第9話 リアとの出会い
しかしこの子、どうみてもモンスターハンターじゃないよね? 聞いて黙ったぐらいだからアイテムハンターとか?
それにしてもいいなぁ。ふんわりした青みがかった銀の髪に、長い耳! かわいい! うさぎかな?
「あ、俺、ミャル」
「……トレジャーハンターの人ですか?」
なぜか怯えている。
やば! 登場の仕方が悪かったか!
「違う、違う。まだ、アイテムハンター」
「え? アイテムハンターなのにここに来たの?」
「す、すみません。内緒にして下さい」
「っぷ」
噴出して笑われてしまった。
「そっか。私は、リアーネフィルミルト・アゼルガイラ」
「リアーネ……?」
長いな名前。
「リアでいいわ」
「うん。ところで君もアイテムハンター?」
「ううん。アルケミターの見習いなの」
「アルケミター!! 凄いね。俺、魔力あるけど足りないから無理って言われた」
「そう。でもね、魔力だけじゃやっていけないのよ」
「あ、お金も必要なんだっけ?」
リアはうんと頷いた。
「そんなにかかるもんなの?」
「学校に通うとね。授業料がかかるのよ」
まあ学校に通えばそうなるよな。
師弟制度みたいのないのかな?
「師匠について教えてもらうって言うのは出来ないもんなの?」
聞いたらリアは、驚いたように俺を見ている。
「俺、何か変な事言ったかな?」
「いやだって、みんなが知っている事を聞くから……」
「……えーと。実はさ、名前ぐらいしか記憶がないんだよね。それで今日からアイテムハンターなんだ」
「え!?」
「だからさ、色々教えてもらえるとうれしいな。なんて……」
あぁ、凄い疑いの目で見ているよ。やっぱり無理があるのかな? でも転生者ですとも言えないしなぁ。
「……ある程度の知識がないと弟子にはしてくれないわ」
そうボソッとリアは呟いた。
「そうなんだ。教えてくれてありがとう」
「私、一応貴族なんだけど、貧乏なんだ。だから材料を自分で集めていて……」
リアは俯いてしまった。
貴族もピンからキリまでって事か。って、この世界にも貴族制度があるんだ!
「手伝おうか? 俺に出来る事ある? あ、そうだ。薬草の本を貰ったんだ。これ役に立たないかな?」
「ありがとう。でもそれなら持っているから」
「あはは。そうだよね」
錬金術って調合もするもんね。だったら薬草も取り扱うから持ってるか。
「それにしても銀の髪っていいね~」
つい口から出てしまった!
「やだぁ。自分もじゃない」
え? 俺も銀? 自分の姿を確認するの忘れていた。そうだ、女性なら鏡持ってるよね?
「鏡って持ってない?」
「え? あるけど……」
手渡された手鏡で見ると、本当に髪は銀。リアと違って白銀だ。耳も白銀。俺は、ちょんちょんと耳を触ってみた。
「本当に記憶をなくしていたのね」
リアは、俺の行動に驚いてそう言った。