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先輩  作者: 丸子
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まえがき

こういう時、いつも私は

あの人がいたらと思う。

きっと同じ言葉を返すか

または、たった二歳上というだけの

上から目線で

私に説教じみた言葉を返しただろう。

でも、私はあの人がいたらと思う。


クラスの女子が

授業が始まっても切り替えが効かない口で

ゲラゲラとお喋りしている。

口から出るのは

今日、彼氏と焼肉に行くんだとか

今日は彼氏と3年目の記念日なのに会えないんだとか、そんな事だ。


くだらない


私は思った。

ただ

私はそんな自分が好きだった。

イマドキの女子たちの会話を

冷めた目で上から眺めている

客観的に見たそんな自分が

かっこいいような気がして好きだった。

あの人も同じだった。

私達は、自分達の頭で繰り広げられる

小難しいようで大したことの無い

でも私達にとっては凄くかっこいい

そんな言葉の宇宙が好きだった。

そのことを良く、夜中の電話で笑いあった。


凄く真面目な話をした。

私の心の闇を

いつもあの人は聴いてくれた。

そしてまた、偉そうに言った

人は人だ、とか

お前はお前だからそれでいいとか。

それらしいことを言った。


その話が終わると

糸が切れたように

馬鹿話をする。

自分達の自惚れっぷりを笑うのだ。



俺らは結局、そういう自分に酔ってるよな


そうだね、結局ナルシストなんだよ


そんな風にずっと話して笑った。

そして疲れて眠った。


だからあの人がいたら

この吐ききれない嫌悪感を

ちゃんと最後まで聴いてくれただろう。

ばかにしてくれただろう。

私はそれがよかった。



今はあの人と私は繋がっていない。

6月のある土曜、私はあの人と一日を過ごした。

私はその日、あの人と付き合うつもりだった、その日にやっと私達は二人になれるはずだった。

でもだめだった。



私はまだ柔らかかったのだ。


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