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第129話 ご褒美は?

陽太が気絶している間、グリエルは最後の仕上げにかかっていた。

神の炎を操り、倒れている陽太、そして貴根を消し炭にする。

貴根は陽太にすがったまま、熱にやられて倒れ込んでしまっていた。

そこで陽太は目を覚ます。

罪のない貴根をこんな目に合わせて何が天使だと怒りに震えた。


「き、貴様!」

「くぬぅぅぅぅ!」


陽太は自身の体より槍を引き抜いた。

途端に血が噴水のように噴き出して来たが構いはしない。

立ち上がってその槍を振り回し、青白い炎を消し去る。

そして貴根に手をかざしてヤケドを負った箇所を回復させた。


「なに!? 神のような奇跡を?」

「こうしなきゃ、オレたちが助からないなんて。不本意だ。本当に不本意。だからゴメン。ゴメンナサイ!」


陽太はグリエルに向かって槍を投げつけた。

槍がグリエルに突き刺さると、グリエルも不思議な空間も消え去って、陽太の足元には貴根と8組の弓田が倒れている。

陽太は跪いて貴根に声をかけた。


「貴根さん。貴根さん」

「……う、うん」


「よかった。目を覚ましたか」

「うん。でも、不思議な体験……」


「そうだったね。もしかしたら夢だったのかも」

「悪魔を宿すって」


「あ、弓田くんも起こさなきゃ」


バツが悪い。悪魔というとやはり自分なのかも知れない。

貴根から離れて陽太は弓田を起こした。どうやら気絶しているようだ。


「弓田くん。弓田くん」

「……あ、あれ? なんだ? どこだ? キミは??」


「……同じ学年の浅川といいます」

「あ~路道くんの」


やはり明日香は目立つ。自分はその付属品。だとは思われたくない。陽太が苦笑していると、弓田はそそくさと起き上がってカバンを取った。


「こうしちゃいられないや。塾にいかないと。ゴメン。じゃぁ」


そう言って弓田は服の土を払いながら去って行った。

残されたのは奇怪な経験をした二人。

貴根は赤い顔をして、陽太の服の端を掴んでいた。


「浅川くん」

「え?」


「ありがとう」

「あー……。覚えてる?」


「覚えてるよ。天使みたいな人から守ってくれたでしょ?」

「はは……」


笑って誤魔化しても仕方がない。

見られてしまった人ならぬ力。

しかし、手をかざして記憶を奪えば何とかなるのかも知れないと思ったとき、貴根からとんでもない提案があった。


「ねぇ。私の部屋に行かない? ここじゃ寒いでしょ?」

「い? へ、部屋? 貴根さんの、部屋??」


尋ねるマヌケな裏返った声。

それに貴根は嬉しそうに微笑む。


「いやぁ。はは。そー……だね。うん」

「じゃあ行こう行こう!」


「オッケ~……」


精一杯ノリよく応えたが格好は悪い。

初めて行く女子の部屋。期待と不安がある。

断然期待の方が多かった。

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