二回戦。
《オイ!!大石起きろ!!》
『ああぁ..誰かが
俺の名前を呼んでるよ..』
『けど、眠たいもん..』
《起きろってんだよ!!》
《仕方ねぇな..》
「バッチーン!!!」
俺の
おでこに
凄い痛みが
走った。
『痛ってぇ!!』
『誰だよ!!』
目をこすりながら
起きあがると、
前に永田がいた。
《あまりにも、
お寝坊さんだったから
デコピンくらわして
やったわ!!》
『あの痛みは
デコピンか...』
『てか、もっと優しく
起こしてくれよ!!』
《自業自得だ!!》
『そんな..』
『あれ、
ここは何処だろう?』
周りを見渡していると、
[う~ん..
何処かの部屋か
もしくは
倉庫かな♪]
『うわぁあ!!』
急に後ろから
話かけられて、
驚いた。
『何だ、中島か..』
俺の
驚いた表情を見て
井上は大爆笑している。
この部屋には、
俺の前と後ろに
2つのドアがあった。
小さい電灯が
1つしかないから
だろうか..
少し暗い。
『そういえば、向は?』
部屋の中に向の姿がない。
《そういうことは
黒木に
訊いてみれば
分かるんだが、
いねぇんだよ。》
《ドアは、
両方とも
開かねぇしよ。》
永田が
こう言った
その時、
「ガチャ」
後ろの扉が
開いた。
「皆様
お目覚めの
ようですね。」
部屋に入ると
黒木はそう言った。
「2回戦は
前にある、
ドアの
向こうの
部屋で
行われます。」
そう言って、
黒木はそそくさと
前のドアを
開け始めた。
『そうだ。』
『向は
どうなったん
ですか?』
「向様は、
安全な場所で
眠っております。」
『そうですか..
分かりました。』
「ガチャ」
ドアが開いた。
《何だ。
ギャンブルでも
すんのかよ?》
先に入った
永田が
そう言うのも
無理はない。
一見すると
部屋は
カジノのようだった。
広さは
だいたい
学校の教室2個分より
少し大きいぐらい。
見て目立つものは、
「床に
ゴージャスな
赤い絨毯」
「壁に掛かった
薄型テレビ」
「ルーレットをする台」
「トランプゲームをする台」
「スロットが3台」
「大中小の金庫」
「壁に絵が4枚
お面が1枚」ぐらいだ。
ルーレットと
トランプの
台の横に
ディ-ラーが
1人ずついる。
「これから
やって頂く
2回戦のゲームは...」
「宝探しです。」
[おっもしろそう♪♪]
中島は上機嫌で言った。
「宝探しと
言っても、
宝物は
何でも
良いわけでは
ありません。」
「貴方様方に
見つけて
頂くものは、
決まっています。」
「それは、
ダイヤモンドです。」
「この部屋の中に
合計で100カラットの
ダイヤモンドがあります。」
「見つけた
ダイヤモンドは
私に渡してもらい
カウント致します。」
「それぞれが
見つけた、
合計のカラット数は
このテレビに
映されます。」
そう言って
リモコンでテレビを
つけた。
すると
テレビには、
「井上0カラット」
「大石0カラット」
「中島0カラット」
「永田0カラット」
の文字が映された。
画面の
右上には
3:00:00の
数学。
「右上の数字は
制限時間で
3時間です。」
「制限時間が
終わった時点で
テレビに映っている
ダイヤモンドの
合計カラット数が
一番少ない人
が負けです。
「1人につき、
スロットの
コインを100枚、
ルーレットとトランプゲームの
チップを100枚、
それぞれ貸します。」
「3時間の
長丁場ですので
休憩のつもりで、
遊んでみてください。」
「頭を
休めると
隠されてある
場所が
閃くかも
しれませんよ。」
「忘れてましたが
このゲーム中は
私達は質問には
答えられません。」
「どうしてもという時は
今から渡します、
質問カードを使えば
1枚で1回だけ
質問ができます。」
皆に
2枚ずつ
質問カードが
配られた。
「なお、
幼稚な質問には
答えることが
できません。」
「それでは、
ゲームに移りたいと
思いますが、
質問は
ないでしょうか?」
『幼稚な質問って
何ですかね?』
「このゲームの主旨が
分かっていない
質問です。」
「例えば
ダイヤモンドのある
場所をすべて
教えてください。」
などです。
『そういうことか..。
まあラクはすんな。
頭を使え!!
