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第103話 アウトロー

さて久しぶりの休日、陽太と明日香は出かける準備をしていた。


「では、参ろうか」

「うん」


二人は部屋を出た。今日は二人で買い物だ。


この機会を活かして貯まったバイト代で新しい炊飯器と、テレビを買う。

駅裏の大きい家電屋に向かって行った。


デート。二人は人間と悪魔と言う別種であるが恋人同士なのだ。

一緒にいたい気持ちは駅前の大きなアーケードの中、人の波をくぐって歩く。

だが、明日香は眉間に皺を寄せてすぐに不満を言い出した。


「ううむ。歩きづらいのう」

「そう? フツーだよ。フツー」


「タマちゃんとはよく平日にくるがそんなに混んではいないのだ」

「学校サボってね。ハイハイ。平日ならそんなもんでしょ」


二人が歩いていくと、向こうから素行が悪そうな若い男性の集団が横一列になって歩いて来た。

みんなは、トラブルに巻き込まれるのを避けるために横に体を寄せて歩く。


「なんじゃぁ。あいつら。この混んでいるところに人の迷惑を考えておらん!」

「ちょ! 声でかいんだけど」


「気に入らんな」

「オイオイ、やめろよ? やめてくださいよ? 閣下」


そう言う陽太に明日香はニコリと笑いかける。

もう悪い予感しかしない。背中にひんやりとした汗が流れるのを感じたその刹那。


「オイ! テメーら! 調子に乗ってんじゃねーぞ!」


明日香の声から出た言葉は陽太の声。

またもや陽太の困る悪戯。


アーケード内の人間が一斉にこちらを見る。

当の明日香は怖がった顔をして陽太の後ろに隠れた。


避けられない窮地。

アウトローたちはたちまち陽太と明日香を囲んだ。


「はいぃ? なんですかぁ?」

「よく聞こえなかったんですけど、もっと大きい声で言ってもらえますぅぅぅ?」


そして陽太の両手を掴む。


「ちょっと」


陽太は振り払おうとしたが自分に備わっているのは常人ならざる力。

それで周りのギャラリーにそれを見られるのは困る。どこか人通りの少ないところを探して辺りを見回した。


「へー。彼女かわいー!」


陽太が考えていると明日香の両手も抑えられてしまった。


「ちょっとぉ! やめてください! やぁん! ヒナタぁ!」


トラブルの張本人が彼氏のお陰でトラブルに巻き込まれたと言う演技。

周りのギャラリーは哀れに思ったであろう。馬鹿の彼氏のために可愛い彼女がひどい目に。

陽太は下唇を噛んで明日香に対する憤りを堪えた。


「うわー。かわいい声! こんなかわいい子連れてるのに、命知らずの彼氏だね~」


アウトローたちは陽太たちを連れてアーケードから離れた近くの薄暗い場所に連れていった。

周りはビルで囲まれてる小さな空き地。


陽太は手を後ろに回されたまま、親指を結束バンドでつながれてしまい、便宜上は動けない状態。なんとか自分とは無関係のこのトラブルから逃れたかった。


「スイマセン。調子こいてました。オレはいいので彼女放してやってください」

「あ~ん。ヒナタぁ~」


さらに名前バレまでしてくれる明日香。

陽太の怒りは完全に明日香に向いていた。

アウトローたちは陽太の顔をのぞき込む。


「なんかさぁ、気に入らないんだよね」

「そーそー。落ち着いてるつーか。余裕つーか」


「そ、そんなことは……。ビビりすぎて。ですかねぇ?」


そんな陽太をフフンと鼻を鳴らして笑う集団。


「彼女とさぁ。やった? 全然オレらより若ぇーよね? 高校生?」


やってないし、やれもしない。


「いえ……」

「じゃぁさ、見てて。今から彼女の大事なのいただくから」


陽太の肩は二人に押さえつけられ正座した形で座らされる。明日香も両手両足を抑えられて地べたに横倒しにされてしまった。

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