バンジージャンプ
私は一人で遊園地に遊びに来ている。
道行くカップルや親子連れが、好奇の目でこちらを見ているのが分かる。
まあ、遊びに来るようなトシでもないし、服装も貧相極まりないからな。
通してくれたのが、優しい受付員でよかったよ。
数分後、私は高さ30Mの展望台から地面を見下ろしていた。
血の気の多い若者達が、次々と足首にヒモを縛りつけ、ダイブをしていく。
私の番になり、飛び込み台の前に立った。
あの若者達、随分と叫んでいたな。
私だったら、声を上げない自信がある。それなりの覚悟を決めて、ここへやってきたのだから。
若者がやっていた縛り方でヒモを付けていく。
ふーん…意外と頑丈に縛れるものなんだな。
さて、飛び立ちますか。
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「スゲエ面白いな、このアトラクション」
「風になったような気分だよな」
「しかし、俺らの後ろにいたオッサンも飛んだのかね?小便漏らさないといいけどな」
「確かに確かに」
そんな若者の頬に、水滴がついた。
「雨でも降ったのか? 」
若者は上を向いて、絶句した。
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しかし、まあよく晴れてくれた。
こんな日はヒモで首をくくるに限る。
絶対に真似しないでください。