ってことね。』
「他に質問は?」
「.....」
「ハイ。
それでは
皆様、
2回戦を
始めたいと
思います。」
「それでは
ゲームスタートです。」
皆が動き始めた。
中島はトランプゲームへ
井上はルーレットへ
永田は周りを
調べるような
様子だ。
俺はすぐに
スロットに走った。
中島も
井上も
同じだろうが、
意味もなく
コインやチップを
渡すわけがないと
思ったからだ。
スロットは
一列に並び
3台あった。
『よし!!一番右だ。』
すぐ席につくと
早速コインを投入した。
「トゥル」
機械音がした。
『あれ、
リールが回らないよ。』
よく台を見ると
説明が書かれてあった。
「一枚コインを投入し
横にあるレバーを押すと
リールが回転します。」
「7.7.7に止まると
大当たりです。」
『そういうことか!!
大当たりでダイヤモンドが
出ちゃうんじゃないの♪』
すかさず、
台の右に付いた
レバーを引いた。
「ガチャン」
「クルクルクル..
『なんじゃこりゃあ』
タン.タン.タン」
リールが回って驚いた。
リールには
7とハズレ
しかないのだ。
7が目の前を通ると
後は真っ白の
何も描かれてない所(=ハズレ)ばかりだ。
しかも
自動的に
止まる。
『負けんぞ!!』
「トゥル」
「ガチャン」
「クルクルクル..」
「ハズレ.ハズレ.ハズレ」
「トゥル」
「ガチャン」
「クルクルクル..」
「ハズレ.ハズレ.ハズレ」
「トゥル」
「ガチャン」
「クルクルクル..」
「ハズレ.ハズレ.ハズレ」
「トゥル」
「ガチャン」
「クルクルクル..」
「ハズレ.ハズレ.ハズレ」
「トゥル」「ガチャン」
「クルクルクル..」
「ハズレ.ハズレ.ハズレ」
「トゥル」
「ガチャン」
「クルクルクル..」
「ハズレ.ハズレ.ハズレ」
〈中略〉
「トゥル」
「ガチャン」
「クルクルクル..」
「ハズレ.ハズレ.ハズレ」
『ふざけんな!!
ハズレが当たり放題
やないか!!』
『次に
7がリールに1つでも
現れなかったら
あきらめて
他を探そう!!』
「トゥル」
「ガチャン」
「クルクルクル..」
「7..」
『おお!!』
「クルクル」
「7.7.」
『まさか!!』
「クル」
「7.7.7」
『よっしゃい!!』
「ピカーン」
スロットが
凄く
派手な光で輝き
大量のコインが
スロットからでてきた。
『やったやった!!』
4.5分を掛けて、
コインが
1000枚ぐらい
でてきた。
『めちゃくちゃ
嬉しい!!』
『うん。あれ?..
本当に嬉しいのか?..』
『いや!!、
何にも嬉しくない。』
『俺が探してるのは
ダイヤモンドだ!!』
『コインなんていらんわ!!』
『何だよ!!
大当たりで
ダイヤモンドだと
思ったのに。』
『他を探すかな。』
そう思い、
席を立とうとした時に
違和感が
頭をよぎった
『そういえば、
「7.7.7」が
揃った時に
何か変な感じ
だったんだよな。』
『何だろうな?』
必死に違和感の
原因を探した。
『ハズレの時には
何にも思わなかった。』
『うーん。』
『そうか!!
そういうことか!!』
『それなら
要る物があるな。』
『そんな時は...
