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第130話 女子の部屋

貴根のアパートに到着。そして彼女の部屋の前。


「ここがアタシの部屋。そして、この列の一番はじがスバルの部屋」

「へー。そ、そうなんだァ」


「開けるね」

「はい……」


赤い顔をしているのは陽太だけではない。当然貴根も。

二人は真っ赤な顔をして部屋の中に入った。


「お、おじゃましまー……す」


完全に挙動不審だった。

陽太は辺りをキョロキョロと目を泳がせている。

関係ないのに、風呂と思われる閉じられたガラスドアの向こうを想像したりしていた。

ここでつまり貴根がシャワーを浴びるのだと。


「あの……」

「わ! ……ビックリ」


「んふ。なんで?」

「……いや。別に」


「コーヒー淹れるから……」

「あそ? う、うん。大好き」


「適当に、そっちの部屋に座ってて」

「あ、はい。うん」


ドギマギが二人の中を支配する。

先ほどの戦闘の緊張とはまた違う緊張。

会話も不自然だ。初々しいと言うものであろう。


さて、ここからは陽太の初めて女子の部屋へ上がった心の声をお楽しみ頂きたい。




すげぇ~。これが貴根さんの、部屋。

あこがれの……。


ゴクリ。


かわいい~。

おしゃれ~。


このイスに、座ればいいのかな?


テーブル、細。

ちいせ~。


て、テンション上がるっす~!

オイ! 遼太郎!

オレはやった!!


ニヤニヤが止まらねぇ~!


うーん。コーヒー淹れてる後ろ姿も完璧。

襲いかかりてぇ~。



「おい。足下はずいぶんとふざけた真似をしてくれるな」



お、おい。心の中に怒った明日香が出て来ちゃったよ。

考えるな。考えるな。

今は明日香は関係ない。

オレは浮気者じゃないぞ。

ただ、温かいコーヒーをご馳走になるだけだ。


寒かったから。

だろ?


そ、それに、明日香なんて、何千年の付き合いもある夫と呼ぶべき存在もいるわけだし。




そんなことを心の中で言い訳していると、貴根は陽太の前にコーヒーを置く。


「いっ、頂きます」

「あ、どうぞ。遠慮なく」


一口コーヒーをすするが、貴根に見つめられて味や熱さを感じない。飲みながら彼女の目を見ていた。それに貴根は微笑む。


「ねぇ」

「ん? な、なに?」


「アレって何だったのかな?」


思わずコーヒーを噴き出しそうになる陽太だったがこらえた。

頭をフル回転させて、あの出来事は夢と言うことにしようと考える。自分が人ならぬ力を持っていて、天使に狙われたなどと思われたくなかったのだ。


「いやぁ、貴根さん疲れてたのか知らないけど、急に寝ちゃったんだよ。最初はベンチで寝てたけど、さすがに転げ落ちちゃったから起こしたんだ」


しかし貴根はその言葉を疑いの目を以て見る。

陽太は誤魔化して笑った。


「ホントぅ?」

「ホント。……ダメ?」


「ねぇ浅川くん。服。脱いで……」


貴根は立ち上がると、陽太のシャツを掴んでめくり上げる。

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