第11話 これが薬草でこれがスポイト?
「よっと」
ザザッ。俺は空間移動で教えてもらった場所付近までワープした……はずだ。
「地図を借りたけど、ここがどこかだよな……」
ワープの欠点は、自分のいる場所がわからなくなる事。自分で着地点を決められないからだけど。使いこなせば出来る様になるといいんだけど。
リアに借りた地図は分布図。授業で使う薬草などの棲息した地帯が載っている。学生用だから高低とかは簡易的みたい。
一応見方は教えてもらったけど、日本で使っていた地図とはちょっと違うんだよね。危険な場所は赤。後は数字で色分けされている。
横にその数字の色と薬草名が書かれている。1が青色でアママル草とか。
この地図には薬草の絵が載ってないから薬草の本とにらめっこ。彼女がほしいのは、タルルネ草。
この草は、茶色い草で10枚の葉が少しずつ重なって垂直に上に伸びている。木の様に硬く、横から見るとタルの様に見える事からついた名だと言われている。雨の日に行くと水が溜まって、それに葉の成分が染み出ているので、その水をスポイトで取る方法の採取が一般的だそうだ。
で、スポイトを借りた。
これどう見ても、注射器なんだけど……。液体の採取用らしい。このまま容器としても使えるから便利だと言っていた。
「雨が降り出す前に探しだしたいな」
俺は、空を見上げた。厚い雲が空を覆っている。
それにしても見つけづらい色だよな。ここら辺は、石だらけの岩山だ。茶色と言っても濃さがわからないから、よく見て探さないとな。
俺は、足元を見て歩いて探した。
ポツンポツンと丸く地面の色が濃くなる。雨が降り出して来た!
って、ザーッと音を立てて降り出した。
取りあえず、向こうの木陰に一旦避難しよう!
俺は走って、枝がある木に向かう。
うん?
足を止め横切ろうとした木を見た。折れた木だと思っていたけど、この木、空洞だ! まさかと思って覗けば、年輪などなく水が溜まっている。
これか? よこから見たらタルに見えない事もないけど……。
リアは、大きいらしいから他の薬草より見つけやすいと思の。って言っていたけど、ここまで大きいと思わないから予想外だよ!
注射器で水を採取して、リアにもらったビニール袋に本と一緒に入れた。ビニール袋でよかった。本が濡れない。
俺はびしょぬれだけどね。
でも一応、木陰に避難するかな?
「空間移動」
俺は、ブラックホールに飛び込んだ。これで一気に木の所まで行ける。さっき気づけばよかったけど、これで飛んでいたら発見出来なかったかも。
うん? え?
「ぎゃー!!」
木が沢山ある場所と岩山の間には、隙間があった! つまり谷間! こともあろうに、その谷間の上に出てしまった!
勿論俺は、真っ逆さまに落ちて行く! マジですか~~~。 お助けを~マーガラス様!!