すいません。
黒木さん。』
質問カードを
黒木に渡した。
「何ですか?」
『あの、
一番右の
スロットを開ける
鍵を貸して
くれませんか?』
「...分かりました。」
黒木は、俺達が
一番最初にいた
部屋に入っていった。
1分後。
帰ってきた
黒木の手には
鍵が..。
「どうぞ。」
『ありがとう
ございます。』
俺は鍵を借りると
早速、スロットの前に行った。
『俺の推理が
正しけりゃあ..』
「ガチャン」
スロットの扉が開いた。
『ここに...。』
『やったー!!!
ダイヤモンドだ。』
《何だと!!!》
黒木が近づいてきた。
俺の
手の上にある
ダイヤモンドを見て
驚いた表情をしている。
《何処にあったんだ?》
『それはね..』
『ここだよ。』
そう言って
俺は、
リールの後ろを
指差した。
『一番右のリールの
7の後ろだよ。』
《え?お前は何で
こんな所にあるのに
分かったんだ?》
『それはね、
「7.7.7」が
当たった後に
まず、
何か違和感を
感じたんだ。』
『そして、
よく思い出してみると
分かったんだ。』
『7が綺麗に一直線に
並んでなかったことに。』
『普通、
何か当たった時って
同じ絵柄が
綺麗に一直線に並ぶだろ。』
『だけど、
右のリールの7だけが
ほんの少し下で
止まったんだ。』
『てことは、
リールの7の後ろに
重りみたいなものが
引っ付いてんじゃ
ないのかと思って..。』
『だから、
普通に止まる
位置よりも
少し下で
止まったんだと
思ったんだ。』
《ふーん。
なるほどな。
ダイヤモンドの重みが
リールの止まる位置を
狂わせたと...。
《あれ、
よく考えれば、
それなら
別に「7.7.7」が
当たらんでも、
リールの止まる位置が
ずれてんのが
分かるんじゃねぇのか?》
『それが違うんだよ。』
『このスロットのリールを
ちょいと見てみ。』
《何だこれ!!
7以外に絵柄がねぇ!!》
『そうなんだ。』
『だから、
ハズレで止まった時には
リールがずれて
止まってるなんて
分かるはずないんだ。』
『だって、
真っ白「=ハズレ」の目で
止まってんだからね。』
《それじゃあ、
お前の強運が
あってこそだな。》
『まあね♪』
《ところでよ、
そのダイヤモンドは
何カラットあるんだ?》
『そうだった
黒木に渡そう。』
俺は
黒木に近づいて
ダイヤモンドを渡した。
「何処で
見つけましたか?」
黒木が言った。
『あの
一番右のスロットです。』
このダイヤモンドは..
「5カラットです。」
『おお!!
大きいのか
小さいのか
分からないけど、
まあ良かった良かった。』
『てことは
この時点で
俺が一位か。』
「ハイ。」
すると
テレビの画面は、
「井上0カラット」
「大石5カラット」
「中島0カラット」
「永田0カラット」
の文字に変わった。
残り時間は
2:45:03に
なっていた。
《さぁーってと。ここで、
くたばらねぇように
俺も頑張るか!!》
そう言って、
永田は
また部屋の周りを
探し始めた。
『さあ、
この調子で
俺も頑張って
探そう。』
俺が心の中で
こう思った
その時....
[みぃーつけた♪]
中島の声だ。
[やったー♪]
その声を聞いて
俺はすぐに
中島に近づいた。
中島は
トランプゲームの
台にいた。
『何を見つけたんだ?』
[それは
もちろん
これだよ♪]
中島は
ダイヤモンドを
指差した。
そのダイヤモンドは
小さい板の穴の中
にあった。
『何だこれ?』
小さい板は
よく見ると
トランプが
30枚ぐらいが
くっ付いていた物だった。
その板の真ん中が
縦横高さ
5ミリほど
くりぬいてあった。
『この穴に
ダイヤモンドが
あったの?』
[うん♪]
『よく見つけたな。』
[余裕だよ♪]
[ここで
ポーカーを
してたんだけど
ディーラ-の
トランプの切り方がほんの少し
不自然
だったんだ♪]
[だから
トランプを見せて♪
ってディーラ-に
言ったんだ。]
[そしたら、
予想通り
見せてくれなくて..
