第16話 名の目的
「検索」
俺は、岩山に来ている。って、ほとんど赤だな……。石にまで反応しているから凄い事になっている。
「異空間」
開いた穴にポイッと一つ石を投げ入れると、赤かったのが消えた。
よし確認は取れたな。
検索の範囲も前より広がっている。やはり俺の魔力レベルが能力に関係しているようだ。
とりあえず、開いている内に赤く光る物を拾って入れて行く。こうすると作業が早そうだ。動くと一緒に検索の場所も移動するので、範囲が狭くても消えるまでは探せる。
それに、異空間が開いている時間も伸びている。
これはあれだな。魔力レベルを上げた方がいいな。拾い終わったらあの柵から中にはいろう!
□
「おじゃましま~す」
俺は、空間移動で柵を超えて中に入った。昼間だから少しは明るい。
そう言えばここって覆魔だっけ? 遺跡があるかもしれない! 探すかな。どんなところか見ておきたいし。
おっとそうだった。
「検索」
うん。やっぱり赤い反応だらけだ。同じように見えて、アイテムとしては違うんだな。
「異空間」
じゃ、ここらへんのを入れておこう。
「あなたは、何をしているの?」
「あ……そうだった。って、見られちゃったよ」
「えーと……素材集め?」
「異空間ボックス持ちか……」
この世界にもそういうのあるんだ。俺のはちょっと違うけど。
あ、でも応用で作れるかな? 後で試してみよう。
「で、名前はどうした?」
「え? あ、もしかしてそれがわからないと追い出されるの?」
「そうともいう」
「え……」
それはちょっと困ったな。
「ヒントがないと、名前を当てるなんてむりじゃないですか?」
「前に好きに呼べと言ったと思うが」
それって名前をつけろってことだろうか?
大丈夫だろうか。名前をつけたら従えちゃうとかないよね? あ、MPが取られちゃうとか……0になったら困るんだけどなぁ。
でもここで、アイテム集めはしたいよな。
ここの主のご命令だし、名前つけてみるかな。
キツネ……九尾? モンスター系だとそれしか浮かばないけど……しっぽは、いっぽんだからなぁ。イチビ? のお姉さんだから――
「イチネなんてどう?」
「いいわ。それで」
どうでもよさそうなんだけど……。
「イチネの権限で、あなたの出入りを認めます。ただし、一年以内にマジックアイスを持ってこなければ、あなたの魔力すべてを頂きます」
「はぁ? え? どういう事?」
「胸を見てみなさい」
胸? 慌てて見てみると、魔法陣が浮かび上がっていた!
「なんだこれ!?」
「あなたが気を失っている間に、描かせて頂きました」
「なに~!? まさか、だから名前って……」
「そうです。死にたくなかったら頑張って。うふふふ」
頑張ってって言われても、マジックアイスってなんだよう!!