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第127話 天使の力

陽太にとっては勝手が違う相手。天使と戦うなどと。


どうすればいいのか分からない。

学校では教えてくれない授業。

火事や地震の対処法は教えて貰えるが、天使との決戦など誰も想定しないし未経験。

熊にあったら、死んだふりをするとか、大きい音を立てるとかの知識はあるがこの神の御使いには通用すまい。


そう神の御使い。それは完全に正義なのだろうか?

アスタロトの心臓を埋められた、こっちは問答無用に悪なのか?



「アスカぁ!」


陽太は一声叫んで口を抑えた。


結局明日香に頼らなくてはいけないのだろうか?

もしも、明日香とこのままこじれて別れたら、これからの人生、心臓が悪魔である自分は天使と戦い続けなくてはならないのだろうか?

天使に襲われ、奥さんとか子供抱えて戦わなきゃならないのだろう。


奥さん。

胸に抱く貴根の顔を見る。

緊迫したこの状況で見つめてしまう。

明日香と別れたら。明日香と別れたら。


胸に感じる温もり。

いけない。今はこれを全力で守らなくては。


陽太はグリエルの動きを見た。


激しい動き。師匠である前野を思い出す。

彼女の動きは見えない。

しかし、動きを感じることが出来るから体が反応できる。


竹丸の動きは目で追える。

しかし戦い慣れしているせいか、こちらの攻撃も利用して反撃してくる。ようはしたたかなのだ。


グリエルはどうであろう。

目で追える。そして嫌らしい動きではない。


あまりなんてことないヤツ。

陽太は安堵の息をもらす。

心配そうに見つめる貴根。それに微笑みかけると、貴根の方も自信を感じたのか微笑み返してきた。


グリエルは陽太を刺そうと剣を真っ直ぐに突いて来る。

その剣撃をなんなく避け、剣の幅広いところに拳を振るうと、剣は音を立てて砕けた。


「!!!」


グリエルは驚いて使い物にならなくなった剣を見つめた。


「よく見るとアンタ大したこと無いな。弓田くんが天使なの?」

「……いや。彼のものは関係ない。彼に潜んで地上を内偵していたのだ」


陽太の問にグリエルは、答を返す。それは力強い。

まだなにかあるのかと、陽太は貴根を胸に強く抱き寄せた。

陽太の感じた通り。グリエルは光の槍を出現させた。


「最初からこれを使っていれば良かったのだ」


グリエルはその槍を軽く放る。ブゥンと音を立てて、手槍はゆっくりとこちらに進んで来る。

陽太は貴根を抱えて難なく槍を避けた。

しかし、槍は方向転換しスピードを増して進んで来る。


「わ、わ、わ、わ」

「女とともに地の獄を抱け!」


グリエルが叫ぶと、槍のスピードは増し、陽太を追い回して来た。陽太は貴根をお姫様抱っこしたまま飛び上がる。それに合わせて槍は軌道を曲げる。


「あ、あれは浅川くんを追尾するのだわ!」

「ああくそ! どうすれば! こ、これでどうだ!?」


陽太が手をかざして魔法を念じると、槍は空気の層で覆われて空中で固まった。

だがしきりに槍は震えて進もうとする。


「こ、これでしばらくは大丈夫かな? その間に、能天使のグリエルを……」


貴根の顔を見つめる。天使を信じる教育を施設で受けていた彼女を。倒してもいいのか分からない。

そして陽太にも日本人独特のバチが当たらないかと言う気持ちもあった。


陽太は一応は大丈夫と思い、貴根を地面に置くと、グリエルは飛び上がり、空中に留まる槍に近づいて、空気の層からそれを引き抜いた。

また戦闘になる。貴根をこれ以上捲き込みたくはない。

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