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第183話 さらばイギリス

しばらく経って目を覚ますと、魔女ジョアの地下室。心の中の扉の前だった。

どうやらジョアが縄を引いて心の中から引きずり出して助けてくれたらしい。

ジョアは呆れていた。


「なんで裸なの?」


見ると完全に全裸。あの四人の部屋の住人は陽太の服を全てはぎ取ったのだ。

そこで救われたものの、服は心の中に置いて来てしまったらしい。


「いや〜調子に乗って色欲の部屋に行ってしまいました」

「プ! まぁ、若いからしょうがないか。で? 目的は達成で来たの?」


陽太は手に握っている小皿をジョアに見せた。


「この通りです」

「おお! やっぱりあなたはすごいわね!」


ジョアが喜んでいる間に、陽太は自分の部屋から服を瞬間移動させて体に着せた。ジョアはそれを目の当たりにし、またも目を丸くする。


「おー! すごい魔法!」

「ジョアさん。オレの魔力がどれだけ貯まってるか、水晶玉で見せてもらえます?」


「いいわよ! 私も興味ある。さぁ、カモン!」


二人は、地下室を上がって水晶玉のある部屋へと向かって行った。

ちなみにジョアはどんな部屋があるか前もって知っていた。しかし答えを言うとダメという魔法のルールがあったのだ。陽太が余力があったら向かおうと思っていた白い部屋は「怖いもの」の部屋で、中には前野と貴根と明日香が腕組みして待っていたらしい。


ジョアは水晶玉に魔法をかけると、例の青い部屋が映っていた。

そこでバケツの中身をクローズアップ。バケツの中は赤黒い液体で満ち溢れそうだった。

おそらく、陽太が気絶している間、明日香が胸をつけていてくれたのであろうと推察された。


「すごい! 満杯だね!」

「ええ満ちあふれるマジックパワーっす!」


目的は達成された。ジョアは陽太の健闘を称えたのだ。


「よかったじゃない!」

「はい」


この異国の地に来て良かった。そして魔力の器の件も悪魔払いも明日香や前野、竹丸の力を借りずに出来た。そう思うと自分に自信が湧いてくる。達成感がかなり大きかった。

その時、ドアがノックされた。ジョアが来訪者に訪ねる。


「どなた?」

「あの、私アビーです」


「入りなよ」


ジョアに招かれるとアビゲイルがニコニコ顔でドアを開けて入って来た。まだここにいた陽太に顔を赤らめながら。


「や。元気だね」

「ヒナタさん、なんかまた変わった?」


「うん。中身がね」

「やっぱり! 私も分かるわ。ヒナタさんの力がまた大きくなったこと。ねぇジョアおばさん、私を弟子にしてくれない? 何でもするから!」


「ほんと? 丁度助手が欲しかったんだよね~。アビーみたいに不思議な力を持つ人なら大歓迎よ」

「やった!」


二人の会話を聞いてから、陽太は自分の荷物を手に取った。

もう目的も達成されたし、アビゲイルも完全に治った。この地に思い残すことはない。


「ジョアさん、じゃぁオレ行きます。いろいろありがとうございました。勉強になりました」

「行くってどこへ?」


「フランスっす! 彼女待ってるんで」

「え? フランス」


「ふふ。じゃぁ! アビーさんも!」

「え? ちょっとちょっとヒナタさん」


次の瞬間、陽太の体はジョアの家から消えていた。

顔を見合わせる二人。


「ホントに、不思議な人!」


アビゲイルは楽しそうに呟く。人生の目標。日本に行ってもう一度陽太と再会したい。彼女は魔女ジョアの弟子として魔法をならうことを決めたのだ。

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