すかさず
質問カード♪]
[トランプを
貸してくれませんか?
って言って..
今に至るわけ♪」
『ふーん。
それじゃあ
俺も
何カラットか
気になるから
それ黒木に渡せば?』
[そうだね♪]
中島は
黒木の方に
歩いていき
ダイヤモンドを渡した。
「このダイヤモンドは
何処で見つけましたか?」
[あのトランプです♪]
「このダイヤモンドは...」
「3カラットです。」
[小っちゃ♪♪]
[まあ
見つかんない
よりは
ましだけどね♪]
中島が
見つけたことにより、
テレビの画面は、
「井上5カラット」
「大石0カラット」
「中島3カラット」
「永田0カラット」
に変わった。
残り時間は
2:30:13に
なっていた。
これで、
今現在
負けているのは
中島と永田になった。
『そうだった
人に気をとられてる
場合じゃなかった。』
時間制
だったことを
思い出し、
俺はすぐに周りを
探し始めた。
1時間近く
たっただろうか..
中島が3カラットの
ダイヤモンドを
見つけてから
誰一人
見つけていない。
《あぁ!!!
何処に
ありやがるんだ!!》
永田が
不機嫌そうに
叫んでいる。
《クソが!!
イライラす....
ん...あー!!!》
そう言った
永田は
黒木へ
走って近づき、
《質問カードだ!!》
黒木に質問カードを渡し、
《カッターナイフを
貸してくれねぇか?》
と言った。
「..分かりました。」
そう言って、
黒木は
俺達が
最初にいた
部屋に入り、
すぐに戻ってきた。
そして
永田に
カッターナイフを
渡した。
《ありがとよ。》
永田は
嬉しそうに言った。
『何をする気だ?』
すると
永田は
おもむろに
カッターナイフの刃をだした。
そして、
床の赤い絨毯を
切り始めた。
[さあ
出てこい
出てこい
出てこい!!!]
『大丈夫か?
頭おかしく
なったのか?』
「カリカリ」
力を
いれすぎているのか、
床まで一緒に
削っているようだ。
『本当に大丈夫かよ。』
そう思った時だった。
《どんなもんじゃい!!》
永田は
特大のダイヤモンドを
高々と上にあげた。
あきらかに、
俺の見つけた
ダイヤモンドの2倍はある。
永田はすぐに
ダイヤモンドを
黒木に渡した。
《何カラットだ?》
「何処で見つけました?」
《絨毯の下だよ。》
「そうですか、
これは..」
「プラスチックです。」
《あ?何カラットだって?》
「プラスチックです。」
《....》
『ダイヤモンド
じゃなくて
プラスチ
プラスチッぎゃははは!!』
あまりの
面白さに
笑いが
とまらなくなった。
「クソガ!!!!」
永田はダイヤモンドもどきを床に叩きつけ怒り狂っていた。
「なに笑ってやがんだぶっ殺すぞ!!!」
「アハ、アハハハハ・・・・」180度後ろを向いて、逃げるように、その場を立ち去った。
「危ない危ない、ああいう時は逃げるが勝ちだめよね・・」そう思いながら、他を探し始めた。
「まぁ怪しいのはあの金庫なんだけどなー。でも、3個もあるし、ダイヤル式の鍵だから質問カード使わないと開けられないしなぁー」
そう思いながら、金庫の方を見ていると、井上がどうやら質問カードを使いあけるようだった。
「これで、あの一番大きい金庫を開けたいんだけど」
「分かりました。暗証番号は7777です。」
黒木はそう答えた。
「うわ!もろ当りみたいな番号やん!!やられた!!」
そう思いながら、様子を伺っていると・・。
「ガチャ」
井上が金庫を開けて中身を見た。
「スッカラカーン」
「なーんだー。」
そう言って、がっかりした様子で井上は他を探しにいった。
「あれ、これってチャンスなんじゃね?
