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第153話 脱出

哀れすぎる。

ようやく言った告白が自分が死ぬときだなんて。

陽太は二人の元へ駆け込む。

すでに炎に囲まれて1分もしないうちに貴根も死ぬであろう。


流辺の黒く焼けた肉体。しかし彼の魂魄は貴根の周りから離れていないことを感じた。


陽太は、即座に彼の体に手を当て、ありったけの魔力を送る。

するとみるみる彼の体は、修復されていく。息を吹き返したようだったが気を失っていた。


「どうしよう! 私のスバルが! 私のために!」

「気付いたろ? 彼が守護天使だって」


「うん! うん! うん!」


時間がない。陽太はサーベルに魔力を込め、地面に突き刺すと、空間に裂け目ができた。

そこには、二人のアパートの通路が見える。

陽太はその裂け目に手を突っ込んでむりやり広げて叫んだ。


「逃げなよ! すぐ閉じちゃう!」


貴根は、流辺を引きずって空間から逃げる。

それを見計らって陽太は裂け目から手を放すとスッと閉じる空間。


陽太の魔力は完全に無くなってしまい、ラファエルの発する熱気は陽太を焼き始めた。


「ほう。貴様にも同胞を愛する気持ちがあるのだな」

「はぁ、はぁ、どうとでも言え。オレの魔力はスッカラカンだ。焼くなら焼け」


「フン」


ラファエルの手にはグリエルが持っていたような光の輪があった。

それを陽太目掛けて放り投げる。


これで切り刻まれるのかもしれない。


陽太は目を閉じて明日香へと侘びた。


「アスカ、ゴメン。結婚出来ないや……」


しかし光の輪はそのような武器ではなかった。

陽太の両手、両足に嵌ると身動きができなくなる拘束具だったのだ。


「え?」

「地の獄を抱け」


そう言うと、陽太の体は奈落の底に落ちていった。

光のない世界へと。

陽太が目を覚ます。そこは冷たい牢獄。

責め苦にたえかね助けを求めても来ない生き地獄。

そんな陽太の様子など知らない明日香は地獄の軍団に命令を下す。

「陽太が他の女といるなら殺せ」と。


次回、「コキュートス篇」

ご期待下さい。

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