表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/7

目が覚めたらそこは異世界でした

もともと1話と2話だったのを統合して、少し修正しました。


――汝、我が声に答えよ。



(……?)



――汝、我が声に答えよ。



(? 誰だ?)



――汝は現世(うつしよ)にて仮初(かりそめ)の死を迎えた。



(……? 俺は、死んだのか……?)



――そうだ。しかし、汝に残された道は一つではない。汝、なおも生き続けることを求めるか?



(……できるなら、そうしたいね)



――よかろう。ならば行け。願わくば汝が新たな光とならんことを――……




***




「……ここは?」




 勇人はそういいながら辺りを見回す。どうやらここはログハウスのようで、何から何まですべて木でできている。窓から外を見たところ見渡す限り森なので、おそらく山小屋か何かなのだろう。外がだいぶ明るいので、時刻は昼ごろだと思われる。



 そして勇人はその部屋の中にあるベッドに横たわっていた。


「あれぇ? うーん……なんで僕はこんなところにいるんだろう? ぜんぜん思い出せないなぁ」


 などとつぶやいていると、不意に部屋のドアが開いて一人の少女が部屋の中に入って来た。年齢はおそらく16才ほどで、背中には弓を背負っている。髪が青いので、おそらく日本人ではないだろう。


「あ……よかった、目が覚めたんですね!」


 少女はそう言いながらこちらに向かってきた。そしてベッドの横に置いてあったいすに座ると、勇人に話しかけてきた。




「はじめまして。私はレティリアといいます。あなたはなんというんですか?」


「あ、こちらこそはじめまして。僕は高崎勇人といいます」


 と、反射的に答えてからそれに遅れて一つの疑問が生じる。


(あれ? 日本語が通じてる? もしかしてこの子親が日本人だったりするのかな)


「タカサキ・ハヤトさんですか。変わったお名前ですね」

 そういって少し言いにくそうに顔をしかめる。それに対して、勇人は日本語が通じることに安堵を覚えつつ質問を入れる。


「あ、呼びにくかったらタカでいいよ。それで、ちょっと質問があるんだけどいい?」


「いいですよ」


「ここがどこで、何で僕がここで寝かせられていたのかを知りたいんだけど」


「あ、そうですよね。では説明させていただきます。

 あなたはここの近くの森で行き倒れていたんですよ。それを偶然見つけたのでとりあえず連れ帰ってベッドに寝かせました。といってもすぐに目覚めちゃったんで何もできてないんですけどね」


「ふぅん。そうだったのか。それで、ここがどこかって事なんだけど」


「ここはブリーゲル共和国にあるレクト村というところです」

 そこまで聞いた時点で、勇人はいやな予想を抱いた。


(まてまてまて、ブリーゲル共和国って何だ? そんな国名は聞いた覚えもないぞ。第一いきなりこんな山奥に倒れているってのもおかしいし――)


 しかし、そんな考えにはお構いなしに少女の説明は続いていく。


「まぁ首都からはだいぶ離れているので交通の便は悪いですけど、必要なものとかはたいていそろうのでそこら辺は特にきにしなくても大丈夫です。ほかの国に行ったりするのにはだいぶ時間がかかりますけど」


「――なぁ、ここがどこだかもう一度言ってくれないか?」


 そう勇人が最後の希望を込めながら確認する。


「ブリーゲル共和国のレクト村です。あ、もしかして外国の人ですか?」

 勇人は希望が音を立てて崩れていくのを感じた。ここがどこか知らない国であることに愕然としつつ、勇人は質問に答える。


「まぁ、外国人なのかな? でも普通に言葉は通じてるし……」


「あ、やっぱりそうなんですか」


「やっぱり?」


「黒髪に黒目というのは見たことがなかったので」


「そうか……」


(黒髪に黒目がいないってことはやっぱり日本じゃないんだな……)