さすがに全部外れなんてないだろ。
当りの確率50%。
まぁ、でもやめとくかな。
最後の質問カードだし・・・・って、んなわけねぇー!!、先手必勝!!!!!!」
「黒木さん、中ぐらいの金庫の暗証番号教えてください。」
「暗証番号は4444です」
「うわー縁起わるっ!」
そう思いながらも、金庫に近づき恐る恐る扉を開けた。
「ガチャ」
「・・・・テッテレーー!!♪」
大石はダイヤモンドを手に入れた。
しかも、最初に見つけたダイヤモンドよりも大きかった。
「しゃー!!大成功!!!攻撃は最大の防御なり、ってね!」
「黒木さんこれは何カラットですか?」
俺はルンルンで聞いた。
「プラスチックです。」
「んっ?なんて??」
「プラスチックです。」
「聞き間違いだよね。
いや、聞き間違いだ。」
さっき見つけたやつより一回り大きいから、
7カラットぐらいかな?
「7カラットです→ナナキャラットです。→ナラキャラックです。→ナラスチックです→プラスチックです。うん、なるなる!」
俺は強引に現実をねじ曲げて、納得し、もう一度聞いてみた。
「黒木さんこれは?」
「プラス・・」
「うわーん!!!!!!」
俺は、プラスチックを握りしめその場から走り去った。
残り時間は
1:30:00
半分の時間が経過した。
「あとは、あのテレビとかかなー。」
テレビの方へゆっくり近づいた。
「とりあえず他のチャンネルとか見れんのかなぁー。」そう、思い近くに置いてあったリモコンを押した。
「ポチッ」
「今日のあなたのラッキーナンバーは1・・」
「なんだ、占いか。
次の番組はーっと、」
「ポチッ」
「今日のあなたのラッキーカラーは・・」
「いや、占いばっかやん!!!!次!!」
「ポチッ」
「今日のあなたのアンラッキーナンバーは3・・」
「うるせぇー!!!!!!!!!!
占いすぎだろ!!」
もういい。
「ポチッ」
「井上0カラット」
「大石5カラット」
「中島3カラット」
「永田0カラット」
元の表示に戻し、その場を後にした。
俺の後に中島がテレビに近づき、同じように占いを見てニコニコしている様子が遠くで見えたが、気にせず、ダイヤモンドを探すことに集中した。
「黒木さん!小さい金庫の暗証番号お願いしますー」
中島の声が響き、俺は金庫の方を見た。
「さすがに、最後の1個だし当りだろうなー、でもなんでこのタイミングで開けようと思ったんだろう。」
「ガチャ」
「ううぁー♪♪大きいぃー♪」
中島は嬉しそうにダイヤモンドを取り出し、掲げた。
「うわ!!ごほっごほっ!」
あまりの大きさにビックリして咳き込んでしまった。「デカイ、デカ過ぎる・・」
「これ、どれぐらいなんだろー♪黒木さんお願いします。」
「おめでとうございます。30カラットです。」
「やったー♪勝ち抜け決定!!♪」
嬉しそうに中島は跳び跳ねていた。
「やっちまったー50%外したー!
引き弱いなぁー・・はぁーあー」
意気消沈しながらも
俺は疑問に思い、中島に近づいて、聞いて見た。
「なんで、このタイミングで金庫を開けようと思ったんだ?」
「えっ?♪あー大石君、金庫をよく見てみてよ!」
「ん?金庫をよく見る?えっとー・・」
俺は金庫に近づいて扉以外の部分をみてみた。
すると、金庫の下の部分は見れないが、他の4面に黒かったり赤かったりのうっすらくぼんでいる丸があった。
「あれ?これ、どっかで・・・・あ、サイコロか」
正方形の金庫は、よく見ると大きいサイコロのようになっていたのだった。
「そう、サイコロ。サイコロって裏側の数字を足すと7になるって知ってる?例えば1の裏側は6、2の裏側は5みたいな」
「あー知ってる知ってる。でも、それがなんの関係があるんだ?」
「さて、問題です、今日のラッキーナンバーはなんでしょー??♪」
「ラッキーナンバーは1、アンラッキーナンバーは3!!」
即座に答えられた。笑
あんだけ、聞かされればさすがに覚えるわ。
「占いの番組やってたけど、ラッキーカラーとかは番組ごとに違うんだけど、ラッキーナンバーとアンラッキーナンバーだけは、1と3で固定だったんだよね!」
「あーだからか!笑
どうりで覚えてるわけだ!」
「しかも、番組を最後まで見ると、伝説の占い師って人が登場してきてこう言うんだよ。」
「ラッキーナンバーは1じゃ!
