1 それは突然に
ある日の学校帰り、私は車に乗せられていた。
いつもの放課後。校門を出ると、いきなり黒いサングラスを掛けた大人が二人近付いてきた。
「田辺美咲さんですか?」
この人たち、何で私の名前を知ってるんだろう?
私はそう思ったけど、取りあえず本当のことを答えておくことにした。
「はい………」
そう答えるな否や、私は近くに止まっていた黒塗りの車に乗せられた。そして、どこか分からないところに連れて行かれたのだった………。
30分くらい経っただろうか。私が乗せられた車は、見たことの無い場所を走っていた。そしてその先には、巨大な豪邸が見えていた。
「お待ちしておりました。今日からメイドとして働く田辺美咲さんですね?」
車から降りるなり、現れた紳士のような人は私に言った。
へ?メイド?私が?
そう困惑していると、豪邸から一人の高校生らしき男子が現れた。
「そりゃ居候するなら仕事するのは当然だな」
「大原…拓斗………」その姿を見て私は思わず呟いた。
「なんだよ。主人に向かって呼び捨てか?」
「主人………って?」
「だから、お前、今日から俺のメイド。俺は主人。分かったな?」そう言うと拓斗は家の中へ戻って行った。
「………?」
私は何が起きたのかさっぱり理解出来ないでいた。
「取りあえずお疲れでしょうし、詳しい説明もありますので中へどうぞ。
申し遅れました。私はこの家の主人である拓斗様の執事の武田です。よろしくお願いします、田辺さん」
「は、はい………」
全く状況が理解出来ず、私は従うしか無かった………。
その後私は執事の武田さんから詳しく話を聞いた。
どうやら大原君の家で暮らすというのは、メイドをやるということらしい。
すでに荷物も運ばれていて、部屋も用意されているという素晴らしい準備ぶりだった。
そしてその日は用意された部屋で寝て、明日から仕事を始めるということになった。
私は、これからに大きな不安を抱きながら、眠りについたのだった………。
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