ep.6 VSベヒ・モース
2本目
「待っていたぞ。まさか本当に来るとはなぁ。出口にトラップを仕掛けて置いたんだが。」
「逃げるなんてするわけないだろ。俺はお前を倒す。ただそれだけだ。」
「ふん。無駄口を叩けるのも今の内だぞ?【火魔法Ⅰ】!」
無詠唱魔法!?
「【見切りⅠ】!」
「ほう、避けたかならこれはどうだ?【水魔法Ⅰ】【土魔法Ⅰ】!」
混合魔法まで!?
「【精神統一】【真空武具】…」
刀身の長い刀を想像する。そして、魔法を切る!
「【切リ捨テ御免】」
刀の鞘が無いのにカチンと刀を取り出す音がする。そしてその音が流れるのを待つように時間が止まって感じる。
【切リ捨テ御免】認知できる物質を切り伏せるスキル。その本質は、ただただ綺麗に斬ろうとする武者の美学である。
その美学の前に迫り来る脅威は、刀を前に消失する。
「魔法を…切った?」
「ほう、今の技素晴らしいではないか。賞賛に値する。だが貴様の切り札はそれで分かった。あとは詰めるだけだァ!」
ベヒ・モースが喋り終わるとブスリという音が響く。
「は?」
「ブン、ブブンブンブブンブン!」
「よくやった、アサシンビー!耐え凌ぐぞ!」
「虫ケラに俺は何を…?毒を仕込まれただと…?」
「そう、お前は毒を仕込まれた!お前が調子に乗るとベラベラ喋る奴だっていうことは初対面で大体分かった。なら、その時間を利用させてもらおうってこった!」
「馬鹿が!大体毒なんて、すぐ治るさ!そしてまた刺しに来たときは!食い殺してくれる!」
「お前は馬鹿か?」
「何?」
「アサシンビーのスキル、それは【殺人毒Ⅹ】このスキルの効果で付与された毒は聖職者でないと治癒できない!そして、時間経過によってダメージ量も増える!そしてこう喋っている間も、お前は毒に侵されているんだ!」
今の段階で受けているダメージは
ベヒ・モース Lv236
体力14998/15346
よし、これならいける!
「小癪な、一瞬でけりをつけて喰らい付くし、回復してくれる!【風魔法Ⅰ】!【火魔法Ⅰ】!【水魔法Ⅰ】!【土魔法Ⅰ】!魔法合成、【消滅魔法Ⅰ】!」
「【見切りⅠ】俺の見切りはスキルレベルと同じスキルは100%避けれる。お前も切り札を出してこい。」
「舐められたもんだ。【雷撃魔法ⅩⅩⅣ】!」
「なっ!?」
予想以上に範囲が広い!
「【見切りⅠ】!」
間に合わない!
「ぐはあっ!」
「ししょー!」
左腕の感覚がない、案の定持って行かれた。今の俺のステータスは…
リグアル・テレス Lv16
体力41/90
攻撃196
防御86
魔力70/105
素早さ21
スキルポイント0
-スキル-
鑑定 ケンドウ ジュウドウ エンチャント 見切りⅠ 精神統一 指南 真空武具 急所分析 武器精錬Ⅰ 切磋琢磨 切リ捨テ御免
-称号-
転生者 追放者 ジャイアントキリング スキル愛好家 武道見習い
-加護-
闘竜の加護
-状態異常-
出血
「かなり体力も持ってかれたな…」
「左腕がなくては貴様の切り札は使えん。勝負あったな。」
相手の残り体力は…
体力9987/15346
はは、まだまだじゃねえか。
「いや、まだわからん。」
「馬鹿が、もう結果は決まっている。無駄な足掻きはよせ。」
「ガウ!」
やめろ、コボルト行くな。
「【雷撃魔法ⅩⅩⅣ】」
行っても死ぬだけだ。
「きゅうん…」
手前で止まって回避したのは良いが、もう無理だ。
12/90
出血ダメージで体力もここまで減ってしまった。もうすぐ限界だろう。なら、
「モモ、俺の人生最後の頼みを聞いてくれるか?」
「そんな物騒なこと言わないでください…!」
「とりあえず聞いてくれ。俺が近づいたらあいつは雷撃魔法を撃つはずだ。でも止めないでくれ。」
「そんなの…自殺行為じゃないですか!」
「今から賭けをする。そしてその賭けに勝ってみせる。賭けに成功して倒れたときは…頼んだ」
「ちょっと!待ってください!」
「ガウガウガー!」
「ブンブンブーン!」
「別れの言葉は済んだのか?」
「ああ、一思いにやってくれ」
「ならお望み通り、死ねえい!【雷撃魔法ⅩⅩⅣ】!」
真空武具を使っていて思った。このスキルは真空で物質を作り、硬化させ、武具にする。なら、物質を囲むようにすれば?できるのか?答えはYES。つまり、
「【真空武具】!」
雷を、真空武具で覆う!土壇場だが成功した!
「雷を…掴んだ…?」
「馬鹿な!何が、起きている!」
「豆電球だよ。豆電球は銅線の周りを真空で覆い電気が放出しないように作られている。それと一緒だ。」
そして雷を持っている今、俺はあの技を使う。
「今から使うのは、俺の知っている神話の全知全能の神の代名詞。」
その名も、
「【雷・霆】ッ!」
掴んでいた真空パック雷をベヒ・モースに投げつける。
「ぐ、ぐわあああああああああ!魔力が!俺様の魔力がああああああああああ!」
ベヒ・モースの悲鳴を聞き、頭が割れそうになる。
「よく味わえ、これがお前の侮っていた奴の力だ!」
「真空武具解除!」
ベヒ・モースの肉体に刺さっている状態で真空武具を解除する。自分の魔法で死ぬが良い。
「流石にもう限界、か…」
「ししょー!ししょー!」
モモ、あとは頼んだ、ぞ…
『称号【辺境の統制者】を獲得しました』