1の扉を開けよ。さすれば栄光が手に入るぞぉ!」
番組の観客の拍手
「パチパチパチパチパチ」
「さすがに笑っちゃったけどね!♪♪♪
ラッキーナンバーは1、そして1の扉。小さい金庫の扉の裏側は6、栄光が手に入る扉はこいつになるってわけ♪」
「なるほどね、・・あ、じゃあ!俺の開けた中ぐらいの金庫はアンラッキーナンバーの3の扉だったんだろうな・・泣」
確認してると、俺が開けた中ぐらいの金庫の扉の裏側は5、扉側は2だった。
「あれっ??」
井上の開けた大きい金庫も見てみると、こっちのほうが、扉側3だった。
「おぉぉい!!プラスチックつかまされて、ぬか喜びさせられた、精神的ダメージ加えると、こっちのがアンラッキーだろ!!納得いかん!!!」
さっきの悲しみがよみがえってきた。
「それじゃーあとは頑張ってねー♪♪」
勝ち抜けが決まった中島は、もうこれ以上探す様子はなく、休憩するようだ。
永田と井上の様子が気になり確認してみたが、特にあてがありそうな雰囲気はなく、とりあえず探してる感じだった。
・・・・
残り時間が1時間を切り、 中島がダイヤモンドを見つけて以降、膠着状態が続いていた。
あらかた探したし、残りはお面とあの4枚並んだ絵ぐらいしかないんだけど。」
「こんな絵を見てもなぁー。」
ゆっくり近づいてみると、説明が書いてあった。
「勇者〈ビッケバッケ〉は相棒の炎のドラゴン〈サラマンダー〉と共に魔王〈アレキサンダー〉に戦いを挑んだ。
激戦の末に見事勝利し、世界に平和を取り戻した。しかし、〈ビッケバッケ〉は、戦いの最中に負った、深い傷により戦いが終わった直後に命を落としてしまったのであった。」
「自分の命と引き換えに、世界に平和を取り戻した・・ビッケバッケさん、格好いいぜ・・」
しみじみ思った。
4枚並んでいる絵の一番左は、
ビッケバッケとサラマンダー、そしてそれに対峙する魔王アレキサンダーの絵だった。
「うわ!アレキサンダー恐すぎ!!!!」
角が2本生えた、まさに悪魔のような見た目だった。ビッケバッケは横顔だが、端正な顔立ちで、美少年だとすぐ分かる風貌だった。サラマンダーはドラゴンというより、全身が炎で覆われた、火の鳥のようで、青い目が綺麗で、とても美しかった」
「ビッケバッケ、俺と同じぐらい若いのによくこんな化けもんと戦えるな・・」
そう思いながら、次の絵を見た。
左から2番目の絵は、サラマンダーの絵だった。
「サラマンダー相変わらず燃えまくってるから
よー分からん笑
たぶんこれはサラマンダーが寝てる時の絵なのかな??」
左から3番目勇者ビッケバッケの絵だった。
「ビッケバッケさん、良い歳の取り方したね。とても優しそうな、おじいさんになって・・。いい笑顔してるわ。」
左から4番目はビッケバッケの故郷〈ファーレンハイト〉の絵だった。
大きな城があり、綺麗な川が流れ、とても綺麗な街といった感じだった。
それぞれ、絵の下には説明書きあった。
一番左の絵は、
「これは、戦場絵師のワタナベコウイチが命がけで描いた物です。」
「いや、魔王から見つからないように隠れながら絵を描くなよ!!
