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ep.2追放

訂正日2025年6月6日

ステータスを確認してからだいたい11年が経った。で、今魔法の練習中である。

「テレス、意識を集中させてイメージするのです。指に炎が集まる光景を。」

お、なんか指が熱くなってきた気がする。

「…!ファイヤーボールッ!」

…まあそんな上手くいく訳ないよな。

「おかしいなぁ、テレスにはちゃんと魔法の適性があったハズだ…」

「そうか!属性の適性は測ってなかったな!つまり炎に適性が無いだけだな、うんうん」

「父上、私は魔法が使えるのでしょうか?」

正直父はこう言っているが俺は不安だ。

この世界は魔法至上主義、つまり魔法が使えないものは淘汰される。政治的にも、力量的にも、だ。武術がある程度使えても、やらされるのは魔力爆弾を持って自爆特攻。なんでこんなことをするのか、1番の理由は第2次種族大戦にあった。フィジカルでは竜族にも神族にも劣っていたのだ。人族が竜族にパンチを入れると片腕が潰れる。そもそも入れることさえままならない。だったらなぜ、人族が勝てたのか?竜族や神族をメタる技術を作ったからだ。それが魔法である。最初こそそんなモノが通じる訳ねぇだろ、と信じてもらえなかったようだが結局魔法で圧勝。こうして人族は勝ったのだが、問題はその後にあった。戦時中騎士団長と魔法団長は敵対関係にあった。そして騎士団長は魔法団が結成されたときこのようなことを言った。

「魔法で世界が救えたら、お前のために働く犬にでも何にでもなってやる」

この発言がいけなかった。その際魔法団長はりちぎに契約書を発行。内容を要約するとこうだ。


・魔法で世界が救えたら魔法適性のない人間は、魔法適性のあるものにモノとして扱われる。

・魔法の意味がなかった場合、魔法適性のある者全員の命を代償とした、人外封印魔法をこの星上に発動し、魔法適性のある者は今後産まれなくなる。


この契約書には魔法がかかっており、確実に内容は執行されるようにされていた。その結果がこれである。現在王都では、適性のない者を使った魔法実験や人体実験を行なっている。正直言って、こんなクソみたいな世界になぜ産まれたのか自分でもわかっていない。まあ、魔法適性があって良かった、と知った当初は安堵した。

「テレス、この後家族で教会に行くぞ」

「はい!父上。加護の確認ですね?」

「そうだ。お前は父さんと母さんの自慢の息子だからなぁ、賢者の加護かもしれんな!」

「あなた、そろそろ時間ですよ」

「行くぞ、テレス」

「はい!」

なんの加護だろうなぁ、賢者の加護もいいけど竜殺し(ドラゴンスレイヤー)の加護とかも良いかもなぁ。

「ついたぞ、テレス」

相変わらず早いなぁ、この馬車。

「グランオール様、お待ちしておりましたぞ。ささ、こちらにその子を。」

「行っておいで、テレス」

「はい、父上」

教会なんていつぶりだろうか、魔法適性を調べたのが6歳の時だから…6年前か。でもあの時はこんな奥までこなかった。今きっと両親は椅子に腰掛け待ってくれているのであろう。おっ、クソデカパイプオルガンあるじゃん。オペラ座の怪人とかで伴奏してそう。

「着きましたぞ、さあ水晶にお手を」

加護の確認は簡単だ。水晶に手をかざす、それだけ。でも周りに人が居ると正確に測ることができない。だからこんな奥まで来たのだ。

「いきます」

次の瞬間、水晶が光り出す。そして光が消えた。この一瞬でわかるというところからして牧師という役職はすごい。と、牧師の顔を伺ってみたら何やら焦ってそうだ。

「早く知らせなければ…!」

なんか使命感感じてるなぁ、このおっさん。って教会走ったらダメだろ!

「グランオール様!!!」

やっと追いついた…

「おお、牧師様それで、テレスの加護は?」

「それが…」

少し沈黙が続いた後、牧師が言葉を発した

「『闘竜の加護』です…」

その場が凍りついた気がした。『闘竜の加護』について鑑定で調べてみる。


闘竜の加護

運命と闘う者に授けられる加護

レベルアップしにくくなる

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…え?魔法が使えない…?

「ち、父上…」

「あ?」

「父上…」

「誰がお前の父上だァ!この出来損ないの人族の恥晒しがァ!」

「魔法が使えないんだったら辺境に追放しろ、牧師」

「は、はいぃぃ!」

「父上なんでですか!追放なんて、そんな」

「一族に魔法の使えない劣等種なんていらねェ、あとお前なんて俺の息子じゃねェ!消え失せろ穀潰し」

「母上!」

「…」

「そんな…」

「せめての情けだ、3日分の食料ぐらいならくれてやる」

「早く辺境に飛ばせ、牧師こんなゴミこの街にいたと思うだけで吐き気がする」

「ですが、後継は」

「ごめんなさいね、テレス。来月子供が産まれるの。だからあなたがいなくてもどうでも良いの」

結局かよ、結局どの道バッドエンドかよ。こんなことならあのまま殺しておいてくれよ!死なせたままにしてくれれば、まだ幸せだっただろ!

「じゃあな、恥晒し」

「クソッタレがあああああああああああああ!!!」

転生してまでされることがこれか?舐めてるのか?なんで俺だけこんな不幸にならないといけねぇんだよ!そういえば、友人に異世界に転生するときはだいたい女神ってやつが転生させるらしい。女神には性格のいい奴もいれば、性根腐っている奴もいるんだ、と。なら、この世界で生きる理由はただ一つじゃないか。

「リグアル・グランオール、貴様にはいつか借りを返してくれる」

「そして女神!俺はお前を殺す!覚悟しておけよ!」

「貴様!女神さまになんてことを!牧師!早く追放しろォ!貴様は二度と私の前に現れるな!」

「それはどうかなクソジジイ!」

次に目を開けた瞬間そこは教会ではなかった。

ここで序章完結って感じです

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