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第123話 これからの脅威

前野は三人の縮身の術を解く。

陽太に回復させられた陣内はラティファを縛っている紐をほどいていると、明日香はザムエルの元に行って指輪を拾った。


「悪魔はそういう道具も持ってるんだね。天狗の道具みたいな」


そうつぶやく陽太に、明日香は指輪をつまんで見せてきた。


「それにはやられたよ。どんな悪魔が作ったの? やっぱ大悪魔?」

「うん。大悪魔だね。あたしだもん」


陽太は滑るようにズッコケた。


「え? え? え? えーーー!!?」

「うん。サルガタナス将軍に天使を追い返した戦功にあげたんだけど、そこからレラジェ卿に贈られたって聞いたけど……」


聞いたことない名前が二人も出て来たので紹介する。


サルガタナスは、アスタロト大公国の武官の最頂点だ。文官の最頂点であるネビロスと共にアスタロトを補佐している。アスタロトが恐れる老人の教育係の一人で、アスタロトより、公爵として領土をもらっている。


レラジェはアスタロト大公国の大侯爵。サルガタナスの文官で30の軍団を持つ。

サルガタナスは自分の部下である、レラジェへと指輪を贈ったということなのだ。


「たぶん、レラジェ卿の小悪魔しょうあくまがさっきの彼で、宝物から盗んだんじゃないのかな? ま、いつか聞いてみよう」


と明日香は軽く言うが、つまり自分の身内から犯罪者が出たってことではないだろうか?

そう思う陽太の前で、明日香は楽しそうに笑う。

そして陣内とラティファは自分たちが解放されたことに喜んでおり、明日香の話を聞いていなかった。

陽太は今までの緊張がほぐれて、大きく脱力したため息をついたのだった。



桜庭一至は倒れたままだった。

過剰に魔力を与えられ、筋肉がブクブクと膨らんで、内出血したのかそこかしこが紫色に変色していた。

それを見て前野は呆れたように言う。


「桜庭はもうダメだね。まぁ、魂取られる悪魔は消滅しちゃったわけだから、将来は悪霊になることはないでしょ。それだけでも感謝しなくっちゃね」

「で、でも……」


「ん?」

「桜庭さんだって犠牲者だ」


「まぁそうかもね」


陽太は桜庭に近づいて魔力を送る。

桜庭の体は徐々に元の肉体に戻り、そのうちに目を覚ました。

陽太の回復魔法。成功したようで陽太は桜庭に微笑んだ。


「うっ。ま、まさかヒナタくん。キミが戻してくれたのか?」

「……まさか」


陽太は今度は桜庭の頭に手をかざす。

そうされると、桜庭のまぶたは徐々に下がり、そのうちにトレーニングルームのマットの床に倒れて眠ってしまった。


「これで目を覚ます頃にはオレたちのことは忘れてるだろ。そしてまた最高の試合を見せてくれるさ」

「ふーん。なんでそんなボランティアが必要なんだか。人間って不思議だね」


前野に嫌みを言われながら、みんなでマンションを後にした。

陣内とラティファに別れを告げ、陽太たちはバイト先へと移動。


桜庭は陽太がいなくては再起不能であったろう。

体をボロボロにしてしまって危なかった。


悪魔のささやきによって起きた事象。

やはり、悪魔は人類の敵なのだと陽太は一人思った。


明日香はただのイタズラ好きな悪魔。

そして自分のフィアンセだ。


しかしよく考えたら、明日香のイタズラがなかったら桜庭と戦うこともなかった。

ということは今横にいるのはその元凶。


「なに? どした?」

「いや。なんでも」


罪の意識のない明日香につい微笑む。

たしかに桜庭は明日香のイタズラによって戦うことになってしまった。

だが、あの悪魔は他で悪さをしたのであろう。

明日香がいなかったらこの脅威は解決できない。

そう思うと、やはり明日香はいてくれて助かる存在。


今回の脅威は去った。

だが学校にいると言った2体の人じゃないもの。

それもいい加減にどうにかしないといけないと陽太は背中に冷たいものを感じるのであった。

陽太が過去に恋した女がいた。

それは才女で美人な生徒会副会長、貴根 華。


彼女を危機から救うことによって、彼女に恋されてしまう。


次回「あの子の守護天使篇」。

ご期待ください。

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