ギャグやろ!!笑」
するどいツッコミをいれた。
次のサラマンダーの絵は、
「サラマンダーは真実を見透す力を持つ。正しき道への道しるべとなるであろう。」
「いや、でも寝てるー!」
するどいツッコミをいれた。
次のビッケバッケの絵は、
「真実を知るためにはあらゆる角度から、物事を見ることが大事だ。この言葉を胸に私は戦ってきた。」
「なんか、格好いいー」
自然と言葉が出た。
最後の絵はファーレンハイトの絵は
「奴隷制度が残る商人の街」
「・・いや、知りたくなかったよ・・」
悲しい気持ちになった。
「気になるのは、二人の説明だな。
サラマンダー起きてくれないかなー。
おーいサラマンダー!!」
とりあえず、呼んでみたが、もちろん起きることは無かった。
「うーーん。
これ、なにかありそうで何にも無いパターンのやつなのかなー。」
「はぁあービッケバッケは同じぐらいの歳の時に自分の命と引き換えに世界の平和を守ったのに、俺はたった3人も説得もできないで、殺し合いみたいなことをしているなんて・・」
「・・・・ん?」
「あれ??」
「ビッケバッケの絵は、歳をとって老人になった時の絵だと思いこんでたけど、そんなわけない。
」
「だってビッケバッケは魔王を倒した後にすぐに死んでいる・・」
真実を知るにはあらゆる角度から物事を見る。
ビッケバッケの、絵をよく見てみた・・。
違和感に気づく・・。
「マジか・・・・」
ゆっくり絵を両手で掴んだ。
動く・・。
絵を持ち上げて180度回転させた。
逆絵だった。
「うわ!!!」
一瞬にして鳥肌が立った。
老人の顔が一瞬にして勇者ビッケバッケの顔に変わったのだ。
「すげぇ、もはや気づいた
俺よりもこれを書いた人がすげぇ」
左にあるサラマンダーの絵に目が映った。
「まさかね・・」
恐る恐る、絵を180度回転させた。
「すご・・」
美しいサラマンダー凛と立っていた。
全身が燃えていて、深く考えないで、寝ている姿と勘違いしていたけど、全然違った。爪の一部に見えた部分は回転させると目の部分だった。
「サラマンダーは正しき道への道しるべ・・」
サラマンダーは右上を見ていた。
ビッケバッケは左上を見ており、両者が同じ所を見ているようだった。
二人の視線の先、
延長線上たどって交差する場所の壁を、触ってみた。
「ガコッ」
壁の一部がずれた。
中に何かがある。
手を伸ばし穴の中に手を入れそれを取り出した。
古い手帳のようなものと小瓶があった。
小瓶には透明の液体が入っている。
手帳を開くと、
○月○日
私は、相棒のサラマンダーと共に魔王アレキサンダーを倒すべく、ファーレンハイトを出発した。
かならず、やつを倒し世界に平和を取り戻す。
「これ、ビッケバッケの日記だ」
○月×日
魔王の城に近づくにつれ、魔物達が増え、私は深い傷を負ってしまった。泣き言なんて言ってられない。私が諦めたら、世界が滅亡してしまう。
「マジか・・魔王と戦う前に深手をおってたんだ。それでも、魔王に立ち向かったのか。」
○月●日
魔王の城までたどり着いた。
最後の戦いになるだろう・・。
どんな手を使ってでも、やつを葬る。
たとえ、命つきようとも。
「生きては帰れないことを分かってたのか・・切ない・・」
○月●日
・・私は魔王アレキサンダーを倒すことができた、平和を取り戻すことができた。ここで命尽きることに悔いはない。
だが、1つだけ心残りがある。
それは・・・・
「もう泣くな、サラマンダー・・。私もお前と別れるのは寂しいよ・・。お前とは色々な苦難を共に乗り越えてきた。私が今ここにいるのも、アレキサンダーを倒せたのも全てお前のおかげだ・・。お前には感謝してる・・。サラマンダー、お前にはまだ残された指命がある・・。時が経てば、また、魔王が現れるかもしれない。その時に、勇者の手助けをしてやってくれ。私よりも勇気と知性を持った素晴らしい勇者だと思う。頼んだぞ・・サラマンダー。
本当に本当に今までありがとう・・・。」
友を一人にしてしまうことだ。
ただ、サラマンダーには指命がある。
魔王が現れし時に勇者と共に戦うこと。
サラマンダーが万が一魔王の手に落ちることが無いように、私が持つ青騎士の首飾りとともに、封印する。
青騎士の首飾りはあらゆる魔法を跳ね返す。
魔王復活の時に、役に立つはずだ。
サラマンダーを復活させるには、
【サラマンダーの目に光灯りし時、この小瓶に入れたサラマンダーの涙を振りかけるのだ。】
新たな勇者よ、後はまかせたぞ・・
「サラマンダーを復活させるには、この瓶に入ってる涙をサラマンダーにかければいいんだな」
瓶を持ち、サラマンダーの絵に近づいた。
「復活の時だサラマンダー!!」
そう、高らかに叫び
勢いよくサラマンダーの絵に涙をふりかけた。
「・・・・あれ」
長年封印されてたから、ちょっとタイムラグがあ?のかな??