「それで、どこの国からきたのですか?」


「国は日本って言うとこだけど、知らない?」


「ニホン? ……いえ、ききおぼえはありませんね」


(日本語が通じるのに日本がわからない? どういうことだ? 可能性としては、偶然日本語と同じ言語が公用語になってる国にいるってのと……こっちのほうがよほど信じがたいけど、異世界に飛ばされたとか。異世界ではなぜか言語が通じるのは(ラノベでは)よくあるからなぁ……)


 レティリアは勇人が黙りこくっているのを見て「食事を用意してきます!」といって部屋の外に出て行ってしまった。




(……それにしても、まさか、異世界だとは。いや、まだ確定したわけじゃないが。いやはや、人生何があるかわからんもんだね)


 勇人は、これからの苦労を想像して、一人きりの部屋で、ひとしれず溜息を吐いた。




***




 しばらくすると、二人分の食事を持ってレティリアが帰ってきた。


「どうぞ。熱いので気をつけてくださいね」


「ありがとう」


 見たところどうやらパンと何かの肉を煮たスープのようだ。簡素な食事だが、このあたりでは一般的なものなのだろうか。なんにせよありがたくいただくことにする。


「いただきます」


 もぐもぐ。とりあえず食べながらこれからどうするかを考える。


(さて、自分が異世界人(仮)だとして、この世界って異世界人って多いのかな? ……いや、それはないだろう。とりあえず異世界人であることは知られないほうがいいのかな? そうすると適当な話をでっち上げたほうがいいか)


 しかし、仮にも命の恩人である彼女をだますのは気が引ける。


(うーん。どうやら悪い人じゃないみたいだし、話しても大丈夫かな? 何か問題になったらそれはそのときに考えよう)


 と、楽観的な思考をして、結局レティリアにすべて打ち明けることにする。


「さて。あの、レティリアさん」


「なんですか?」


「ええと、どこから話したらいいかはわからないんだけど……。話を聞いてて思ったんだけど、どうやら僕はこの世界とは違う世界から来たみたいなんだ。

 だから一つ聞きたいんだけど……。この世界に異世界人っているの?」


 レティリアがかなり驚いたような顔でこちらを見ている。まぁいきなり行き倒れてた人に「僕は異世界人だ」なんていわれたんだから無理もない。


 しばらくして、驚きから解放されたレティリアが話し出す。


「“異世界人”ですか……。本で読んだことはありますけど実際に見たのは初めてですね」


 今度は逆に勇人が驚く番だった。まさか普通に異世界人がいるとは思っていなかったので、どう話を続けたらいいのかしばらく迷ってしまう。


「異世界人って普通にいるんだ……」


「そうですね……。まぁ私も本で読んだだけなので実際にどれくらいいるのかはわかりませんけど。」


「……まぁそれなら話は早い。ぶっちゃけ、僕はどうすればいいのかわかる?」


「さぁ……どうすればいいんでしょうね? 多分師匠なら何とかしてくれると思うので、とりあえず師匠に聞いてみましょうか?」


「頼む、そうしてくれ」


「じゃぁ師匠のところに会いに行くのでついてきてください」


 そういってレティリアは立ち上がって、ドアのほうへと向かっていった。あわてて勇人もそれについていく。




 そして山小屋を出てしばらくすると(山小屋はどうやら村のはずれに立っていたようで、周りに見えたのは森だけだった)、ようやく村が見えてきた。


 村の大きさは目測ではだいぶ広いように思える。少なくとも、ここからでは村の反対側は見えない。


 村は、それなりに活気があり、農業に従事する人以外にも商人や冒険者のような人々も見受けられる。そして、村の入り口には門番のような人がたっていた。思ったよりもしっかりとしてるんだな、と勇人が思っていると、門番のうち一人がレティリアに話しかけた。


「おや、久しぶりだねレティリア。今日は何しに来たんだい? ……おや、その子は?」


「あ、セルキスさん。お久しぶりです。今日はこの人をアマニウスさんに会わせるためにきました。

 それで、この人のことですけど……この人は、その、なんというか、行き倒れです。目を覚ましたので、とりあえずアマニウスさんのところに連れていくつもです」


「行き倒れか、それはまた厄介なものを拾ったね。一応そっちに人は始めてだから簡単な手形を出させてもらうよ。レティリアがつれてきたんだから怪しい人ではないと思うけどね。君の名前は?」


