながら苦笑を浮かべた。
長老たちの紹介が終わり、確認としてアスターから名前と自身の分かることを聞かれる。
皆が注目する中、私の返答は名前も自分がどうしてその場にいたのかも分からず、魔女や魔人についても知らない。
それは世界について無知であるということが分かった。
何かがあって記憶喪失になったと言う話で終わったが、この記憶は鍵がかかっているような普通の喪失とは違うような違和感を感じそっと心に秘める事で次の話にうつる。
ここに棲んでいる人達は皆魔人であり魔人にいくつかの種類があることが分かった。
魔人とは人の姿にもなれて、魔力を持った魔物にもなれる変異体であること、魔物の姿は2種あり混合型と分離型がある。
混合型は人に近い形で魔物の姿を反映しその力を使える者、分離型は完全なる魔物の姿をした者でシオンは分離型になるらしい。
長老達は目の前で魔人化をしてその姿と魔核をみせてくれた。
木・虫・花・獣等それぞれが見せる魔人の姿には驚かされたが恐怖は感じず、魔核を教えてくれることで魔女に対しての敬意も感じる。
自分も魔女の姿になったほうがいいのかと思い聞いてみると恐れ多いと断られてしまった。
魔人の生まれる条件は、魔人と人の交わりで低確率で継承し混合型、魔人同士では魔人の子が生まれ親と同じ型になり、動植物や魔物の突然変異で分離型が生まれるが稀に混合型も生まれるらしい。
最後に人の魔人化である。
「昔々のはなしになる……。
とある村に一組の若い恋人がいた。
男は人当たりが良く皆に好かれ頼られていたが、女の方は嫉妬深く男に近づく者が許せなかった……。
どれくらいかたったころ男に誰一人近づかなくなったらしい。
男が疑問に思いとある女人に話を聞いてみると、恋人の女が男の見ぬとこで近づくものに手を上げていたそうだ。
話を終え男は家に帰って恋人について悩んだ。自分の目で見ていないのに信じるのはどうか……と。
しかしそこでふと不安に思った今日話した女人は無事なのか、不安になり慌てて女人の家に行くとそこには恋人が立っていた。
手には血が乾いて黒くなった薔薇を持って。……男をみると嬉しそうに駆け寄り『やったわ! あなたにまとわりつく邪魔な虫を退治したの。見てこの薔薇、とてもキレイでしょ?』男は狂ってると思った。
その場で女に別れを告げ傷ついた女人を介抱したそうだ。
驚くことに嫉妬深い女は何も言わず村からいなくなり村には平穏が訪れた。
傷ついた女人は男を慕っていたらしく介抱してるうちに二人は自然と惹かれ合い恋人となった……が幸せは長く続かなかった。
『憎い憎い憎い……彼に近づくもの全てが憎い』女は諦めたわけではない。
『そうだ…邪魔なら消せばいいんだ…そうだミンナコロシテシマエバイイ』憎しみは日に日に増しその日は訪れる。
恋人となった二人が楽しそうに歩いていると目の前にボロボロになった女が現れた。『アナタはワタシのモノなのになぜ他のオンナといるの? アァ……綺麗な花だからゴミ虫が纏わりつくのね……。ワタシがトリノゾイテアゲルワ!!』女が突然叫びだすと憎悪が女を纏い黒き薔薇の魔人と化していた。
騒ぎに気付いた村人が駆け付けたが女の視界に入ると次々に殺されていった……鋭いトゲで心臓を貫かれ……。
最後に残った女人の方は見るも無残だったそうだ……男の前で全身を貫かれ絶命。
男の方は生きたまま、女が愛おしそうに抱きどこかへ連れて行ったそうだがその先はどうなったかわしにも分からぬ。
これが人が初めて魔人になったとされる話だが誰がどこで見て伝えたのか……。
この頃から魔人と人間の関係は悪化していった」
聞いていて恐ろしくなった。
では、自分のこの変化はなぜなのか?
一人悩んでいると長老が問いかけてきた。
「次は魔女の話をしたいのですが、その前に会っていただきたい方がこの上におります。よろしいですかな?」
その一言で、話を切り上げ建物の上へと行くことになった。
うーん……長老説明の過去回想が長い……
動かしたら一瞬だと思うんだけどこれでいいのか
終わりが『た。る。』が多いのはやっぱ文才ないからなのかなーなんて
気にしないと全部『た。』で読みにくいというかなんというか……
文字いっぱいは嫌いな自分だけど思ったより書くの楽しい!
でも難しい




