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第171話 死の宣告

その時、小さい音を立てて別の紙が床へと落ちる。


「あれ?」

「ん? 手紙みたいのが落ちましたね」


落ちた手紙らしきもの。陽太はそれを拾って中をあらためた。


「え?」

「なんて書いてあります?」


「よ、読めないっす」


それは訳の分からない文字。

悪魔の言葉なのか。天使の言葉なのか。

それの羅列。もちろん陽太には読めない。


「英語かなァ。アラビア語? いずれにしても、読める字で書いてくれ~」


すでにギブアップの陽太の手から竹丸は手紙を受け取りそれを見る。


「ふむ。どうやら天国……いや、悪魔の文字ですかね?」

「竹丸さん、読めます?」


光明。竹丸なら読めるかもしれない。

だが竹丸もうなるばかり。


「うーん。簡単な言葉くらいなら読めなくもないですね」

「分かる範囲ではどんな感じですか?」


「例えば、この字は“器”。でも前に打ち消しの言葉がありますね。“ない”もしくは“ではない”…? この文字は、“死ぬ”……か“殺す”かな? “我々が”“力を合わせて”……うーん」

「え? 器ではない我々が力を合わせて殺す……??」


「ま、まさか? ヒナタさんが自分たちより爵位が上なことをやっかんで?」

「公爵の器ではないから三伯爵がオレを殺すってこと??」


二人は、辺りを見回して三伯爵がいないかを確認したが、まるっきりその気配は感じられなかった。


「ウソでしょ? 先生まで?」

「誤解かもしれませんしね。話し合えばなんとか……」


陽太の脳裏に映し出される三伯爵。

戦車からの砲撃を喜んでいた三人。

素手でもガトリングガンのようにリンゴを粉々にしてしまったグラシャラボラス。

天使を挑発していたあの好戦的な姿。

おそらく、殺戮を行うときは情け容赦ないのであろう。


「うう。竹丸さん、怖いっす」

「大丈夫です。ワタクシが守ります。とりあえず、アパートへ」


周りの物音にビクビクしながら二人はアパートへ。

部屋の中で竹丸は戦闘態勢になっていた。


もしも三伯爵に襲われたら。

正直、グラシャラボラスの剣技には敵わない。

しかし明日香と同じように時間を止められるのは悪魔の中でも少ない。

魔力で時間を止めて、その間に逃げるところまで逃げる?


しかし、三伯爵の言葉。

悪魔っ気が出ている。

即ち三伯爵は陽太の気配を感じられるということだ。

それに自分だけ逃げたら竹丸はどうなる。


考えがまとまらない。恐ろしい。恐ろしい。

味方になんで殺されなくてはならないのだろう。


そう考えていると部屋のドアノブが回転する。


「!!!」


陽太は戦慄し、竹丸の近くまで駆け寄る。

竹丸は、ヤスツナのレプリカである短刀に手をかけた。

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