「・・うーん、てかなんだかサラマンダー・・いや、そんなわけない・・目の錯覚・・いや、溶けてね?????」
「いやいや、そんなことない。そんなことない。
サラマンダーが水彩の絵の具で描かれてて、溶けるなんて・・・・うわーーーやってもうた!!!」
「なんでやー!ビッケバッケさん、サラマンダーに涙を振りかけたら、復活する言うたやないか!」
とまどいを隠せず、その場に立ち尽くし、どろどろに溶けていくサラマンダーを見ていた。
「サラマンダー・・いや、もう、滲んで、ただの真っ赤の絵やで・・」
「まさか、封印されてるサラマンダーってこれじゃなかったのか?じゃーどこに・・」
辺りを見渡すと、後は確認していない、お面が目に入った。
「あれか・・」
ゆっくり近づいた。
まさしくサラマンダーの顔のお面だった。
「これかよ!!間違って涙ほとんど使ってしまったー!」
瓶には、僅かに残った涙が。
「まさか、これも違うなんてことないよね。」
もう、残り少ない涙しかないため、次がラスト。
間違っていないか、入念にサラマンダーらしきお面を調べた。
「うん、確実にサラマンダー」
絵がどろどろに溶けた今、目に焼き付いたサラマンダーを思いだしながらがだけど、間違いないだろう。
「でも、なんか足りない気がするんだよね・・あー瞳の青色だ。」
よく見ると、あの鮮やかな瞳の青色がなかった。
瞳を調べて見ると、両目とも窪みがあった。
「そういえば、ビッケバッケさん、サラマンダーの瞳に光やどりし時に涙を振りかけろって言ってたな。て、ことはこの瞳を見つけないと。
よく見ると両目の窪みは、同じではなく、左目は台形の立体バージョンの正四角錐台。右目は正八角形だった。
「この窪みに仕掛けとかないよね・・」
おそるおそる窪みに指を突っ込んでみた。
「ピカーン」
「あれ?指先が青く光ってる」
窪みから指を引き抜くと、光は消えた。
「これ、窪みになにかを入れるとセンサーか何かが反応して、青く光るようになってるんだ。」
この窪みに合う何か・・。
「この窪みの形どこかで見たようなー。
なんだっけなぁー。」
必死に考えた。
スロットして・・次に金庫開けて・・中からプラスチックが出てきて、で、そのプラスチックは正八角形で、次にビッケバッケさんの絵を見て・・ってちょっとまてぇーーい!!」
「これやないかーい。」
正八角形のプラスチックをポケットから、とりだした。
「まさか、これがサラマンダーの瞳とは。」
右目の窪みに、はめてみた。
「ピカーン」
右目が青くとても綺麗に輝いた。
「後は左目だ。」
「同じような、プラスチックは・・。あれだ」
永田がぶちギレてプラスチックをぶん投げた、辺りに近づいた。
赤い絨毯の丹念に調べたが見つからなかった。
「あれれーこのへんに」