「ハヤト・タカサキです」


「ハヤト・タカサキさんね。……はい、手形。一応それを見せれば大体のことはできるけど、一時滞在用だから村を出るときにはちゃんと返却してください。

 ……ああ、それと村にいるときはなくさないように」


 そういって木でできた札のようなものを渡された。書いてある文字は読めないが、大方大きく書かれてるほうが自分の名前で小さいほうが門番のサインだろう。


「ありがとうございます」


「いえいえ、それでは」


 そういって門番はこちらに軽く敬礼をした後、村の入り口のほうに戻っていった。


「さて、じゃぁいきましょうか」


 勇人はレティリアと一緒に村の中に入った。思ったよりも人が多く、路地も入り組んでいる。レティリアを見失わないように注意しながらしばらく歩いていると、周りの家と比べて大きくて立派な家の前についた。


「ここが師匠の家です。いまから挨拶をしに行くので、あまり失礼な態度をとらないようにしてくださいね」


 そういうと、レティリアは大きなドアの横についた呼び鈴のようなものを鳴らした。しばらくするとドアの横にある小さなドアから、老執事(?)が出てきて、こちらに会釈してきた。


「これはこれはレティリア様。本日はどういったご用件で?」


「この人をアマニウス様に紹介しにきました」


「ふむ。レティリア様の紹介であれば怪しいものではありますまい。それではご案内いたしましょう」


 そういって老執事は扉を開けて二人を招きいれた。




 中は思ったよりも豪華で、イメージとしては貴族の住む洋館が近いだろうか。ともかく、想像以上に豪華な(そして偉そうな)屋敷に勇人は緊張をしいられていた。


「あの、執事さん。ここって貴族の屋敷だったりするんですか?」


「いえいえ、そんな大層な者ではありませんよ。一応この村の代表を務めてはおりますが」


(師匠って言うからてっきりもっと軽い感じかと思ったらぜんぜん違うじゃねーか! しかも村の代表って……。っていうかこんなとこに顔パスでは入れるレティリアっていったい……)


 そう思いつつ戦々恐々としていると、豪華な屋敷の中でもひときわ豪華な扉の前についた。


「アマニウス様。客人でございます」


「誰だ」


 低く、威厳に満ちた声がする。


「レティリア様でございます」


「おお、レティリアか。ちょっと待ってろ」


 少しすると、扉を開けて大柄な男が出てきた。格好は屋敷のイメージから勇人が考えていたよりもラフなもので、貴族のようなものではなく、狩人のイメージに近いものだった。


「久しぶりだな、レティリア。今日は何しに来た? 修行か?


 ……ん? その男は?」


「お久しぶりです師匠。今日はこの人のことで相談があって来ました」


「いったい何もんだ?」


 アマニウスが、値踏みするような目で勇人を見る。


「今のところはただの行き倒れですが……ちょっと問題がありまして」


「問題?」


「はい。どうやらこの人は“転生者”のようなのです」


「! ……ほう、転生者か」


 心なしか視線に面白がる色が増えた気がする。


「ふむ……。ではこっちに来なさい。もちろんそこの君も。……そういえば名前を聞いていなかったな。名はなんと言う」


「ハヤト・タカサキです」


「よろしい、ではハヤトもついてくるといい。場所は……そうだな、応接室がいいか。おい、クラオリ、お茶の用意をしろ」


「かしこまりました」


 そういって老執事が部屋から出て行った。……クラオリさんって言うのか。初めて聞いた。今度呼ぶときはちゃんと名前で呼んであげよう。


「よし。じゃぁいこうか」


 勇人たちはアマニウスについて応接室へと向かった。


 というわけで第一話です。いかがでしたでしょうか?

 皆さんのご意見やご感想がいただければありがたいと思います。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